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【ホン・サンス/恋愛についての4つの考察】『次の朝は他人』 (2011) / 韓国

2012-12-12 | 韓国映画


原題: The Day He Arrives
監督・脚本:ホン・サンス
出演: ユ・ジュンサン 、キム・サンジュン 、ソン・ソンミ 、キム・ボギョン
観賞劇場: シネマート新宿

【ホン・サンス/恋愛についての4つの考察】『次の朝は他人』ページはこちら。


気にはなっていたんですがなかなか行けなかったホン・サンス特集に行って来ました。
何本か観ていますがこちらからUP。残りは順次上げていきます。

ホン・サンス作品は、2007年の韓フェスで『浜辺の女』を観賞していますが、当時は何となくこの作品の良さがわからなかったような記憶があるんですよね。ただ男女が出て来てああだこうだだけのように思えてしまってた。
5年前は自分が映画観賞もそんなに復帰してなかった頃だし、本数も種類も観てないので、見どころがつかめなかったかも・・・。 今こうして特集上映があって、数本観賞してみると、この監督作品の味わいが入ってくるものがあり、5年間でそれだけいろいろ観てきた成果なのか?などと思ってみたりもするけど。

エリック・ロメールと比べられるホン・サンス監督ですが、実はロメール作品は未見なので、私にはその違いを論じることはできません。しかしながら下の動画などはすごくそれを意識して作られているような気がするんですよね。





冬、今にも雪が降るような寒さの中、先輩に会うためにソウルを訪れた映画監督ソンジュン(ユ・ジュンサン)は、早速彼に電話をするが全く出ない。来る前に電話すれば良かったと後悔しながら、行く所もなく一人酒を飲んでいると、ソンジュンの作品を観たことがあると言う3人の映画学生たちが声をかけてくる。ひとしきり映画論で盛り上がり、次の店で騒ごうという話になるが、ソンジュンは学生たちを置いて、2年前に別れたキョンジン(キム・ボギョン)のアパートを訪ねる。・・・(上映特集ページより)


男と女の心模様は、何故?どうして?と訊かれてもどうにも説明のしようがないことが起きてしまうこともある。本作もまさにそうで、昨日は甘い言葉を囁いたかと思えば、次の日にはまるで正反対のことを言い出したりする。しかもそれが全く何の理由もなく。
一般的にはそれを「心変わり」とでも呼ぶんだろうけど、その理由づけはあってもいいし、極端なことを言えば別になくても構わない。とにかくもう気持ちが覚めた、状況が変わった、やっぱりこれはよくないから、と言えば、それがもう立派な理由になってしまいそうな節がある。本作のソンジュンとバーのオーナー女性もそうで、熱烈なラブコールの後に、それまでの流れとはまるで違う方向に行ってしまう。観ている方はキツネにつままれたような感覚に捉われるけど、よくよく考えてみれば恋愛において急に気が変わることはなくもない。その時はのぼせていても頭を冷やすと無理な話だったと気がつくとか、物理的に不可能とか、要するに「醒めた」状態。それが一気に来ることもあるわけで、そのことに文句など言える訳はないけど、あまりにもそれが早過ぎないか??? と、ここで何だかおかしくなってしまった。


そんなところもどこかピントがズレててコミカルだったり、同じシークエンスが何回も出て来てそのたびに対応が違ったり、こちらがちゃんと観ていなかったのではないかとも思わせるようなズレをも感じさせるのだが、そのズレはこちらの心の中にあるズレなのである。普段は平気で人に対してブレている行動を取るのに、それを見せつけられた時には一貫性の無さが大変納得がいかない感覚になる。その気持ち悪さも織り込み済みでのストーリー展開をしていくのには、ブレる人間の行動に監督自身が面白味を感じているのもあるだろうが、それを繰り返す側の矛盾だったり、ノスタルジーだったりを見てほしいという意識もあるように感じる。
示し合せたように同時にソンジュンたちが前言を覆すシーンには戸惑いを覚える観客も多いと予想するが、それは言いかえれば自分たちにも身に覚えがある「バツの悪さ」にも似ているのだろう。映画でわざわざそのバツの悪さを追求していくのも非常に珍しい。とぼけたような、でも何となく後ろめたいような作風で、男女のごちゃっとした言い訳の面倒な所を言い当てる才能には舌を巻かされる。


★★★☆ 3.5/5点






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