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『ちいさな哲学者たち』 (2010) / フランス

2011-07-15 | 洋画(た行)


原題: CE N'EST QU'UN DEBUT/JUST A BEGINNING
監督: ジャン=ピエール・ポッツィ 、ピエール・バルジエ
出演: パスカリーヌ・ドリアニ 、イザベル・デュフロック 、ジャック・プレヴェール幼稚園の園児たち
鑑賞劇場: 新宿武蔵野館

公式サイトはこちら。



タイトル&予告を見て、ああこれはまさに『パリ20区、僕たちのクラス』の前哨戦? と思ったんですが、
それはあながち間違いではなく。


幼稚園児に哲学をさせたらどうなるか?
などという発想がまず出ることはない日本の幼児教育の概念からしたら、本作は仰天の発想に違いありません。
プログラムとして真面目に幼稚園児に2年間哲学の講義(実際はワークショップ?)をして、
それに助成金も出すという本格的な取り組みです。
すごいですよねー。


フランスなどでは、例えばですが、

「Aという人にとって、Bという人はこういう存在で、
自分とはどのあたりがこういう風に違う。」

というスタンスの取り方が、幼児期からきちんとできるようにされているんじゃないでしょうか。
これが日本ですと、本当に全く一元的な角度からしか対人関係を捉えさせてもらえないため、
いわゆる「協調性」「横並び」の概念だけを植えつけられてしまって就学となる。
そして自分だけが他と違うことはそれからずっと許されない社会へと仲間入りしていく。
これはある意味、大変生きづらいと思います。
日本の思春期の子どもたちが、きちんと自分を表現していくことが大変難しくて
(学校・家庭・地域・そして同年代の子どもたちからも、「空気を読め」と言われるのがいい例だと思います)、
のびやかに過ごせず、そこからフラストレーションが溜まっていく現象が、
個人個人の成長を妨げており、結果として社会へ実力を発揮しづらい状況となっています。


幼稚園児たちは最初こそは何をしたらいいのか戸惑いますが、
次第に与えられたテーマについて話し始めます。
「愛とは何か」
「死とは何か」
「自由とは何か」
もちろん、年齢からして集中力が長時間持続はしないと思いますので、かいつまんでの収録なんだと思いますが、
彼らの言葉の内容ですね。 驚かされます。
大人に訊いたってちゃんとした答えが返ってくるかどうかわからないのに、
幼稚園児の人生で経験したことを懸命に話している。
ただの子どもの話じゃないか、と片付けてしまえばそれまでかもしれません。 しかしながら、
この年齢でもきちんとそれらの区別をつけられる、そしてその問題について議論しているということが素晴らしい。
自己を見つめることに年齢は関係ないのかもしれません。


こういった取り組みを敢えてしなくとも、もしかしたらきちんと語れるかもしれない
フランスの幼稚園児たち。
それは、彼らを幼くても一人前として扱う教育方針の違いなのかもしれません。
小さいころからこれをやってれば、成長してからの交渉事でも強い訳だよ・・・ と思わざるを得ない。
日本の教育が全てダメとは言いませんが、一元的・没個性なままですと、
いつまで経っても交渉では不利となり、国益にも影響してくるんじゃないかという気もします。
そういう意味では日本の幼児教育関係者には観てほしい映画です。


★★★☆ 3.5/5点







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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
教育。 (BC)
2011-08-06 00:14:27
rose_chocolatさん、こんばんは。

この作品、気になっているんだけど、
私のとこではモーニングとレイトだけになってしまったので観逃しそうです。。。

私は幼稚園の時に「信号は緑なのになんで青というの?」
幼稚園服の事を「どうして男の子は青で女の子はピンクなの?」
と言って親を困らせた子供でした。。。
幼児期の子供が感じたまま素直に発する言葉って、そのまま哲学だったりするんですよね。
それを抑え込み周囲との馴れ合いを美徳とする日本の教育は考えものですね・・・。
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BC。さん (rose_chocolat)
2011-08-09 06:23:43
これ結構面白かったですよ。
BC。さんみたいに小さいときから哲学の概念があるなら、なおさら楽しめると思います。

その、幼児期の哲学の伸ばし方は、日本は見習った方がいいかなと感じました。
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幼稚園。 (BC)
2011-08-14 21:48:10
rose_chocolatさん、こんばんは。

制服がある日本の幼稚園と私服で髪型も様々なフランスの幼稚園。
その点からして閉鎖的な日本の幼児教育と開放的なフランスの幼児教育の差を実感しましたよ。

確かに、フランスの子供達はこういう哲学の授業がなかったとしても
キチンと自分の言葉で意見を述べる事が出来そうですよね。
ただ、意見が分かれた時の対処の仕方は周囲の大人が冷静に導いていけないでしょうね。
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BC。さん (rose_chocolat)
2011-08-14 21:55:23
>意見が分かれた時の対処の仕方は周囲の大人が冷静に導いていけないでしょうね。

↑ これって『パリ20区、僕たちのクラス』でもありましたね。
確かに喧々諤々となるのでしょうけど、そこから生まれる反応もあるように思います。

閉鎖的な教育って将来考えるとよろしくないですよね。
合わせられる子はいいけど、そうじゃない子もいるし。
子どもが生きづらい世の中です。
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