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『Peace ピース』 (2010) / 日本・アメリカ・韓国

2011-07-08 | 邦画(は行・ま行)


監督・製作・撮影・編集:想田和弘
試写会場:映画美学校

公式サイトはこちら。 (2011年7月16日公開予定)


2010年東京フィルメックス観客賞受賞作品。

ecocoloさんのご招待で試写に行って来ました。
場所は新しくなった映画美学校、ユーロの真下です。
今回は、「大地を守る会」の協賛もあり、野菜ジュースを1人2本もいただいてしまいました^^
節電で暑いからこれはうれしい企画です。








最初は「平和を題材にして映画を撮ってほしい」という韓国からのオファーに基づいての企画であったから、
猫の生態が面白そうという感じで撮り始める。
しかしながらそこから派生していく多くの「平和」たちがあった。


あくまでも、対象を観察するという視点に立った想田監督の「観察映画」。
本作も舞台が岡山、しかも奥さまのご実家が舞台なだけに、
前作『精神』に近いのではないだろうかと予想していました。
監督は最初から撮影対象に対して設定はせず、素のままを撮影していくため、
フィルム自体が1つのハプニングのようなものである。 この作風は今までもこれからも変わらないように思う。
その撮影の過程から次々と生まれ出る、平和へのヒントがそこここにある。
撮っているだけでこんなにうまいことつながってくるものなのか? とも思うのですが、
それが事実。
私たちの周りにもきっと多くの平和たちが眠っている訳で、そこに気がつけばそれは見事に
「平和」となり、見過ごせばただの日常として過ぎ去っていく。
まるであらゆることが「Peace」へとつながっているかのような映像の連続がそこにはある。
その様子はまさに「ミラクル」以外の何物でもない。
ラスト近く、カーステレオの内容と、台詞が見事にリンクしているシーンなどはまさに監督曰く、
「ドキュメンタリーの神様が降りて来てくれた」映像なのかもしれない。
平和とは何か、探し求めて題材と真摯に向き合った監督へのご褒美とも言えよう。


弱きものに手を差し伸べる、というのがたぶん、想田監督もだし、奥さまの柏木規与子さんもですし、
その縁者の方々もそうなのでしょう。
しかしながら柏木ご夫妻の優しさ、誇り高さ、実直さは、昔気質の日本人が持っていた良さそのものであり、
失われつつあることだなと改めて感じる。
自分たちにとってはメリットがないこと、労苦の方が多いことに対しても、
自分たちがそこに必要とされている限りきちんと向き合っていく誠実さは、
営利優先、効率優先の現在においてなくなりつつある。 そのことが虚しく思い起こされると同時に、
いつまでもこの美しいこころが引き継がれていってほしいと願わずにはいられない気がする。
劇中登場する91歳の橋本至郎氏の回想も、当時の日本人だったら誰もが思わずにはいられないことであり、
また自分たちの経験は後世にさせたくないという想い。 
全てが平和につながっており、また平和そのものがゆったりと流れている。



上映後、想田監督のトークがありました。
「今回の企画は、韓国からのオファーだったので、『観察映画 番外編』としてみました」
と語ってくれた監督。
猫たちの社会のほっこりとした情景を織り交ぜながら、日本の方向性と現実との大きな乖離も混ぜ込むなど、
観察の中にも実に多くの「神様」がいてくれるものなのだろうかと感じました。



★★★☆ 3.5/5点











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2 Comments

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平和。 (BC)
2011-08-27 20:04:36
rose_chocolatさん、こんばんは。

“猫の生態撮り”から“平和”へつながっていったんだ。

>ラスト近く、カーステレオの内容と、台詞が見事にリンクしているシーンなどはまさに監督曰く、
「ドキュメンタリーの神様が降りて来てくれた」映像なのかもしれない。

この場面は都合良すぎて、一瞬フィクションかと思ったんだけど、
現実の状況とメディアから流れる内容が一致する事ってわりとありますよね。
返信する
BC。さん (rose_chocolat)
2011-08-28 00:56:41
最初に猫ちゃんたちがいて、そこからいろいろと派生したみたい。

カーステのシーンは本当にあのまんまだそうですね。
よくぞ映画の神様が降臨しましたという感じでした。
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