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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.024 銀河の生と死

2013-06-30 09:11:12 | 梗概/兄妹の秘密
忙しい日々は半年がすると、海都の仕事はゆっくりなものになり余裕が出来たのか、海都は聖子と話せる機会が訪れると、聖子は銀河の事を話せるチャンスが来たと思った。
海都が絵画を描く姿を扉越しに見ていると、兄銀河の姿を思い出す聖子。
言葉少なく静かで姿を見ているだけで安心感を与えてくれる、聖子はたった一日しか銀河の笑顔を見た事はない。
海都は絵を描く事しかしない、食事を作る人、ベッドメイキングをする人等が分けられ、海都の身の回りの世話をしていた。
銀河と海都は同じ、食事を一緒に摂っていても言葉はなく、瞳を合わせる事もなく、聖子は声を掛ける事が出来なかった。
聖子は話せるチャンスと思っていたが、そのチャンスはなさそうだと思い始めた時、ある訪問者によって話の出来るチャンスが来る。
「おーい!海都!ブロックだ、ブロックが来てやったぞ、お前の父ちゃんだ!」
時期を見計らってかブロックが海都のアトリエへ何処からともなくやって来た。
海都は嬉しがったり喜んだりはせず、淡々とブロックに対応している。
海都とブロックはリビングの部屋へ入り、ビジネスの話をしていた。
「おーい、お嬢ちゃん、どこにいるんだ?」
海都は義理の父ブロックに封筒を渡し、ビジネスの話が終わると、ブロックは聖子を呼んだ。
このチャンスを見逃したら、海都と話す事は出来ないと考えた聖子はウィスキーを持ち、リビングの部屋へ入っていく。
「海都!使えるお嬢ちゃんだろ、ゴエモンからの紹介だ、若いのに古美術商人だぞ」
「君は闇商人をしてるのか?」
「いいえ、普通の商人です」
海都が初めて普通に聖子に声を掛けた時であり、ゴエモンの紹介であるという事を聞いた海都の表情は無表情だが安心したような顔つきを聖子に見せた。
海都は多くの商人と白紙の契約をし、一時だけ共に仕事をするという。
商人が顧客を紹介し収益の一割が商人へ渡されるが、ブロックに対しては収益の三割が渡される。
海都は芸術家でありビジネスマンでもあった。
「お嬢ちゃんは結婚はしねえのか?結婚して子供を作れば幸せだろうよ、商人なんてなるもんじゃねえだろ、なあ海都」
「私がもし結婚して子供を作ったら、子供に銀河とつけるけどね(あきら)なら男でも女でも使えるしね」
ブロックと聖子の会話を聞いていた海都はブロックに返事をする聖子の表情を見て不思議な思いを抱くようになる。
しばらくするとブロックは海都の元を離れて行った。
ブロックが帰ると、いつもの海都ならアトリエに入るのだが、この時は窓の外を静かに眺めていた。
「何を考えてるのですか?」
聖子から海都に声を掛けると、海都は振り向きながら。
「何故?銀河(あきら)なんだ?ただの思い付きか?」
海都は聖子に声をけると、聖子は海都の横に立ち、銀河は自分の兄である事を海都に打ち明ける。
「銀河はもう死んでしまったのでは?」
「イタリアで三十日間だけ一緒に過ごしたけど、その後一枚の絵画を残して死んじゃった」
「そうか、墓参りはしたのか?」
「イタリアで、お墓参りはしてきました」
「そうか、イタリアか、それじゃ、ナポリだね」
聖子は海都との会話で銀河には、秘密があるような気がしていた。
誰もが銀河は死んでしまったと思っているはずが、海都は、まるで銀河の全てを知り、秘密を持っているように思う聖子だった。
しかし、聖子は、海都に自分が感じる思いを海都に問いかけることはなかった。
「僕はイタリアにはいかないよ、フランスにも銀河の墓はあるから」
聖子は海都の言葉を考えるとフランスにも銀河を崇拝するファンがいて、お墓を作ったのか?それとも海都が作ったのか、そう思うようになっていた。
「銀河の妹か、もし銀河が生きていたらどうする?」
海都の言葉に鳥肌を立てる聖子、生きていたら?ってどういう事?聖子は、やはり海都は銀河の秘密を持っている事を確信した。
「兄が生きていたら、兄と一緒に芸術家と古美術商をやるわ」
聖子の言葉に海都は晴れた空を眺めながら、聖子に真実を伝えるべきか考えていた。

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