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梗概小説/兄妹の秘密-夢幻-:Vol.025 第二の人生

2013-07-03 10:17:23 | 梗概/兄妹の秘密
聖子は海都の横に立ち、海都の傍を離れようとはしなかった。
「海都さん、本当の真実を私は知りたいの、知らなければ私は先に進めないし生きてる意味がないの」
聖子は涙ながらに、この旅が聖子にとってどういう事なのか、海都に伝えていく。
海都は聖子に考えてみると言い、数日の間、筆を手にする事はなかった。
おそらく海都は銀河の気持ちを考えている、もし再び聖子と銀河が出逢ってしまう時、銀河の気持ちはどうなってしまうのかを考えているのだ。
育ち方や生き方は違うものの、原点はゴエモンの店から始まっている。
ゴエモンの店では銀河と海都は一つ違いの兄弟のように過ごし、芸術とビジネスを学んだ仲である。
海都が師と仰ぐのはゴエモンであり、父と仰ぐのはブロックである。
海都は自分では決める事が出来ず、師であるゴエモンか父であるブロックか、どちらかに答えを導き出してもらおうとする。
海都が出した答えはゴエモンであった、そしてゴエモンに手紙を書き、答えを導き出してもらおうと考えた。
ゴエモンから返って来た言葉は「ありのままに」とだけである。
海都は聖子をリビングに呼び、ゴエモンの店での事から話を始める。
「え?兄は生きているのですか?」
「ああ、フランスに墓を作ったのは僕だ」
海都はセーヌ川沿いの街、ルーアンに銀河の墓を作り、セーヌ川とブロトンタの森の間の街、アルトーヴィルに屋敷を作り、その屋敷に銀河は住み生きている事を聖子に明かした。
自然のある場所で銀河を住ませてあげる事が海都には銀河への最大の出来る事だった。
銀河は両方の手首を切り、自分の血液を使いミシェルのアトリエで最後の油絵を描き、それは言葉では言い表せない感情に包まれていた。
自分の人生への憎しみか怒りか、それとも母への思いなのか、それは解らない。
手首を切り最後の力で、ゴエモンの店に行き、その時ゴエモンの店には海都が偶然立ち寄り、命は助けたが二度と筆を持ち描く事が出来なくなった。
その頃の銀河には数十億という財産があり、その財を使い生き延びていると海都は聖子へ伝えた。
そして、アルトーヴィルの屋敷には執事やメイドが銀河の世話をし、時には海都も銀河に会いに行っていた。
「なぜ、フランスに兄のお墓を立てたの?」
「もう銀河の人生は終わっている、今は第二の人生にする為に墓を立てたんだ」
銀河は聖子に謝罪をし、ルーアンの墓へ行き、その後、銀河に会いに行く事を約束をした。
聖子は海都を責める事はしなかった。
実の母が実の兄を捨てた事や兄に愛情を与えなかった事、そしてビジネスに関わらせた事を考えれば海都を責める事は出来なかった。
海都は、アルトーヴィルの屋敷へ連絡をし、銀河の体調を聞き、会いに行く日を決めた。
二日後、聖子は自分の荷物をまとめ、海都と共に銀河に会いに行く。
まずは、ルーアンの墓へ行くと多くの花束が置かれていた。
聖子は誰が管理をしているのかと海都に聞くとアルトーヴィルとルーアンの間にある街、ル・カトリエの銀河のファン達が毎日のように花束を持ち銀河の墓を飾ってくれていた。
銀河は過去に、ル・カトリエとルーアンに住む貧しい生活をする子供達に絵画いや芸術というものを教える事があり、心のゆとりというものを与えていた。
その事で、ル・カトリエやルーアンの貧しさには笑顔があり、貧しくも前を向いて生きていく事を教えていたのだ。
「こんな事があっていいの?」
聖子は愛情を知らない兄、銀河の優しさを知った時だった。
墓の周りで遊ぶ子供達に、海都は聖子を銀河の妹である事を話し紹介をすると、そこには絶えない笑顔があった。
兄銀河の過去を知っていく聖子。
ナポリでたった一度だけのダンスと銀河の笑顔を聖子は思い出し、しばらく子供達と笑顔を見せ合い、その中には銀河の姿が浮かんでくる。
銀河の墓参りを済ませると、次に行く場所は、アルトーヴィルの屋敷である。
「銀河に逢える」
聖子の心の中にある言葉は、この言葉以外なかった。
この聖子の旅をするにあたり、聖子の胸につかえていたものが徐々に減っていく。
聖子と海都は、ル・カトリエやルーアンに一泊ずつして二人は過去の銀河の事を考えるようになり、聖子は涙ぐみ海都は聖子の傍に寄り添う。
「君は強い女性なんだね」
海都は聖子に声を掛けると、聖子は手で涙をふき、笑顔で海都を見つめている。

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