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第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー32話

2023-01-29 12:53:11 | 第2弾:蒼い時のドリームキャッチャー


手も足も出せない直也はスパーリングをしていた頃を思い出していたに違いありません。
「勝利を得るものは自分と戦い無心となり身を切らせて骨を絶つ」
直也は、この喧嘩の遊びはボクシングジムで学んだことを思い出していたのです。ボクシングジムの会長の言葉です。この意味を知ったからこそチャンピオンとなりそして直也は立ち続けることができるのです。直也は殴られ続けることで怒りや憎しみを一時でも忘れたかった。それだけで良かったと思う直也でした。倉庫内にいる松校と崔校の学生たちは「こんなことはありえねぇ」と思いながら言葉を失います。この場所で喧嘩をする気持ちのある学生は誰一人もいなくなります。直也のようなことができるのは都市伝説にもなっている春樹の伝説だけでした。春樹は小学中学年頃から他の生徒達に知られるようになります。春樹は背は小さく泣き虫で喧嘩をする解きは一切手を出すことはなかったのです。中学へ入ると永眠をする前に数回だけ5、6人を相手に血だらけになるくらいの喧嘩をしたのです。廃屋の倉庫内にいた学生達は直也の行動を見て春樹の事を思い出させていたのかもしれません。春樹の創り出した都市伝説に直也が関わる事で情報屋からさらに広がります。
「言っとくがなぁ、殴るほうが勝つわけじゃねぇぞ、喧嘩して勝ったと思うなよ」
真一は大声で叫んだ後に直也を肩にかけ尊学の仲間舘と一緒に倉庫を後にします。なんつうやっちゃ!直也はと思う倉庫内の場にいた尊学の仲間達は黙ったままで歩いていくだけです。そして直也が仲間で良かったと思うだけです。
「これが直也なんだ殴っても殴られても平気なんだ喧嘩の勝ち方知ってるんだ!だからアイツラの喧嘩は遊びだと思ってるんだぜ分かったろ!馬鹿どもが」
真一は直也を抱えながら他の仲間に声をかけた時に茂木は理解できるような気がすると真一に答えます。暴走族に身を置いた時の茂木は入る時と止める時では考えが違う事を思い出していました。
「直也に勝てるやつは、いねぇってことか?」と元暴走族の頭(総長)をしていた茂木は真一に言います。
「そういうことそれに、こんなになっても病院にいかねぇのが直也なんだよな病院に連れて行ったら殴られるどころか殺されるかもよ」
「まじかよ?」
「あぁ、生きてて良かったな、直也」
真一は笑いながら冗談のように言いますが直也の気性を知っているのは真一だけです。尊学の仲間達は先輩たちからのルールは馬鹿々々しいと思いながら歩いていました。徐々に笑い声が出てきます。
「あいつら、ビックリしてたよなー」
「そうそうアイツラきっと、馬鹿なんだよな、きっとよ」
こんな会話の中で面白がって笑う仲間達でした。学校近くの公園のベンチに直也を横に寝かせ直也が気がつくのを真一や仲間達は待ちます。その間の他の仲間達も公園の中で滑り台を滑ったりブランコやシーソーで遊びます。一時間ほどたった頃には直也は気がついて自分で起き上がりベンチに座ります。
「うわっ、真っ赤だぜ、どうすんだよ」と周りにいた仲間達は直也に声をかけます。
「直也、大丈夫かよ、目開けられるか?」
「大丈夫だよ、このくらいで病院に行く直也じゃねぇよな」
直也は口はきけず真一が変わりに答えます。片目を開けながら笑う直也の姿は仲間達に何かを与えているかのようでした。しばらくすると直也は動きはじめようとしたが足が震えて倒れこみます。喫茶店にいた副委員長の典子は窓の外を見ると学生達の集団の姿と声を聞き後を追いかけ公園に来てしまいます。
「委員長!あんたたちがやったの?誰か答えなさいよ。こら早く答えなさい!」
誰も典子に答える仲間達はいませんでした。典子は直也の仲間達の清々しい姿を見て不思議そうな表情を浮かべます。
「大丈夫だよ。心配なんかすんなよな、須藤だっけ?」
「呼び捨てにしないでよね!馬鹿!彼氏でもないくせに」
「典子!馬鹿って言うなよな、俺の仲間たちにはよってな」
直也は典子に声をかけ典子はハンカチを濡らし血だらけの顔の血をふきとっていきます。
「このこと、誰にも言うなよな典子、誰かに言ったら、もう一緒に歩ってやらねぇからな」
典子は、ちょっと照れくさそうな顔をして首を縦にふります。
「お前ら、中学の時、いったいどんなことしてきたの、真一よ」と茂木は真一に過去の事を軽く聞きます。
「直也と付き合っていけばわかるよ、これから付き合って行けばな」
茂木は真一のこの言葉で直也の強さを知ったような、そしてなぜ仲間から慕われるのかを知ったような気がしています。夏休み前日の事があってから崔校の連中が尊学に喧嘩を売ることも買うことも徐々に少なくなっていくのです。もう一つの松陰高等学校の連中も以前より喧嘩の噂がなくなっていたようです。松陰は小学校から高校まで受験する事なく高校卒業まで進めます。松陰中等学校と言えば直也の従兄弟が通っていた学校。春樹の伝説を持つ学校です。春樹の伝説は中学高校と学生の中で伝えられていました。この時はまだ直也が春樹の従兄弟と知っているのは真一と典子だけでした。しばらく公園で直也が動けるようになるまで仲間達は待ちつづけ意識を取り戻す直也の姿を見て確認して安心した仲間達は駅のホームへ電車に乗り分かれていきます。目も開けられるようになり直也は典子と真一に連れられ家に戻って手当てを受けます。叔父や叔母は真っ赤な顔や丸くなった顔をした直也には特に何も言いませんでした。学生同士の事は真一と典子に任せることにしたようです。叔父叔母は、きっと良いことしてきたんだろうと前向きに思うようにしていたようです。本当の息子の春樹の時と同じように接していたのです。
叔父夫婦は近くの医師に連絡し直也の往診をお願いしました。医師には直也の事は秘密にと頭を下げます。医師は30分ほどで往診をしに来てくれました。直也の状況は骨折はなく顔面と胸腹部の打撲程度。普通では考えられない骨折するくらいの大怪我になっていたとの事で2、3日の内に意識は戻るだろうと医師は言い残していきました。
「直也が目を覚ましたら連絡してくれな動けるようになってからでもいいや」
真一は典子に声をかけ店の前まで送り家へ帰ります。夏休みに入ってから直也は春樹の部屋の中で横になっています。典子は直也が気がつくまで汗を拭いたりシップの交換をしていました。直也の身体は顔面はれあがり全身に内出血のあざだらけです。典子は心の中で直也は本当に死ぬつもりだったのだろうかと思っていました。茂木がなぜ直也に相談を持ちかけたのか。高校生になってから数日後に茂木は1人で屋上にいました。直也は息抜きと思い屋上へ偶然たまたま茂木と出会います。茂木は直也が声をかけるまでフェンスに寄り掛り空を眺めています。
「お前、学年同じ?」
「関係ねぇだろ」
「お前見てるとリーゼントといい背丈といい族(暴走族)の仲間ー思い出したよ」
「お前も族だったんか?」
「いや生まれたときから一緒でよ。あいつは今年少(少年院)に入ってる」
「えっ?」
「特攻隊長やっててな誰もが知ってる悪(わる)で先輩達も手が出せなかった」
「へーそうだったんか」
「そいつに言われたんだ、俺とは違う道を歩いていって欲しいってな」
直也と茂木は、この時から知り合いになり信じあえる関係となります。茂木には少しずつ直也が気なる存在になっていきます。顔をあわせれば言葉はなく「あうんの呼吸」で挨拶をする感じ。茂木にも仲間がいて5人の仲間に守られていたのです。条件付の入学だからです。直也の手当てをしながら直也と2人で春樹の部屋にいる典子でした。春樹の特攻服を見てアルバムを見ていると春樹と直也は仲良しだった事を知ります。写真の中の2人は兄弟のようです。春樹と直也が徐々に重なって見えていきます。
「直也の過去には、いったい何があったんだろう?」
典子は直也が何のために実家を離れこの街の学校へきたのかを考えます。
「偶然だったのかな?」と典子は思っていました。
典子は春樹と産まれてから一緒で春樹は弱虫で良く泣いていて助けてくれる春樹は喧嘩が弱いのに典子を逃がし春樹はいつも傷だらけだった。
「春樹は本当に弱かったのかな?傷だらけでも笑ってた、あの笑顔で救われた」
喧嘩している時には絶対に手を出す事はしなかったのを思い出します。春樹と同じ行動をする直也を見ていると少し辛いけど一緒にいたいと思います。そう思っていた典子は春樹と直也の2人の写真を見ながら涙を流し泣くしかなかったのです。典子は直也の中学時代の事を知りません。でも春樹と同じだったのかもと考えていました。ガーゼと包帯だらけの直也の顔を見つめると悲しいような嬉しいようなと思う典子です。直也と久美子や春樹と典子、この男女の関係は同じものだったのかもしれません。春樹が亡くなった背景には春樹の2つ上の先輩を助けるため変わりに世を去ることになってしまったのです。その先輩は高校を退学させられ典子の両親が営む焼肉店で働いていました。春樹の両親は償いなどしなくてもいいと言って何度も追い返していたようです。そのためラーメン屋ではなく叔父の弟分の焼肉店で働く事で償いをしようと考えていたのです。


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