大航海時代~ロイルート編~

大航海みたいな日々の事。そんな日のこと。

『この虹の先へ…』第二十三回

2007-04-13 | 小説
 夜、寝る前に風呂に入っていると扉の向こうから麗菜の声が。
「あの…兄さん、えっと、その…」
ガラス効果で姿はぼやけてて分からないが、顔が赤いような気がする。
「せ、背中……流しましょうか?」
……ちょっと待て。何だ、この展開は。いくら妹だからといって、良い年頃だ。しかも血は繋がってないし。自分に変な気が起こる前にきっぱりと。
「いや、結構。とりあえず、自分の部屋で待ってなさい!」
「でも……。…はい。わかりました」
洗面所から出て行くのが分かる。
「…はぁ…」
思わずため息が出た。
 「で、急にどうしたんだ?」
風呂から上がり、麗菜の部屋での第一声だ。妹は顔を赤らめてこう言った。
「その…お友達が…その…年が近い兄妹は背中を流し合っているのが一般的だから、麗菜もやってあげたら?と言われまして…」
ほうほう、それは素晴らしい一般的な事だ。しかし、そんな一般的な事は聞いた事がない。というか、そいつは本当に友達なのだろうか?いじめじゃないだろうな。言う方も言う方だが、信じる方も信じる方だ。
「なんだって、そんな嘘信じたんだ?」
麗菜は目をそらす。
「や、やっぱり…嘘だったのですね…」
本人も気付いてはいたようだ。それはそうだろう。いくら心が純真といえど、高校生にもなると騙されまい。しかし、それでも信じたのは何故だろうか。今度はこちらを見て、両手で握り拳を作った。
「お友達に怒っておきます!」
そういう麗菜の表情は真剣だ。怒っているようである。しかし、他者から見ると怒っているように見えない。これを本人に伝えると後悔しそうなので黙っておく。
 後日、この事が原因で問題が起きる事を俺達は全く予想していなかったのだ。その問題は、いずれ語る時が来るのでお楽しみに。


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