自然食品店・オーガニック珈琲店「ろばや」のブログ

小金井にある自然食品店『ろばや』のブログです(※2014年2月閉店しました。珈琲、紅茶、一部の雑貨等は国分寺店にて継続)

約7℃の温度上昇

2011年05月22日 09時04分00秒 | 【コラム】 ロバの深呼吸
5月の連休に伊方原発へ行きました。

 愛媛県の西に突き出た佐田岬半島を走る国道197号線は、半島の先端、三崎町から大分の佐賀関町までは国道フェリーが約1時間で結ばれています。大分県に入っても197号線は続き海峡を挟んでの珍しい国道です。

 この海域でとれるサバやアジは佐賀関に水揚げされれば「関サバ」、三崎町に水揚げされると「岬(はな)サバ」といわれます。この辺りでは岬のことを、“はな”と呼びます。

 このルートは伊方原発で大きな事故が場合の避難ルートとなります。それは佐田岬半島の付け根付近に伊方原発があるからです。

 伊方原発から瀬戸内海を見渡すと、白波の向こうに、別の原発予定地、山口県の長島や、祝島がよく見えます。ここからは見えませんが、岩国基地もあり、伊方原発から直線距離で約800メートルの山中に、米軍の大型ヘリコプターが墜落したこともあります。この時、四国電力は「原発は飛行機が墜落しても大丈夫だ」と説明したそうです。

 四国電力の現在の常務は元原子力安全・保安院主席統括安全審査官であり、東電福島原発の元安全責任者だそうです。甘い天下りです。

 他の原発でもそうらしいのですが、この伊方原発の沖、約200m付近にも数隻の漁船が漁をしているのが目入ってきます。とても近い距離です。「太った魚」がとれるのだと、元記者で肝臓ガンとたたかいながら、原発ともたたかっている近藤さんが話してくれました。

 この辺りでも魚の大量死が何度も起こったり、今年に入っても放射性ヨウ素が検出されています。そんな場所での漁は異様です。

 とった魚は地元漁協には出荷せず、漁師自身も食べることなく、松山方面に出荷されるそうです。が、その先はわかりません。

 原発では、発電用タービンを回したあとの蒸気を海水で冷却します。この海水は、海へ放出されるのですが、取水した時の水温に比べて約7℃の温度上昇となるので、温排水と呼ばれているのです。

 ウランの発生熱量の約2/3が海中に放出されるとも言われています。別の見方をすれば、原発は海水を温め続けているともいえるのです。

 電気出力1万Kワットあたり0.7~0.8トン/秒といわれています。一般の100万Kw原発だと1秒間に70~80トン。伊方原発だと毎秒141トン、これは徳島県の吉野川の流量と同じくらいだそうです。全国の原発を合計すると凄い量になります。さらに原発は韓国や中国、台湾などにもあります。

 生態系の影響は、地元漁師が実感していることでしょう。伊方原発3基と近くに計画されている上関原発からの温排水は瀬戸内を温め続け、環境の変化をもたらすはずです。

 また、取水に伴う、カキやフジツボなどの貝類、海草の配管付着を防ぐために注入されている塩素なども量が多いだけにどう生態系に影響しているのでしょうか。

 佐田岬半島を走る国道は197号線。地元では数字から冗談で“いくな”とも言われます。これがいつまでも冗談であって欲しいと願うばかりです。(トモ)

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