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宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち(RISMI)

活動記録や生物の紹介とか。マメな更新ができていませんが… m(_ _)m posted by コモン

12月定例会

2022-12-02 | 活動報告

12月定例会デス。

今回は、日本サンゴ礁学会「サンゴ礁保全・教育普及奨励賞」の受賞報告と
サンゴの白化報告続報、夜間観察会の相談、それからアレコレ生物解説雑談です。

受賞報告は前回のブログ記事をご参照ください。
この記事にない話題としては、授賞式の様子の話題とか
石垣土産の「車えびせんべい」をバリバリ食べまくったことくらいかな。

①白化報告続報

さて、サンゴの白化報告の続報。新城のお隣、吉野についてです。
前回定例会では11/3の新城について、枝状ハマサンゴの9割以上が死亡し、
被度が10%程度に激減したことをご報告しました。

吉野。こちらでも枝状ハマサンゴの白化と死亡が確認されましたが…

白化しているけど、壊滅状態には至らずに済んだようです。
正確な死亡率はきちんと出していませんが、50~60%でしょうか。

新城ではほぼ半数が枝状ハマサンゴで構成されていましたが、
吉野では枝状ハマサンゴの構成比は10~20%程度で、
優占する塊状のハマサンゴや枝状のコモンサンゴがほとんどが
生き残っていたので、サンゴ群集全体の被度低下には
至らなかったようです。

新城と吉野は非常に近いのですが、リーフエッジまでの距離の違いが
リーフ内の海水交換の善し悪しがこのような違いをもたらしたのかも
しれません。

なお、上野沿岸では、枝状ハマサンゴは生き残っているとの
情報提供もありました。

同じ宮古沿岸域でも、沿岸環境は多様であり、それが白化現象による
生死を分けるほどの違いになることもあるんだな~と思った次第です。

②夜間観察会の相談

はい、結論だけ。
1月22日(日)  午前0時、佐和田の浜(google地図)集合です。
気分的にはサタデーナイトですので、お間違いなく!!

最干潮は午前1時39分、潮位ー23cm であります。
会として安全管理ができないので会員&そのお友達限定です。
荒天中止なので、友利または梶原まで事前の参加申し込みを
お願いします。

③アレコレ生物解説雑談
雑談の成り行きで、主にウニ類の生物解説~。
コロナ停滞のおかげで、結構忘れている部分もあるので、
全会員対象に、海洋生物の基礎解説講座が必要かな、
とのコメントがありました。

④次会定例会
1月6日(金) 19時からデス!


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日本サンゴ礁学会 保全・教育普及奨励賞 受賞!!

2022-11-13 | 活動報告

このたび、日本サンゴ礁学会から
「サンゴ礁保全・教育普及奨励賞」をいただきました!!

RISMIの友利博一会長(左)と日本サンゴ礁学会の山野博哉会長@石垣市民会館

 

そしてこちらがステキな表彰状とカッコいい楯です。
楯の台座は、光の当たり加減でクリスタルに色が変化しつつ輝くんですよ~。

このサンゴ礁保全・教育普及奨励賞は、サンゴ礁の保全またはサンゴ礁に関わる
環境教育や普及啓発などを通して広く社会に貢献した具体的な活動を表彰するものです。
(日本サンゴ礁学会HPの学会賞受賞者一覧はこちら。RISMIは一番下にあるよ。)

RISMIは「宮古島市民による地域のサンゴ礁に関する学習と啓発活動」が評価されました。
このところコロナのために思うような活動ができていませんが、
20年にわたる地道な活動の全体が評価対象になったと受け止めています。

なお、この表彰は、沖縄県環境科学センターの長田智史さん、金井恵さん、
岡田亘さんからのご推薦があって、実現しました。
私たちの活動を温かく見守り、応援してくださり、心より感謝いたします。

今回の授賞式には友利会長と前田さんの2名で参加し、
会場ではRISMIの冊子&下敷き50部を配布しましたが
大変好評で、あっという間に品切れになりました。
冊子&下敷きも評価してもらえたようで、うれしい限りです。


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11月定例会

2022-11-04 | 活動報告

11月定例会です。
先日行った新城海岸での白化調査について情報共有です。

内容は、前回の記事で紹介したものですので、ここでは省略しますが、
撮影した多くの写真とともに新城の生物群集が今後どうなるかについて話をしました。
ともかく、枝状ハマサンゴが壊滅状態になったことは、大変衝撃的でした。


ほか、今後の活動予定について。

1. 日本サンゴ礁学会から「保全・教育普及奨励賞」をいただけることになり、
 その表彰式(11/13, 石垣)に友利会長と前田さんが出席します。

2. 荒天続きなので時期は未定ですが、改めてサンゴ礁モニタリングの実施を検討。

3.  コロナはまだ侮れないので、今年も忘年会はなし (T-T)

4. 12月以降の夜間観察会は企画します。

5. 気づけば2002年4月の会設立から20年になりましたので、20周年記念誌も
 企画してみます。会員から、記念誌のアイディア募集します。

 


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サンゴ白化調査@新城海岸

2022-11-03 | 活動報告

10月に新城海岸でサンゴの白化調査を予定していましたが、
荒天で中止、以後も強風が続いていたのですが、
11/3午前、少々弱まったので、急遽、調査してきました。

通常は100mのライントランセクト調査ですが、
今回は30分遊泳の目視調査で実施しました。

塊状のハマサンゴです。①は白化した様子がありませんが、②はまだらに白化、
③群体全体が真っ白になっています。同じ環境でも、群体によって白化の程度が
大きく異なっていました。

まだらに白化した群体でも、茶色い部分や白い部分はまだサンゴの生きた組織が
残っていますが、所々に虫食いのように群体の一部が死亡し、藻類が生えています。

全く部分死亡もない群体もあれば、群体の4割ほどが死亡している群体もありました。
塊状のハマサンゴ全体での死亡率は1割程度であるように思われました。

一方、枝状のハマサンゴ(主にユビエダハマサンゴと思われる)は、
9割以上が死亡しており、大変ひどい状況でした。
遠目にはわかりづらいのですが、上の写真はすべて死亡しています。

枝状のハマサンゴのクローズアップです。矢印が指している茶色い部分は
生き残っていますが、ほかは全て肉がはげ落ち、骨格の表面に藻類がついています。
群体によっては、この生き残った部分の割合がもっと高いものや、
死亡部分の方が少ないものもありましたが、全体としては少数派。

1998年や2016年の白化もひどかったですが、このように枝状のハマサンゴの
ほとんどが死亡する例は確認していませんでした。

これまで新城海岸のサンゴ被度は30%程度で、そのほとんどがハマサンゴで構成され、
塊状と枝状の比率は5:5~4:6でした。塊状が10%、枝状が90%以上(ひょと
したら95%以上かも)が死亡したため、サンゴ被度は10%程度に激減してしまいました。

ハマサンゴのなかまは一般に成長がきわめて遅い一方、オニヒトデにも食べられず、
白化に強いとされ、低被度ながら安定したサンゴ群集を維持していると思っていました。
しかし、今回の白化では深刻なダメージを受け、回復にいったいどれほどの年月を
要するのか見当もつきません。

ちょうどCOP27が開催されますが、地球温暖化対策がいかに待ったなしであるかを
サンゴが訴えているようです。

なお、ミドリイシ類は白化の影響を強く受けやすいのですが、新城海岸では、
所々に10m四方未満の小群落が生き残っているのが確認できました。
(主にオトメミドリイシと思われる)

これ以外にも、白化を生き抜いた種類はいくらか確認できました。
種として、あるいは遺伝的に白化に強いものが、残っているのでしょうけれど、
種や遺伝的多様性が下がったことは間違いありません。

 


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10月定例会

2022-10-07 | 活動報告

8月定例会は、コロナ感染拡大で中止。
9月定例会は、台風11号直撃で中止。
9月4日に予定していた新城の白化調査も、同じく。

で、やっと久々に定例会が開催できました(直前は激しい雨でしたが)。

 

今回は、会員の島田剛さん(海業センター)を講師に、
狩俣~八重干瀬を中心とした白化状況について
池間八重干瀬会の皆さんからの情報提供も含めて、
レクチャーしてもらいました。


2022年8月30日 八重干瀬サグナナガビジ 水深3m(撮影:島田剛)
枝状およびテーブル状ミドリイシと、枝状アナサンゴモドキを
主とするサンゴ群集。白化の程度は軽度から重度まで様々。

レクチャーの主な内容は次のとおりデス。

  • 8月上旬頃からサンゴの白化が確認できるようになった。
  • 8/9:海中公園前では多くの種類が明瞭に白化。
  • 8/22:海業センター沖では、礁縁から水深8m程度まで白化、
    数は少ないが死亡も見られた。一方、全く白化していない群体もあった。
  • 8/30:八重干瀬では、広い範囲で白化が確認されたが、
    完全に白くなった重度の白化は一部にとどまった。
  • 9/15~10/6:八重干瀬では、台風11号、12号による波浪のためか、
    枝状およびテーブル状のミドリイシの多くが破壊されていた。
    また8月下旬に比べて白化の程度は進行していたが、
    斃死はまだ一部にとどまっていた。(池間八重干瀬会提供情報)
  • 2016年の白化では水温が下がりきってしばらくしてから大量斃死が起こった。
    今年9月に2つの台風があり水温は下がっているが、白化したサンゴが
    生き残れるかどうかは不明。

今後、白化の経過を調べる調査がありますので、次回定例会に間に合えば、その報告があります。

また、10月15日は10:00よりRISMIとしての白化調査を新城で行います。
(後日追記:白化調査は悪天候のため、中止となりました)

2016年の大規模白化によるダメージからようやくサンゴが増えてきた矢先の今年の白化。
大量斃死に至ることなく、無事に回復すると良いのですが。

 


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