goo blog サービス終了のお知らせ 

宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち(RISMI)

活動記録や生物の紹介とか。マメな更新ができていませんが… m(_ _)m posted by コモン

4月定例会

2023-04-14 | 活動報告

4月定例会デス。年度明け早々はいろいろあるので、4月は第2金曜日の開催となりました。

今回の勉強会は、観察会再開に向けたリハビリ勉強会(その2)「主なサンゴの見分け方」。
サンゴの標本観察も交えて、その特徴や見分け方を勉強しました。

 

ターゲットは観察会で最も見かけることの多いミドリイシ属、コモンサンゴ属、ハマサンゴ属の3つ。

ミドリイシ属:基本は枝状の群体をつくる。個体は中軸個体(頂端個体)と放射個体(側生個体)の2タイプあるのが大きな特徴。

コモンサンゴ属:枝状、塊状、葉状、被覆状の群体をつくる。個体は1mm未満の小さな種が多く、共骨に埋没することが多い。共骨から微小なトゲが出ることが多いので、表面は紙やすりのような印象になる。

ハマサンゴ属:枝状、塊状、葉状の群体をつくる。個体は1mm未満の小さな種が多く、共骨に埋没することが多い。コモンサンゴと異なり、共骨に微小なトゲはないので、コモンサンゴより表面はスムースな印象になる。

短く要約するとこんな感じですが、勉強会では図解と顕微鏡観察も含めて詳しく解説し、参加した皆さんはおよその識別イメージがつかめたようでした。


さて、今後の活動予定。

長らくフィールドに出ていなかったことと、昨年の白化現象の影響を確認していないので、4月&5月前半は、フィールドの状況確認を主目的とする会員限定の観察会、5月後半から一般公募の観察会再開を目指すことにしました。

とりあえず確定しているのは、会員&知人など限定予定として次のとおりです。

  • 4/22(土) 14:00~ 下地赤崎
  • 4/23(日) 14:30~ 池間ツマビジ

会員の皆さんには別途、メール&LINEでお知らせします。

 


宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち HP

 

3月定例会

2023-03-03 | 活動報告

3月定例会デス。

今回の勉強会は、サンゴ礁の浅瀬で見られる生物解説です。
もうじき、昼間の干潮の引きも大きくなり、
一般向け観察会も再開できそうな見通しですので、
リハビリ勉強会、というわけです ^^;)



今回教材に用いたのは、昨年作成した下敷きです。


RISMI HPでの紹介ページ

70種掲載されていますが、この中から観察頻度の高いものを選んで、
解説+Q&A+脱線…。

オオバロニアに始まり、造礁生物シリーズ、ハナブサイソギンチャク、
イバラカンザイシゴカイ、と進めていったのですが、話が盛り上がり、
オウギガニ類の話でタイムアップ。

ちなみに、こちらはイワオウギガニさん。
主に岩場で観察されますが、やたらとハサミ足が太いので、
ムキムキガニという命名されてしまいました(笑)。

さて、直近の予定です。

3月26日(日)14:00~
 【会員&そのお友達限定】海業センター見学会(海には入りません)
 シャコガイの種苗生産やもずくの種付けなどが行われています。
 飼育している生物などを見学させてもらいます。

4月14日(金)19:00~ ※4月は第2金曜日です
 定例会(会員以外の方の参加もOKデス)
 次回勉強会は、サンゴ礁の生物学① ミドリイシほか
 このシリーズは、生物の分類群ごとに、
 体のつくりや生態的な特徴、見分け方などを解説します。

 


宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち HP


2月定例会

2023-02-03 | 活動報告

2月定例会デス。

(1)勉強会は、2022年白化現象についての総括。

  • 八重干瀬、池間北、池間東では、夏の白化による死亡は限定的。
    白化による被度低下はなく、ミドリイシが増えた場所もある。
  • 高野沖、ツフツワなどでは夏の白化でミドリイシの死亡があったが、
    大きな被度の低下は免れている。
  • 吉野海岸や新城海岸では枝状のハマサンゴが夏の白化で大量に死亡したが、
    これら2地点と同様にハマサンゴが多いカヤッファでは、
    ハマサンゴの死亡はほぼなかった。水深や透明度の違いが、
    紫外線を含む直射光の影響の違いとなって、白化影響の差に表れたか?
  • 狩俣西では、ミドリイシはほぼ壊滅。ミドリイシ以外のサンゴも少ない。
    夏、南~南東の風からはほぼ影になり、海水交換が悪かったせいか?
  • 2022年12月の大干潮&寒波による白化死亡は、干出環境ならどこでも見られた。

とういうのが総括の概要です。八重山などでは夏の白化で大量のサンゴが
死亡したと伝えられていますが、宮古では場所によって壊滅状態から、
被度増減なしで済んだ状態まで、影響の程度は大きく異なるようです。

とはいえ、全体としてサンゴが減った、ダメージを受けたことには変わりないので、
引き続き、温暖化対策&人的撹乱抑制の取り組みは必要ですね。

(2)1月夜間観察会のレビュー

夜間観察会で見られた生物の解説&関連情報&おしゃべり♪
概略は、前回のブログ記事をご参照ください。

(3)次回以降の予定

  • 観察会再開に向けて、サンゴ礁の浅瀬で見られる生物解説(リハビリ勉強会 ^^;)
    次回3月は、主立った生物をざっとおさらい。
    次々回4月以降は、主なサンゴのグループ(属)の特徴、見分けについて詳しく。
  • 20周年記念誌作成に向けて、ぼちぼち準備。
  • 2月は潮の引きが悪いので観察会はありません。
  • 3月定例会は、3月3日(金) 19:00からデス。



宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち HP


夜間観察会@佐和田の浜

2023-01-22 | 活動報告

久々の夜間観察会です。
最干潮位ー29cmなので、かなりの引きです。
今年冬は極寒の強風が多いのですが、
この日はほぼ無風、寒さも和らいで良いコンディションでした。

まぁ、わからないと思いますが、観察会の様子デス(^^;)
新月である上、周囲に明るい灯火がないので、しっかりと暗いです。

この晩一番多く見かけたのは、フトミゾエビ(たぶん)です。

体色が赤いタイプ。

白いタイプ。体長4~5cmの個体が多かったですが、
時々8cmくらいの個体も見かけました。
おそらくまだ幼体で、図鑑によると15cm以上に成長するそうです。

昼間は砂に潜っていて、夜になると海底を歩き回ることが多いそうで、
ライトに照らされて目が光るので、簡単に見つけられます。
だいたいは追いかけると泳いで逃げますが、砂に潜ることも。


今回の大物はこちら、タコさんです。
足で踏んでいるようにも見えますが、実際は逆で、
逃げようとしているのか、自分から長靴の下に腕を差し込んでいます。

なぜか、きれいにポーズを撮るタコさん。
下の黒いものは15cmの定規です。

こちらは、砂中に潜ろうとするタコさん動画。
砂は割とさらさらしているのですが、小石や礫が多いほか、
アマモの地下茎も多く、砂の中に完全に潜るまで10分ほどかかりました。

自分の備忘的メモ:ちなみにこのタコさん、種類は不明です。
 テナガダコ:第1腕が特に長い。
  ⇒ この個体は腕は長いけど、第1腕が特に長いわけではない。
 アナダコ:胴や外套膜に比べて腕が太い。
  ⇒ どちらかいえば、細いかなぁ。
 サメハダテナガダコ:全身に白い斑点がちりばめられる。
 ワモンダコ:腕の付け根に眼状斑、腕側面に白点列がある。
 シマダコ:腕と胴に白点列がならぶ。
  ⇒ 白点は見当たらないなぁ。
ということで、種類不明です。

 ついでのもう一つ動画。逃げるソデカラッパデス。
追いかけてごめんね~。

マダラウミヘビまたはクロガラウミヘビ。
水深が浅すぎて、動きづらそうでした。
エビでも狙っていたのかな?

このほか見ることができた主な生物は、
クロナマコ(幼体もたくさんいた)、リュウキュウフジナマコ、
名前がわからないけどよく見かける小さなガザミ、
テッポウエビのなかま、イソギンチャクエビ、
ロクセンスズメダイ、カクレクマノミ、
センジュイソギンチャク、ハタゴイソギンチャク(捕食シーンつき)、
フサゴカイのなかま、ウミケムシ、ヒモムシのなかま、
キイロダカラガイ、クロミナシガイ、
カイメンのなかま(出水シーンつき)、
アマモのなかま、ヒトエグサ(アーサ)
でした。

2時間ほどの観察会のあとは、友利会長が用意してくれた
温かいお茶と茶菓子。満天の星空&時々流れ星も満喫できました。


宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち HP


1月定例会

2023-01-06 | 活動報告

2023年最初の定例会です。

【勉強会の部】

勉強会は、島田さんによる宮古周辺の白化情報です。

12月に島田さんが調査して回ったところ…

八重干瀬(カナマラやイフなど)、池間島の北と東では

  • 夏の白化による死亡はわずか(死亡率は5%程度か)
  • 昨年と比べてテーブル状ミドリイシの成長が確認できた。
  • リーフの浅いところでは、冬の大潮干潮時の低温のためと思われる白化・死亡が生じていた。


カナマラのサンゴ群集。夏季白化の影響は少なく、比較的健全。

 

ツフツワ(比嘉沖にあるリーフ)、高野沖では

  • ミドリイシ類の30~40%が白化により死亡。浅場では70%以上が死亡。
  • 一方で、サンゴの成長も見られ、塊状ハマサンゴの死亡部分の再成長も確認できた。


ツフツワのサンゴ群集。矢印は生きているサンゴ。
ほかは死亡していて、夏季白化によると思われる。

 

各所共通して、ホワイトシンドローム(細菌性の病気)の発生が多くみられた。
これまで宮古周辺でホワイトシンドロームが原因で、
サンゴ群集の被度が大きく下がった事例は確認されていないが、
白化でサンゴが減っているので、その影響が気になるところ。


ホワイトシンドロームが進行しているテーブル状のミドリイシ。
白い部分はほとんど死んでいて、病変部は画像の下側から奥に向かって進行している。

ということで、2022年夏の高水温によるサンゴの白化は、同じ宮古でも場所によって影響の程度に違いがあり、全域壊滅は避けられたようです。ただ、場所によっては壊滅的影響を受けた場所も多いため、白化以外の撹乱を抑える保全が重要といえます。

 

【活動予定の部】

①1月22日(日) 午前零時(気分的には21日土曜の晩)、夜間観察会を佐和田の浜で開催します。対象は会員&その家族・友人です。荒天の際には中止となりますので、万が一の中止連絡のため、参加希望者は友利会長または梶原まで参加予定の旨をご連絡ください。

②次会定例会は2月3日(金) 19時からです。勉強会は、新開講「海洋生物学入門」を予定しています。(宮古島市史自然編の解説の途中でしたが、勉強会のインターバルが長くなりすぎたので、基礎的内容から再スタートしたいと思います)。

③コロナで総会も3年開いていませんが、今年の5月には総会を開催する方向です。

 


宮古島サンゴ礁ガイドのなかまたち HP