
「慈悲の心と布施の行い~月のウサギのお話~」
私たちの生きるこの世界では、戦争や自然災害をはじめ、悲しい事件が毎日のように起きています。
苦しみ、悲しんでいる人達を見るのは誰もが心の痛むことですし、何とかしてあげたいという気持ちが起るのは自然なことであり、また尊いことです。
仏教に次のような説話があります。
※サクランボの花もいつの間にか蕊だけになってしまいました。花びらが散る地面には、土筆が顔を出しています。
昔、森の中で、ウサギとカワウソ、犬、サルの4匹が仲良く暮らしていました。
あるとき、この森のなかで、旅の僧が飢えのために倒れてしまいました。
動物たちは僧に食べ物を布施しようと、森の中を懸命に探しました。カワウソは魚を、犬は肉を、サルはマンゴーを探し出し、それぞれ僧のところに戻ってきました。
しかし、ウサギだけは食べ物を見つけることが出来ませんでした。ウサギは悩みました。
戻ってきたウサギは、薪に火をつけるよう僧にお願いしました。
火が燃え上がると、ウサギは突然、火の中に飛び込み、そして「私にはあなたに供養できるものは、何もありません。どうか私の身体を焼いて食べてください。」と叫びました。
しかし不思議なことに、ウサギは火の中にあって火傷ひとつ負う事もないのです。
すると旅の僧は突然神々しい姿に変わり「ウサギよ、私は帝釈天だ。お前の偽りのない、純粋な気持ちが永遠に伝わるよう、お前の姿を月に刻んで上げよう。」と言いました。
いまでも私たちが満月の中に見ることが出来るのは、このときのウサギなのです。
※杏も咲き始め、雪柳も風に揺れています。震災から2週間。移りゆく季節の中、祈りの日々が続いています。
このお話しは、ウサギが良いことをしたから良い報いをうけた、という話ではありません。
やむにやまれぬ思いをもって「ただただ、何かしてあげたい」という純粋な気持ちが如何に尊く、素晴らしいことなのかを説いたお話です。
仏教ではこの心を「慈悲」といい、この行いを「布施」と言います。
今日、皆様が被災した方々に持った心が「慈悲」であり、浄財を寄せた行為が「布施」なのです。
この尊い心と行いを、いつまでも忘れないでいただきたいと思います。
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自然災害等被災者・救援托鉢にご協力ありがとうございます。
私達は曹洞宗神奈川県第2宗務所第5教区の僧侶です。曹洞宗は鎌倉時代に道元禅師が開き、福井の永平寺、鶴見の總持寺の二つの本山がある禅宗です。
第5教区には泉区、戸塚区、瀬谷区、栄区、港南区、藤沢市と鎌倉市の曹洞宗寺院が登録されています。
既報の通り、東北関東大震災は甚大な被害をもたらしています。この困難を乗り越えるためには継続的な支援が不可欠です。
今私たちができること、「困った時にはお互い様」のこころを現地の方へ届けましょう。
私達が皆様からお預かりした義援金は、日本赤十字社やシャンティ国際ボランティア会等を通じて被災地に届けさせていただきます。
( 曹洞宗神奈川県第2宗務所第5教区 托鉢パンフレットより )
春彼岸中に皆様からお預かりした緊急救援募金は、合計で14万3552円となりました。
本日、社団法人シャンティ国際ボランティア会へ送金いたします。
大震災救援募金箱はお線香売り場、鳳倫閣内各所に備え付けてあります。
皆様の暖かいご芳志、これからもよろしくお願いいたします。
がんばろう、東北!がんばろう、日本!