小雨の降る春分の日、午後1時半より、倫勝寺・春彼岸合同供養法要が行われました。
今年は肌寒く、また震災の影響等もあって参詣者の数は例年よりも少なかったようですが、
お集まりになられた皆さんは心静かに、また熱心に説教師さまのお話に聞き入っておられました。
富津市正法院御住職・遠藤長悦老師には、お彼岸中日のお忙しいなかを遠路お出でいただき、「孝養を尽くす」という題でお話し下さいました。
老師は岩手出身。ご自身のお身内にも被災された方がおられるかと思います。
しみじみと、また訥々と丁寧にお話されるお姿には、本当にありがたいものがあります。
拙寺の檀信徒の方は根っからの地元の方よりも、東北や北関東出身者の方が多いのです。
ですから福島、宮城、岩手等に親戚の方がおられる方もたくさんいます。
他人ごとではない今回の震災の状況に不安を募らせながら、なにか救いを求めてお寺にお参りに来られた方もなかにはおられたかもしれません。
遠藤老師のお話が、その方々の心に一筋の光明をもたらしてくれたことと信じます。
今回の彼岸会では、先のブログにも案内させていただきましたが、東北関東大震災殉難者の御供養のために、別途法要をさせていただきました。
その法要の趣旨を述べた言葉の最後に、次のような一節をあてさせていただきました。
「一炷の心香供養の處 清風夢を吹いて郷に還らしむ」
(真心込めてお供えする一本の線香 この清々しい香りの起こす風に乗って、夢の故郷に還られますように)
どうか多くの被災者の魂が安らげますように、と祈らずにはおられません。
そして、自衛隊や警察、消防、各自治体の方々や多くのボランティアの方々の懸命の奮闘努力に、心より敬意を表します。
私は日本人でよかったと、つくづく思っています。
諸外国の方々の篤い支援にも、こころから感謝申し上げます。
幼い子供たちがクッキーを作り、その売り上げを寄付してくれている、なんて話を聞いたら有り難くて涙が出ます。
ところで、親から嘘のようにたくさんお小遣いをもらっている元総理大臣の存在感の無さや、地元選挙区なのに全く動きが伝えられない大物代議士さんもお笑い草ですが、曹洞宗も大本山がその施設を一時避難の場所として提供はできないのでしょうか。
被災地に仮設住宅ができるまでのつなぎとしてでも、いいと思うのですが。
こういう時こそ、みんなの本山、開かれた禅苑の出番だと思うのです。
ご本山のご英断、心から期待しております。
がんばろう、東北!がんばろう、日本!
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花など愛でておる場合ではない!と叱られそうですが、こういう時こそちょっと一服は大事かとおもいます。
中越地震の時、私の知り合いの長岡市の方丈さんは、避難しているさ中、崩れそうになっている本堂から一升瓶をもちだして檀信徒と一緒に酒盛りをしたそうです。
お酒の力を借りて、ではありますが、心に溜まっている様々な悲しみや不安、愚痴を聞いたり、話したり。
「それが、明日からまた頑張ろうっていう力になってさ」といっていました。
被災見舞いに行ったとき、私も別の方から「ちょっと一緒に飲もうよ」って言われて最初は戸惑いましたが、
一緒にいて話して飲んでいるだけで、それだけでも心が楽になる、といわれたことがあります。
ということで、庫裏の周辺に植えてある椿が満開になりましたので、写真を少し。
朝寒の光の中で、その場所だけがひときわ明るく輝いて見えます。
一本だけある杏の花もちょうど見ごろ。
昨年は不思議なことに一輪も咲きませんでしたが、今年はたくさん咲いています。
秋には収穫できるかも。
きょうはここまで。