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さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

20250331 R7春彼岸会講演録 「歯磨き長生き道元禅師」 前編 歯を磨くのも大切な修行

2025-03-31 15:39:12 | 倫勝寺の行事報告

令和7年3月20日、恒例の春彼岸会が開催されました。
今回、14時からの講演会では、曹洞宗総合研究センターの関水先生、そして
お檀家役員さんでもある、東京歯科大学千葉歯科医療センターで歯科衛生士をしている和田先生のおふたりに
道元禅と私たちの生活1「歯磨き長生き道元禅師」と題してお口の健康について講演をいただきました。

さんぜ通信では、前後編の2回にわたって講演会で参加された皆さんに配布したレジメをもとにした講演録を掲載いたします。

前編では、関水先生に講演いただいた道元禅師と歯磨きのお話。
そして和田先生が当日は時間の都合上お話しできなかった、災害時の口腔ケアについてのお話を掲載いたします。

・・・・・・・・・

歯を磨くのも大切な修行 ~日常生活に活かす禅~ 関水先生

〇日本に洗面の習慣を伝えた道元禅師
・鎌倉時代、道元禅師(どうげんぜんじ)(大本山永平寺開山)は南宋(なんそう)(中国)に留学して、「洗面」の習慣を持ち帰る。
当時の状況
 〔日本〕〇歯磨きの習慣  ×洗面の習慣  

 〔中国〕×歯磨きの習慣  〇洗面の習慣

〇道元禅師は『正法眼蔵』「洗面」巻をあらわす
 ・『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』(全95巻)の一つとして「洗面」巻を著作
中国では洗面はするが歯磨きはしない、日本はその逆だ 一得一失(一長一短)なり。
いま洗面・嚼楊枝(しゃくようじ)(歯磨き)、ともに護持せん。
補虧闕(ほきけつ)、欠落しているところを補うことの興隆である、仏祖の照臨である

〔道元禅師の主張〕
※日本は歯磨きの習慣はあるが、正しい作法からすると不十分である。
※舌をこそぐ(こする)習慣は日本にないので導入すべき。

〇〝道元流〟歯磨きの極意
*顔を洗う前に歯を磨く
*右手に楊枝を持ち唱えごとを唱える(華厳経)
 手執楊枝(しゅじゅうようじ) 当願衆生(とうがんしゅじょう)
   手に楊枝を執(と)れば願いなさい
 心得正法(しんとくしょうぼう) 自然清浄(じねんしょうじょう)
   「人びとが清らかでありますように」と

*楊枝の端の太いほうをよく噛んで細かくする
*歯の表面と裏側を磨くようにこする
*歯ぐきと歯間も丹念に磨く
*磨きながら何回も口をゆすぐ
*楊枝で舌をこそぐ、血が出ないように注意すること
*舌をこそぐのは、「こそぐ+ゆすぐ」を三セット行うこと

※洗面は、「桶一杯のお湯(なかったら水)で額から、眉毛、目、鼻、耳たぶの裏までしっかり洗うこと」と訓示している。
※楊枝は柳のような木を用い、長さは指四本分、八本分、十二本分、十六本分と規格が決められていたという。

油を以って身に塗り         (油を身に塗り)
塵穢(じんえ)を澡浴(そうよく)し   (塵にまみれたわが身を洗い清め)
新浄の衣を著(ちゃく)し        (きれいな衣服を身に着ければ)
内外俱(とも)に浄(きよ)らかなり       (身体の内面表面ともに清らかになる)
  『法華経』「安楽行品(あんらくぎょうほん)」


【災害に備えて】 災害時の自分でできるお口のケア  和田先生

*歯ブラシのない場合
食後や夜寝る前に30㏄くらいの水かお湯を使ってしっかりうがいをしましょう。
口の隅々まで届くようにブクブクするのがコツです。
このとき一度に水を含むより、2~3回に分けてする方がキレイになります。

*水も歯ブラシもない場合
ウェットティッシュやハンカチを指に巻き付けて歯をぬぐい、汚れを拭き取るだけでも効果があります。
汚れたら、巻き付けている部分を少しずつずらします。

*歯ブラシはあっても水が少ない場合
まず、水を30㏄くらいをコップに用意します。
その水で歯ブラシを濡らしてから口に入れ歯みがきを開始します。
歯ブラシが汚れてきたら、ウェットティッシュやティッシュペーパーなどで汚れをよく拭き取ってまた歯みがき、これをこまめに繰り返します。
最後に先ほどのコップの水でブクブクうがいをします。このときも2~3回に分けてブクブクします。
もし水代わりに洗口剤があれば、それでブクブクするとなお効果的です。


※お口のケアは歯みがきだけでなく、唾液が出やすくなるお顔の体操も大切です。
通常お口の中の細菌は唾液で洗い流されています。
災害時はトイレ不足のためトイレへ行く回数を減らそうと水分摂取を控えたり、ストレスなどで唾液の分泌が減り、
唾液の持つ抗菌作用が減少して口腔内の細菌が繁殖しやすくなります。
これは、虫歯や歯周病が悪化するだけでなく、命に関わる誤嚥性肺炎のリスクが増大しますので、唾液の分泌を促すマッサージも大切になってきます。

*唾液を出すマッサージ(耳下腺)
耳の下の顎の付け根あたりを4本の指で押さえ、後ろから前へゆっくり回してマサージします。だいたい10回くらいやると唾液が出てきます。

*唾液を出すマッサージ(舌下腺)
親指を使って耳の下から顎の内側に沿って少しずつずらしながら押さえていきます。これも10回くらい繰り返します。

※入れ歯をしている場合
入れ歯をつけっぱなしにしていると細菌が増殖しますので、食後は必ず義歯用歯ブラシを使って清掃しましょう。
入れ歯洗浄液があれば、紙コップなどを利用してキレイにすることができます。
災害時は不便なことが数多くあります。いざという時のために実際にやって、普段から慣れておくと良いでしょう。

【避難グッズに備えていただきたい物】
お口のケアに使う物は基本的に小さな物ばかりですので、いざという時にために歯科用品も避難グッズの中に備えていただきたいと思います。

歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス 義歯用歯ブラシ、入れ歯洗浄剤、入れ歯ケース
ウェットティッシュ(ノンアルコール)、ハンカチ、ガーゼ
液体ハミガキ(水が無くても使える物)
:適量を口に含んで20秒ほどブクブクし、全ての歯に行き渡らせてから吐き出します。その後歯ブラシを使って歯みがきをします。
水ですすぐ必要がないので、水を使えない時は便利です。

キシリトール配合のガムなども唾液を出すのに有効です。

後編に続きます。



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