さんぜ通信

合掌の郷・倫勝寺のブログです。行事の案内やお寺の折々の風光をつづっていきます。 

倫勝寺団体参拝 東北復興応援の旅

2012-11-18 00:52:49 | 東日本大震災


                   (鳴瀬第2中学校の教室から)

11月5日から7日まで、倫勝寺の主催で「東北復興応援の旅」に行って来ました。

初日は松島から奥松島を巡って、南三陸町泊。2日目は塩釜市から名取市、南下して福島県石川町の母畑温泉泊。
最終日は塩谷崎からスパリゾート・ハワイアンズへという、南東北をバスで巡るコースです。

5日、合掌の郷を朝6時に出発。東京駅で合流の方を7時にピックアップして、一路松島を目指します。
早い時間でしたので渋滞に煩わされることもなく、ひたすら東北道を走ります。
被害の大きかった仙台東部道路周辺を見ながら、お昼には松島に到着。
旅先第一回目の昼食は松島・瑞巌寺近くの旬海さん。

昼食の献立を見ると、酢ガキや生ガキの表示がありません。
おやおやと、不安な心を抑えつつお店に聞いてみると、今現在、海水温が高めなので生ガキは提供できません、とのこと。

生ガキで一杯飲みましょう、をあい言葉に参加者を募った拙僧としては、結構ショックです。
カキの名産地に来て生ガキが食べられないなんて・・・うううう・・・・

でも、まあ気を取り直して、まずは焼きガキ、カキフライをいただきました。

生も好きですが、カキフライ、実は大好物です。揚げたてはやはり美味しいですねえ(^^♪
ちょっと小ぶりな感じもしましたが、しっかり海の味がします。



ここまで来たんだから、地酒も頂かなければいけません。
ということで、これも復興応援だから、応援、応援・・・と参加者諸氏と熱燗も少々いただきました。

さて、カキフライを食べて次の目的地は、東松島市の野蒜地区にある長音寺さんです。

これまでも何度かこのブログでもお伝えさせていただいていますが、昨年3月まで倫勝寺に勤めていた秋山君のお兄さんが住職していたお寺です。
この夏も子供たちを連れてお参りに来ましたので、拙僧にとっては約5か月ぶりのお参りです。

旅行参加者の多くのかたは、お寺の写経会や坐禅会の会員の方でしたので、馴染みだった檀家さんと再会できたのは、秋山君にとってもうれしかったようです。

 

読経供養の前に、参加者のみなさんに震災前後のお寺のことをいろいろとお話ししてくれました。

いまは更地になってしまった境内地にあった、新築したばかりの庫裏や本堂のこと。
落成式も済まさないうちにそれらは大震災で倒壊し、しかも屋根や建物の一部分が山向こうの水路まで津波に流されてしまったこと。

そして、住職だったお兄さんが亡くなってしまったこと。

みなさん、お寺の前にひろがる海や松林にじっと目を凝らしながら話を聞いておられました。

説明をいただいた後、プレハブの仮本堂で読経供養をいたしました。いつも以上に、皆さんの読経のお声に力がこもっていました。 

 

秋山君からお参りのみなさんにと、宮戸島の室浜地区で作った海苔をお土産にいただきました。
名品です。皇室献上の海苔。
気を遣わせてしまって、かえって申しわけなかったですね・・・・。

昨年、宮戸島に炊き出しに来た際、島の外縁部の被害の大きさを目にして声も出ませんでした。
住まいも海苔工場もめちゃくちゃになっていて、もうダメだろうなあと思っていましたが、この夏に訪ねたときは、室浜で海苔の加工場を建設していました。
きっとその工場が稼働しているのでしょう。

少しずつでも地場産業、海苔つくりが再開されれば、皆さんの生きる力になります。
海苔は間違いのない美味しいものですので、がんばって一歩ずつ前進してほしいものです。

お参りのあと、地元東松島市の震災語り部ボランティアさんにバスに同乗していただき、周辺をいっしょに廻ってお話をいただきました。
長音寺の近くにある簡保の宿、そして市立鳴瀬第二中学校の二か所を案内していただきました。
女性のボランティアさんもまた被災者の一人。ご自身の経験を例に引きながら、いろんな話をしてくださいました。

震災当日、鳴瀬第二中学校では卒業式があり、震災の起こった時間帯は隣接する簡保の宿で謝恩会が行われていたそうです。
たまたま学校には人がおらず、また、簡保の宿で謝恩会に参加していた人たちは、みんな3階以上に逃げて助かったのだそうです。

       

しかし、写真で見てもわかる通り、学校建物の被害は甚大です。
炊き出しの時もこの夏も、幾度となくこれらの建物の前を通っているのですが、中に入らせていただいたのは初めてです。
秋山君も、初めてなかに入ったといっていました。

全国から来たボランティアの方や、卒業生たちが在校生と一緒に片付けをしたのでここまできれいになったのだとか。
それでも、天井がはがれ、窓枠がグシャグシャになっている様子は、震災当時のままです。

スポーツ大会の表彰状やいろんな掲示物や告知など、校舎内にあるものは昨年の震災の時から時間が止まったまま。

片付けに来た人たちも、切なかっただろうなあ。 

   

じっくり時間をかけてもう少しお話も聞きたかったのですが、晩秋の夕暮れはあっというまにやってきます。
別れを惜しみながら、その日の宿のある南三陸町にむけて、またバスを走らせます。

降りだした雨のせいもあって、南三陸町に着いた時にはあたりはもうかなり暗くなっていました。

夕闇の雨の中、影になって浮かび上がる町の防災庁舎の周辺をバスは走ります。

参加者の中に、最期まで避難を呼びかけ続けた女性の遠縁の方がいらしたのですが、鉄骨になってしまった庁舎跡地をバスの中からくいいるように見ておられました。

宿はホテル観洋。
志津川湾に突き出す形で建つ、大きなホテルです。
今年の五月にも宿泊したことがありますが、気持ちのいい露天風呂があります。お勧めです。
写真の通り、ご飯も大満足。参加者一同、たっぷり食べて、たっぷり飲んで、の夕食でした。



さて二日目は、まず松島に戻って遊覧船に乗船し、松島を津波から守ってくれた島々を見学しながら塩釜に向かいました。
遊覧船といえば、やはりカモメとかっぱえびせん、であります。
天候不良にもかかわらず、たくさんのカモメがえびせん目当てに船の周りを飛び回ります。
おじさんたちも童心にかえって、しばし、えびせん投げに興じました。

船内では地元のおばさんが、ずっといろんな話をしてくれたそうで、話術の旨さたしかさに舌を巻いた、と大寺族さんが申しておりました。
その話術に乗せられて(?)、ワカメや海苔を買い込んだ人がたくさんいたそうです(^-^)
これも復興応援の旅ならでは、でしょうね。

  

塩釜では魚市場建物の解体作業が行われていました。
部分的な解体なのか、それとも全部壊して新しいものを作るのか・・・
南三陸町でも市街地ではいろんな建物の解体作業が進んでいましたが、津波被害の大きさをまざまざと見せつけられた感じがします。

マリンゲート塩釜で下船後、しおがまみなと復興市場で鮮魚などのお買いもの。
ここでようやく念願の生ガキをいただきました。あまりの美味しさに気を取られ、写真はありません m(__)m

無理繰りして出していただいた生ガキ。おいしかったですよお~(^-^)

で、ここでお土産に剥いた生ガキを1キロ、買いました。
(後日、子どもと3人でカキしゃぶにして食べましたが、その旨かったことといったら・・・・・・・・・・・・・・)

次第に強くなる雨のなか、次の目的地、銘酒浦霞さんの酒蔵へとバスは進みます。

   

新酒仕込みの最中ですから、蔵の中へは入れませんでしたが、蔵の建物全体がさわやかなリンゴのような香りに包まれていて、
日本酒好きにはたまらない見学コースです。

利き酒用に御猪口を1個購入すると、カウンターでいろんなお酒を利かせてくれます。
拙僧はここで大吟醸で作った梅酒と、焼酎を各一本購入。
来年のお正月に飲もうかな。

塩釜を出て、途中で牛タンのお食事のあと、名取市の閖上さいかい市場に立ち寄りました。

 

ココでしか買えないであろう、赤貝の塩辛を購入し、写真屋で買い物をする参加者の方についていくと、
その写真屋さんの店主、斎藤さんが撮ったという震災の写真集が置いてありました。
東日本大震災 閖上地区の全記録

文章は何もありません、ただ震災当日やその後に写した写真だけが載せてあります。
圧倒的な写真。
変わり果ててしまった故郷に向き合いながら、泣きながらシャッターをきったであろうことが、その1枚1まいから伝わってきます。
・・・・・泣けてきます。

あれこれ買い物をし、市場の方たちにお話を聞いているうちにいい時間になってしまいました。
次の目的地、宿泊地でもある福島県・母畑温泉の八幡屋へと向かいます。

とってもいい旅館です、お勧めします。
お風呂はすばらしいし、泉質もよろしい。2種類ある寝転がれるサウナは本当に気持ちよし、です。



また、料理も美味しい。
団体料理なのに一つ一つの作りが丁寧で、湯河原あたりの割烹旅館と比べても遜色ありません。
値段もバカ高くは無いし、関東からもそう遠くない。
それより何より、旅館で働いている方たちの笑顔が素晴らしい。

震災後、宿泊客が激減して従業員を半分以下に減らさざるをえなかったそうです。
今はだいぶ戻ってきて、それでも最盛期の6割に満たないとのことですが、
一生懸命サービスしてくれる若い仲居さんたちのきびきびした動きを見ていると、こちらまで元気になるような気がします。

旅の疲れが取れるとはこのこと、ですね。

翌日、お仕事が入ってしまいましたので、朝食後、拙僧は皆さんと別れて新幹線で帰ってきました。
無い後ろ髪がひかれるような、断腸の思いでありました・・・うう、残念。最後まで一緒に旅したかったなあ・・・・。

ちなみに、みなさんは福島県いわき市へ向かい、白水阿弥陀堂を参拝、塩谷崎灯台で津波の被災跡や
美空ひばりの歌の流れる碑を見学し、塩谷崎ホテルで昼食(美味しい生カキが出たそうな・・・どうも岩ガキらしい)。
その後、スパリゾートハワイアンズでフラダンスを鑑賞して、午後7時半ころに横浜まで帰ってきました(そのころ拙僧はまだお仕事中)。

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東日本大震災が発生して、早いものでもう1年8カ月余りがたちました。
現地に何度か足を運んでいますが、なかなか思うように復旧、復興が進まないというのが、行くたびに直面する現実です。
みんながゆったり暮らせるようになるには、もとに戻るには、これからも長い時間がかかることでしょう。

直接お手伝いができなくても、忘れてないよ、応援してるよ、と伝えることはできます。
東北を旅をすることも、応援になります。
今回の旅行でも、行く先々で一生懸命頑張っている人たちにたくさん会いました。

美味しいものもあるし、見学するところもたくさんあるし、東北は「人」も、また、いいです。
これからの時期であれば、本当に美しい雪景色が堪能できます。

いかがでしょう?次回、ごいっしょしませんか?

こんどは北東北、かな。

今日はここまで。

 

さんぜのまなざし goo別院 1211

 



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