台風15号のもたらした被害が大きすぎて、鋸南町にある昌龍寺のことでみなさまにご心配をおかけしております。
昌竜寺は無事です。
報道でご覧の方も多いと思いますが、鋸南町の岩井地区、大六地区はじめ、海側周辺はほとんどの家が被災しています。
14日午後に保田へ出かけてきたのですが、東日本大震災の状景が脳裏に浮かびました。
屋根が丸ごと飛んだ家も少なからずあり、自動車もガラスが粉々になってビニールがかけられて放置されたりしています。
(先日ヤフーニュースに現地取材したかたの記事が出ていましたので、現地の詳細はリンク先からどうぞ)
保田の山の中腹にある昌龍寺ですから、あの暴風雨では風が吹き上げて昌龍寺は全壊かも、と半分あきらめていましたが、
奇跡的、といっていいほどの無事。
本堂は瓦が2.3枚浮いた程度。作業小屋は風にあおられて少し傾いた程度。
墓地に関しては、故人のお墓の灯籠倒壊が1件、墓誌が倒れたものが5.6件。
倒木の枝がお墓に被さって、お参りに不便になったのが2件。
枝は14日当日に倒れた樹を伐採して、とりあえずお参りできるようにしてきました。
参道の途中に植えてある一対の百日紅の古木のうちの一本が、ひどい枝折れ。
寺下の章夫ちゃんが「こんなひどいのは初めてだ」というくらいの周辺の家屋、温室の被害ですが、昌龍寺だけは何ともありませんでした。
ありがたい。
ですが、安房33観音の札所でもある観音寺は被害が甚大です。
昭和30年ころ、戦災で焼け残った本堂を地元の方々が力を合わせて復興させたという建物です。
今回の台風には、古くて脆くなった本堂は耐えられなかったようです・・・無念・・・
御本尊さまを入れた厨子を安置してある内陣部分は鉄筋コンクリートで出来ているので何ともなかったのですが、
屋根は修復しようがないほど瓦が飛ばされたりズレが生じ、台風翌日、本堂の中はどうしようもないほどズブズブだったそう。
私が行った時は、畳からキノコが生えていました。
「屋根も瓦も畳もなにもかも、やり直さないとだめだ」
「再来年は丑年の御開帳で巡礼が来るから、そこまでに何とかしなきゃ」
観音寺の役員総代さんは自分の家が大変なのにもかかわらず、地元地区のお寺だからと奮闘してくれています。
ありがたい。
「でも、ブルーシート掛けるにも、私じゃ歳とりすぎて屋根に登れないんですよお・・・」
涙声です。つらい。
厨子に入って安全なところにある御本尊様はそのままとして、観音寺の仏具や家財道具は昌龍寺に運んでもらうことにしました。
また、屋根の修復もままならず雨漏りの酷いことが懸念されるので、今年の十夜法要は内献にするか今後相談ということになりました。
境内をよく見まわしてみると、お稲荷さんの鳥居の様子がヘン・・・
お宮は風で飛ばされて、隣のグループホームの玄関先に転がっていたそう・・・
今日になってようやく、激甚災害指定を検討しているとの防災大臣のコメントが出たようです。
検討?・・・遅い、遅すぎ
現場の様子を見ると、被災した方々が本当に疲弊しているのがわかります。
何とかなりそうだというような、希望を持てるような政策施策ができないのでしょうか?
マスコミも、内閣改造ばかりを報道してる場合じゃなかったでしょうに。
とは言いうものの、台風上陸の当日、住職は山形佛性寺の棚経に出かけていて留守だったのです・・・
山形は「台風って何?」というくらい穏やかでした。
鋸南町は高齢の方が多い街です。
建物や農場の再建ができず、泣く泣く町を離れるかたが多くなりそうです。
きちんとした、そして安心できる対策を講じてくださることを強く望みます。