
「オバアチャン、Waku up! It's time for breakfast 」
エズメに体を揺り動かされて、はっと目を覚ましたのは8時過ぎのことです。
「もうこんな時間なの。すぐ、ご飯の用意をするね」
「オジイチャンが、パンケーキを作っているよ」
台所ではカレが大きなフライパンで、パンケーキを焼いているところでした。
「ゴメン、ゴメン。今日は日本語クラスに連れて行く日ですね」
「気分はどう?」
「グッスリ眠ったお蔭で、ずいぶん良くなったわ」
(数日前からコンラッドが風邪で、プレ・スクールを休んでいたのですが、それが
移ったのかどうか? 一昨日、インフルエンザの予防注射をした夜から気分がすぐれず、
昨日はほとんど眠ってばかりだったのです)
コンラッドも一緒に遅い朝食を済ませ、カレは二人の孫を車に乗せて出かけました。
途中で娘宅にコンラッドを降ろし、エズメを日本語学校に連れて行ったら、
まだ誰も来ていません。10時45分の始業時間になっても、ドアも開きません。
「アッ、そうか。今日はリメンバランス・デーで、休みだ!」と気が付いて、
娘宅に引き返したそうです。
映画関係の仕事に携わっている娘夫婦は、いつも時間的に不規則なため
昨夜も夜中までの仕事だったようで、寝巻き姿で寝不足気味な様子・・・。
話を聞いた二人も大笑いだったようです。
大人が四人も付いていながら、そんなことに気が付かないなんて呆れた話です。
たぶん、先週の土曜日には「来週はお休みです」と先生も話されたでしょうし、
黒板にも書いてあったのでしょうが・・・迎えに行ったのは、だ~れ?
そうなのです。今日は"Remembrance Day"と云って、戦没者記念日で祝日です。
各地で戦没者の慰霊祭が行なわれますが、日系人の戦没者の慰霊塔は、
スタンレーパークの中にあります。
この日は、毎年のようにシトシトと冷たい雨が降るような気がするのですが、
亡くなった方々や生き残った者たち全ての人々の悲しみの涙の雨では?
今日も曇り空に小雨模様なので、ツイ、そんなことを想う一日です。
バンクーバーではハローウイーンが終わると、ほとんどの人たちがコートの
襟や帽子に赤いポピーの花の飾りを付けています。Canadian Club や
退役軍人たちが、街角などでこのポピーの飾りと交換に寄付を募っています。
戦場で流された血を、この赤いポピーに喩えていると聞いています。
カナダは第一次・第二次大戦、朝鮮戦争に参戦して多数の戦没者を出しました。
そんな戦争を語り継ぐ人も高齢化で、少なくなってきたようです。
殆ど外出しないので、街の雰囲気はよく分りませんが、募金に立つ人も
だんだん少なくなって来ているように感じます。
今でもアフガニスタンに派兵していて、何人かの犠牲者が出ています。
戦争を知らない子供たちに、戦争をどのように教えているのでしょうか。
リメンバランス・デーはカナダの人にとっては大切な日なのです。
それなのに、忘れるなんて何と言うことでしょう。矢張り高齢化ですね。
エズメの帽子には、その赤いポピーの花が付けてあったというのに・・・。
来年は忘れないように、気をつけます。
06-11-11 (土)曇り時々小雨