Still Creek のほとりで

Still Creek(静寂なる小川)は裏庭を流れる小川の名前。といっても Windows からは騒音もきこえてきます。

カナディアン・ロッキーの旅 (44)

2006-07-31 14:37:21 | 
ピース・アーチ・パークで、数百歩余りの訪米を済ませた私たちを、
Sさんは直ぐ近くの別荘地、ホワイト・ロックへ案内して下さいました。

別荘地と云っても昔のことで、今はバンクーバーの通勤圏内と言っても
構いません。 近くにゴルフ場が幾つもあるので、退職者や、芸術家が
好んで住んでいるようです。

私たち夫婦がここへ来たのは何十年ぶり? おそらく30年ほど前に一度、
ピース・アーチ・パークでピクニックをした時に、ちょっと立ち寄ったきりです。

でも何処かしら、馴染みがある・・・・それもツイ最近・・・?

良く考えたら、数ヶ月前に読んだカズオ・イシグロの小説「日の名残」の
最後の場面、海岸べりの町の情景と重なっていたのでした。

ホワイト・ロックはすっかり変わっていました。 30年前に来た時は、
白い岩でもあるのかと探したのですが、あったのは海岸から伸びた桟橋の
ふもとに、白く塗ったペンキが剥げ落ちた、高さ50センチほどの大きな
石があったような気がします。

でも、今日あらためて見ると、とても雰囲気のある海岸街です。

「日の名残」の主人公・執事のミスター・スティーブンスが海岸べりの
ベンチに座って、夕日の落ちるのを眺めているシーンにピッタリです。

仕事上の考えもあって、先刻20(?)年振り位に会った昔の女中頭、
ミス・ケントンが洩らした一言に、ほのかな悔恨と、それを打ち消す意思
とが脳裡に行き来するなかで、夕日を眺めてひと時を過す場所です。

以前は店もあまりなかったように思いますが、今では洒落たカフェや
レストランが並ぶ、チョット絵になるような街に変わっていました。

Sさんによると、広大なカナダには、生まれて一度も海を見たことがない人が
大勢いて、そんな人たちが望む海岸の夕景色というと、ここに極まると
いうことです。

残念ながら、今回は車から降りて歩く時間はありませんでした。
でも、家からはバスを使っても、一時間余りで来れる場所です。
思わぬ拾い物をした気分で、ぜひ近いうちに来てみたいスポットです。


写真:車中から撮った、ホワイト・ロックの海岸沿い風景の一部。
週末や夏の間は、人と車でいっぱいだそうです。

06-07-30 (日)曇り時々晴れ 15~20度

カナディアン・ロッキーの旅 (43)

2006-07-30 14:58:04 | 
メリットで昼食をすませた私たちは、あとはバンクーバーに帰るだけです。
これで、今回のカナディアン・ロッキーの旅は終わりで、バンクーバーへは
予定より早く帰れそうです。

そこでSさんから、余った時間でアメリカとの国境を見に行きましょうとの
提案です。 Aさんご一家も、Iさんご姉妹も、まだ行ったことはないし、
私たちももう20年以上行っていません。 もちろん全員賛成で、案内して
貰うことにしました。

さすがSさんの案内は違います。 往路はハイウェイでしたが、今度はわき道
に入り、バンクーバー郊外の田園地帯です。 そんな風景を楽しみながら、
Sさんの興味深い話に聞き入っている間に、国境のピース・アーチ・パークに
着きました。

この辺り、国境線に柵をしてあるわけでもありません。 その名の通り、大きな
公園です。 ちょうど国境線のところに白いアーチが建っていて、その内側に
形式的に鉄製のゲイトが取り付けてあります。 その上に書いてある言葉は、

「この門の閉ざされること無からんことを!」
" MAY THESE GATES NEVER BE CLOSED " 両国の平和と友好を願った記念碑です。

もちろん国が違うのですから、この記念碑から夫々2~300メートルほど
離れた所に、入国管理と税関があります。

車で相手国に行く人は手続きが必要ですが、この公園で米国に住む人と、カナダに
住む人とが落ち合うのは自由ですし、一緒に近くでピクニックするのも自由です。
そういう人たちのための駐車場に車を停めて、Sさんが、是非アメリカ側のレスト
ルームを利用するようにと勧めてくださいます。 そこで皆さんと、見えない
国境線を越えて、ビジネス?(失礼)を済ませに行きました。

時期がまだ早かった所為か、一帯は爛漫とまでは行きませんが、花壇にはビッシリ
苗が植えられています。 あと数週間で天国のような美しさに変わることでしょう。


写真: アメリカ側から撮った写真。アーチの向こう側がカナダです。

06-07-29 (土) 曇りのち晴れ 14~17度

カナディアン・ロッキーの旅 (42)

2006-07-29 14:49:32 | 
11時半、オカナガンを観光を終えた私たちは、コカハラ・ハイウェイの町
メリットに向いました。 約120キロの行程です。

朝食に激辛キムチ・ラーメンを頂いたことをSさんに話し、昨夜のロッジには、
日本や韓国からの宿泊客も多いのでは?と聞いてみました。 Sさんは、
「そうですか。シン(辛)ラーメンを売っていましたか。 あれって美味いんです
よね。 白人の人でも食べる人は大勢いますよ。 だから日本人・韓国人向けに
売っているわけではないと思いますよ」

後日、白人の人に聞いたら、激辛食の好きな人は沢山居て「激辛同盟」という
グループを作ってインターネットで情報交換もしていると、テレビで報道して
いたそうです。 そういえば、大概のスーパーで激辛ラーメンを売っているのを
見かけたことがあります。

皆、ちょっとお腹が空いて来た所為か、食べ物の話が多くなりがちです。
Sさんは、メリットの街で昼食をとるようにと車を急がせます。

ハイウェイを下りて、直ぐのガソリン・スタンドで停車しました。 見ると回りに、
マクドナルド、ケンタッキーなどファスト・フーヅのファミリー・レストランが
4軒あります。 私たちはその一つ、ティム・ホートンズへ向いました。

ティム・ホートンという往年のホッケー選手が、今から40年ほど前に開店した
ドーナツ・チェーンが始まりだそうです。 ティムの事故死後、パートナーが
拡大を続け、カナダ国内何処の町へ行ってもある店です。 今ではドーナツよりも、
他のサンドイッチやスープなど人気のようですが、なんとカナダの外食産業の
コーヒーは、殆どがティム・ホートンズの製品を使っていて、そのシェアーは
70%近いのだそうです。

最近は、アメリカのウェンディーズというハンバーガー・チェーンの資本も入り、
米国内でも店舗が増えているとか。 これも全然知らなかった話です。

カレは長年ここに住んでいて、ティム・ホートンズに入ったのはこれで2回目。
気に入ったようです。 あとでSさんや、A子さんに、ティム・ホートンズの
アイスド・カプチーノが美味しいと聞き、次回はそれを試す積りのようです。

写真: 我家で時々食べる韓国製の辛ラーメンです。
日本製、韓国製などいろいろあるようです。

06-07-28 (金)曇りのち晴れ 13~20度

カナディアン・ロッキーの旅 (41)

2006-07-28 14:53:02 | 
再び浮き橋を西へ渡って、南へ車を走らすと、ブドウの印をしたワイン工場の
サインが、次から次へと幾つも見えてきます。

Sさんの話によると、この辺りには小さなワイナリーが沢山あって、そういう
所へも何回も行った事があるが、今日行くところは、その中でもチョット
大きな所だとのことです。 このワイナリーは昨年? 仕込んだワインが
コンテストで最優秀に選ばれたとかで、その時の新聞報道の記事を見せて
くださいました。

車を降りると、手入れの行き届いたバラ園と大きなアーチ状の入り口が
ミッション・ヒル・ワイナリーに誘います。

中に入ると鐘楼を持った広い中庭があり、まるで城砦のような感じを受けます。
右手には幾つかのホールのような建物がありますが、ひと気もなく塵一つ落ちて
いません。 左手は回廊のような造りで、湖やブドウ畑を見下ろしながら食事や
パーティーなどが開けるようになっています。 結婚式にもよく使われるそうです。

パンフレットによると、十数年前にオーナーが始め、家族で所有している
ワイナリーで、巨額を使った建物の威容にも一家の夢と誇りを感じさせます。

ワインの展示・即売場もありますが、サインもなく教えられないと判りません。
如何にも、勝手知ったる上得意客向けの高級感を醸し出しているようです。

重いドアを押して中に入ると、照明も落とした台や棚に如何にも高級そうな
ワインが陳列してあります。 店員も黒いベストに黒の蝶ネクタイで
重々しい表情で客の相手をします。

Aさん、Iさんたちは、ガイドのSさんに教えてもらったワインを尋ねましたが
売り切れとのことで、その1年前のモノを購入されたようです。

Sさんによると、評判になったワインは、有名レストランや愛好家たちが
大量に買い占めてしまうのだそうです。 お酒を飲めない私たちですが、
アイス・ワインを尋ねたら、あの少量の細いビンが90ドルするとのことで、
私たちには分不相応なものだと分りました。

普通の果物は、収穫したあとも完熟させて甘味を増すことが出来ますが、
ブドウの甘味は一度枝から離れると、それ以上は甘くならないそうです。
ワイン醸造用のブドウのセールが間もなく始まる頃ですが、数年前の今頃の
スーパー・マーケットの注意書きに書いてありました。

我家のブドウは、甘い種無しブドウですが、あるとき大量に落ちた実や房を
日に干したり、他の果物と一緒にしたりと実験してみましたが、不味くなる
だけでした。

アイス・ワイン用ブドウは、厳寒の冬まで樹に付けて置くことによって、
強い甘味を増すようです。 オカナガンの冬はダイヤモンド・ダストが
舞うほど寒いので、栽培に適しているのでしょうね。

写真:コロシアム風の芝生です。 コンサートか小芝居にでも使うのでしょうか。
回廊のようなこの建物で、食事やパーティが出来るようになっています。

06-07-27 (木)快晴 15~25度