フリージアは別れの彩り「別れの曲」を歌った日

3月28日(金)のあさ空。

昨日の大荒れは落ち着きましたが、重たい曇天が続いています。

また、少し気温が下がって来たせいか、今日は体調がかなり悪くて、外に出ようと思っていたけれど、気合を入れても身体は追いつかず。ぐずぐず。「退職挨拶に行けるかしら」と心配する朝。ぐすぐす。

ぐずぐず、ぐすぐす。濁点の違いで似てるけれど、ちょっと違う。

先日の農産物直売所で購入したのは、ラナンキュラスと、フリージアでした。フリージアは3月の別れのシーンを彩るお花です。転校のときや卒業式で、フリージアをいただいたことがとても多く、この香りとともに、学生時代の思い出が甦って来ます。フリージアは色も多種あると思いますが、いただいたのはほとんど黄色のフリージアでした。こういうときにいただくお花も時代によって異なるものでしょうか。フリージア以外はスイトピーもいただいたような(気がする)。

と、長く生きていると、詳細は忘れがちですが、「スイトピー はかわいいお花だなあ」と思ったような(気がする)。第2ボタンをいただいたような(気がする)。だれから？　自分で欲しいと思ったことはなかったので、もらったときに、「え？」と思ったような(気がする)。ときめきのない記憶。

よく覚えているのは、中学3年生になるときの転校。合唱部にいたので、後輩たちがフリージアの花束と手紙を持って、わざわざ来てくれたのが印象的でした。泣かれるほど、私との別れをとても惜しんでくれて、そんな風に慕ってくれていたのかと、本当にうれしかった。また、同じとき、音楽室で仲の良かった友人のために、ショパンの「別れの曲」を歌ってあげたら、それはもう、びっくりするほど泣かれて、申し訳ない気持ちになったことも。たしか友人に「こんなに泣かせるなんてひどい」と怒られた記憶も(笑)

ショパンの「別れの曲」はピアノ曲ですが、ショパンの伝記的映画「別れの曲」(1934年・ドイツ)でよく知られるようになったとか。日本では日本語の歌詞でよく歌われて来ていて、堀内敬三さん、水口幸子さんのバージョンがあり、私が当時歌っていたのは水口幸子さん作詞のもの。最近では平原綾香さんがまた、新しい感覚での「別れの曲」を歌っていらっしゃいます。

とても哀愁を帯びた歌い出しですが、途中で激しい思いを伝えるかのような躍動するメロディがあり、ドラマチックな曲です。中学高校と気に入ってよく歌っていた曲でした。堀内敬三さんの作詞ではふるさとを離れる思いを歌っていますが、水口幸子さんは友との別れを歌っていますから、私が歌ったとき、その歌詞に友人が思わず号泣したのも仕方なかったと思います。最もドラマチックに盛り上がる部分で「親しき命につきせぬ幸あれと」と友の幸せを願う歌詞が本当に好きでした。

抜粋ですが、こんな歌詞でした。

やさしき夢語らいし友よ　いざさらば 

いまこそかたみに祈らん
親しき命につきせぬ幸あれと
さらば　わが友よ

いざさらば　さらば　さらば

もともとの映画の歌詞の訳詩ではなくて、それぞれの作詞家の方のオリジナルな解釈で作詞されたようです。水口幸子さん作詞の「別れの曲」を歌っている動画はないのかなと思って探したのですが、私のイメージしている歌い方をしていらっしゃる方を見つけられなくて、歌詞は違いますが(おそらく原曲？)、ソプラノ歌手の幸田浩子さんが私のイメージする「別れの曲」を歌っていらっしゃいましたので、ご紹介しますね。透き通るすてきな歌声に心奪われます。

 

もう50年以上前のお話になり、当時の友人がその後、どんな人生を歩いたのかはわかりません。距離的に離れていたので、手紙のやり取りは何年も続いたけれど、次第にそれぞれの暮らしに途切れてしまいました。今やネットの時代なので、再度、つながりを探すことも可能ですが、女性の場合は結婚して名字が変わってしまっているので、旧姓で探しても見つけられず。美人で才能のある人でした。そういえば、大相撲の大ファンだったな(笑)　当時の中学生で大相撲ファンは珍しい時代でした。若貴ブームのずっと前の前のお話。

フリージアで手繰り寄せた可憐な時代の懐かしい思い出。

「親しき命に今も尽きせぬ幸あれ」と、祈ってやみません。