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留学体験記 #Langrich

2012-09-03 11:38:58 | Learning Engilsh

セブ・ラングリッチ・カレッジの留学体験記です。フィリピン留学を考えている方の参考になれば。




◇英語学習について

【滞在期間】

ラングリッチにはGWと盆休みの端境期である5月下旬~8月上旬の12週間滞在しました。人数も人の出入りも少なく、疲れずに済むからです。他の留学生と安定した友達関係を築きたい人は長期休暇を避けましょう。フィリピン語学留学は初級者向け(入門者向けではないけど)なので、最長でも3か月で必要充分と思います。あまり長いと途中でスランプが来ます。

【留学目的/学習目標】

往きの飛行機で、私はこの留学を通じて何ができるようになりたいか、目標とする水準を設定しました。「Listening & Speaking: 海外での就活において英語で面接をこなし、会話を愉しめる。Reading & Writing: ビジネス文書・メールの読み書きができる」これが私の留学の当初の目標でした。
 
因みに学習面でのスランプの他、勉強をサボるexcuseとなる誘惑は、セブ島の至る所にあります。実のある留学にしたければ、強力なモチベーションが不可欠です。私は家族と過ごす時間を最大化し、自分の人生の可能性を拡げるため、英語を身につけて選択肢を殖やしたいと考えています。英語を使って何をしたいのか意識すると、有意義に過ごせると思います。
 
【学習内容の選択】

英語学習において目標とする水準、克服したい分野は何か、留学前から解っているに超した事はありません。しかし長期滞在ならば初期のうちに判れば充分です。やっているうちに目標を上方修正した時もありました。マンツーマンで授業を受けられる絶好の学習環境にあって、ここでないと勉強できない事は何か、何を勉強したいかを先生に伝えていました。
 
例えば、TEDを観て作った要約を添削して貰い、それについてフリートーク/先生が一方的に喋るのに相槌打つだけの展開は無意味なのでお題を出して貰って即興でスピーチ/用意していった教材についてその場で英語で考えてspeaking/英語で考え英語で質問に答える段階に達してないのでまず文法・語法に忠実にwritingができるようトレーニング――等々。

私はVOAやTEDに飽きてきた事もあって、途中で先生を替えたりもして(これは変に躊躇する必要はありません)何度か授業を再構築しました。滞在終盤、私はspeakingから逃げている自分に気づき、先生達に頼んでフリートークの話題を振って貰いました。

『ドラえもん』の最終回(ファンの2次創作)の内容を1ページから順に先生に説明するといった事もしました。『ドラえもん』はフィリピン人の先生達もみんなよく知っているからです。『ナウシカ』漫画版使っている人もいました。これは難易度高めの試みに聞こえますが、先生も興味を持って聴いてくれる教材であれば、それを使うのが一番です。

好きな英語の歌詞の意味を説明し、先生の解釈と合致しているか尋ねたり、フィリピンと日本の文化的な差異から来る恋愛事情の違いについてtalkしたりしているという人もいて、やっぱり楽しみながらやれるのが好いなと思いました。教材や学習のしかたについて、好いアイディアを思いつかない時は他の長期滞在者にアドバイスを貰いました。
 
【受講時間】

授業は1日4コマ6時間でした。8時間や10時間コースもありますが、詰め込んでも体力的・精神的に続きません。放課後は宿題をやるか、翌日の予習をしていました。放課後は疲れて昼寝したくなる事も多いので、やれる事は限られています。復習までできると理想的です。私は追い込まれないとやらない性格なので、予習だけでいっぱいいっぱいでしたが...。



 
【英語で考えよう】

もともとbusiness Englishを勉強するために行ったのもあって、私はspeakingは勿論、writingでさえ、初めから英語で考えて行うようにしていました。日本語で考えた文章を英訳しても、日本語特有の表現に引っ張られて不自然な英語になってしまいがちだからです。学習計画の立案も他の留学生と一緒に行った旅行の費用精算も、みんな英語で書くのです。

日本語と英語でshareしない単語・熟語はいくらでもあります。例えば、毎日訊かれる"How are you?"や帰国後言われる"I miss you."も、一対一に対応する日本語の表現はないのではないかと思います(「お元気ですか」は手紙文でしか見掛けない点で不適当です。"I'll miss you."なら「寂しくなるね」ですね)。

ある時、先生から「元留学生のお父さんにSkypeで初めて挨拶したいんだけど、"I respect you."って日本語で何て言うの?」と訊かれました。私はホワイトボードに"OSEWANI-NATTE-IMASU."と書いて渡しました。このようにコミュニケーションでは、辞書に載っていなくても文脈に適合した言葉を「英語で考えて」相手に投げ返す事が大事なのです。
 
これに関連して、日本の学校の英語教育で主な部分を占めていた英文和訳は、もはや全く不要です。それをフィリピン人の先生に添削して貰う事もできないのですから、当然ですが。細かい逐語訳よりも、「私は大意を理解しています」と相手に伝える事を目的として、内容をより簡潔な言葉で言い換えた要約を作る方が、実践的な英語の勉強になります。

そのため、英英辞典、特にonline dictionaryを活用していました。先生達が使っているonline dictionaryには Thesaurus.com, Macmillan Dictionary and Thesaurus, Merriam-Webster, Collins Dictionaries など色々ありますが、(初めのうちは特に)履歴を登録できて 類語も充実しているMerriam-Webster (要Facebook account) を使っていました。

今は、語義の説明が簡潔な Macmillan をよく使っています。因みに和英辞典は、動詞の後に来る前置詞が判らない時や名詞の可算/不可算の確認等だけに使っています。Weblio なら履歴を登録できる上、英和・和英両方に使えるので便利です。各文法用語を英語で何と言うかは、頻出するものをGoogle翻訳にまとめて放り込んでbookmarkしておくとよいと思います。
 
【英作文と語彙学習】

ある先生に教わった語彙の勉強法。毎日1つ、教材や先生との会話に出てきた単語であまりよく知らなかったものを選びます。その派生語を英英辞典で調べ、noun - verb - adjective - adverb (名詞 - 動詞 - 形容詞 - 副詞)の組合せを作ります。例えば assertion - assert - assertable - assertedly, normalize - norm - normal - normally という感じ。

それらを全て使って、英作文をします。私はそれらの文が1つに繋がったストーリーになるように指導されました。そうする事で接続詞を使う練習にもなるからです。慣れてきたら、英英辞典で synonym (類義語), antonym (反意語) を調べ、少なくとも1つずつそれらを入れた文を作ります。

練習量は少ないですが、私がやったものを外国語学習者用相互添削SNS Lang-8.com にアップロードしてあります。http://lang-8.com/231053 もっと意欲があれば、自分が作った全ての文の時制を過去、未来にずらしたものに変換する練習もするとよいと言われました。これ、案外難しいんです。特に仮定法が絡むものとか。
 
 【帰国してみて...】

フィリピン留学は初級者向けだと書きましたが、3か月弱居てやっと、英語「を」学ぶ、ではなく英語「で」何かを学ぶスタートラインに立てたかなというのが実感です。初めは毎週金曜恒例の卒業式での先生の挨拶も殆ど解りませんでした。TVドラマ等に出てくる米国人との発音の違いも、聴き慣れてくると先生によっては訛りが感じられるようになりました。

ただ、慢心しない事が大事です。先生達は日本語訛りの英語に慣れていて、「発音上手いねー!」と毎日褒めてくれますが、一歩外に出れば何を言われたのかちっとも解らないし話しても解って貰えない、という惨めな経験を沢山する事になります。個人的には最大の収穫は、何が自分にできないかが解った事だったのではないかと考えています。




◇留学ならではの体験を楽しもう

【途上国としてのフィリピン】
 
フィリピンは日本のような先進工業国とは異なる発展途上国である、とよく理解した上で渡航するのが好いでしょう。インフラも未整備なところが多々あります。歩道の側溝の蓋が崩れていて車道を歩かざるを得なかったりもします(そんな時は、バイクに乗ったひったくりに狙われないよう、特に警戒していました)。

水道は水圧が低く、出てくる水も錆汁が混じっていて日本人が飲むのは不可能です(煮沸して飲んだのに3日間寝こんだ人がいて、私は歯磨きにもミネラルウォーターを使っていました)。これらはどうにも変更の利かない「環境」だと考え、慣れてしまうしかないのでしょう。
 
治安についてですが、貧富の差も日本の比ではなく、観光客が寄り付かない地区は、興味本位で近づいては危険です。物乞いの少年達は大型ショッピングモールの裏にもいます。気の毒ですが無視しましょう。自分がどうしたら犯罪被害に遭わないで済むか、ボられにくいかという事に意識的であれば、大抵の被害は何らかの対策を講じることで防げるはずです。
 
【多様性を受容するフィリピン】

LGBT(レズ/ゲイ/バイ/トランスジェンダー)等の性的指向については、フィリピンでは少なくとも日本においてよりはずっとオープンで、多様な生き方が尊重されていると感じました。日本人留学生は臆面もなくLGBTへの差別を口にしますが、一歩海外に出れば日本人もマイノリティであり被差別者になりえます。私自身は、色々な人が自分の生き方で生きていける世界を歓迎したいと思います。
 
【常にポジティブでいたい】

海外では自分の身に起こる問題を総て一つ一つ独力で解決していく必要があります。例えば学校のスタッフに何かを頼む(例えば照明を直して欲しいとか)場合、約束だけして後は任せきり、ではなかなか事態が進展しない場合が少なくありません。

日本人どうしだとつい甘えて「空気を読んでこちらの意図を察してくれるだろう」などと考えがちですが、相手も人間です。機械ではないので、ミスもすれば曖昧な返事もします。「本当にやってくれたかな?」と何度も確認してはオフィスに乗り込んで行ったり自室に連れてきたりして繰り返し要求する事が大事です。
 
何事もポジティブに考えた方が、留学は楽しくなると思います。「頼んだのにちっともやってくれない」なんて文句を言っているより、「せっかく英語の勉強に来ているのだから、滞在中のあらゆる場面を利用して、どうしたら相手に伝わるか、英語で考えて会話する練習をしちゃおう」という姿勢でいる方が、気持ちも楽です。

そのうち相手もこちらの顔を覚えてくれます。毎日会う度に挨拶したり日本語を教えたり一緒にiPhoneでYoutubeを観たりする仲になれば、「こいつの頼みだし、先にやってやろう」と思ってくれます。タクシーに乗ったら、運転手が本当に目的地に向かっているか、地図を見たり時々話しかけたりして常時確認するのです。それもまた留学の一部です。
 
これを読んで面倒臭いと思った人もいるかもしれません。フィリピン人ってそんなに怠慢なのかと思った方もいるかもしれません。でもそれは、日本でも同じ事です。自分の意思(やりたい事・やって欲しい事)を相手に伝えるのがコミュニケーションであり、そのための最も有効な道具が言語です。

フィリピン人は英語を話し、多くがクリスチャンなので、ドラマに出てくる米国人のように自己主張が強くて馴れ馴れしいのかと思っていたのですが、そんな事は全くなく、礼儀正しくて慎み深い、愛想の良い人達でした。きちんと伝われば、喜んで協力してくれます。困ったら、必要な事は遠慮せずどんどん言うべきなのです。



 

【先生にも必要な事はどんどん言おう】

先生と仲良くなると、愚痴を聴いたり日本語のスラングを教えたり等、授業がただの友達とのトークのような様相を呈するようになってきます。これが行き過ぎると、教えて貰いたかった事を教えて貰わないうちに残りの滞在期間が圧迫される事になります。こうした事態を未然に防ぐには、授業において何をやりたいか、自分の方針を明確に示す必要があります。

発音練習では「厳しく直して下さい」と言わなければ、あまり酷くない限り指摘してくれません。日本人でも同様だと思いますが、先生は20代の女性が多い事もあり、あまりシビアな事は言わないのです。自分がどうしてもして欲しい事は、何度でも伝える努力をする事が海外で生きていく上では必要なのだと思います。別の言葉で言えば、相手を巻き込むのです。
 
【人との出会いとモチベーション】

多様なバックグラウンドを持った留学生――海外で事業展開する企業の経営者、学生時代に起業経験のある人、ビジネスコンテスト優勝経験の豊富な学生、日本に特定の住所を持たない旅行者等――との会話は刺激的でした。私と同様の求職中の人達と知り合えた事も心強かったです。学校という物理的な場の最大の長所は出会いだなーと改めて思いました。
 
また、フィリピン人の先生達と会話していると、彼らの教養の高さに気づきます。シリアスな話題でもカジュアルな話題でも、意見を求めると必ず自分の考えを理由とともに答えてくれます。こちらの答え方を見て、次の質問を的確に投げてくれる人もいます(だいたい25歳くらいから上のキャリアの長い先生にそういう人が多いように感じました)。

そうした先生とのフリートークでは、「私はこう思う。理由はこう。ほら、こんな例もあるでしょう。だからこう思うんだ」といった答え方をする訓練をするようにしていました。英語は論理的な話し方をするのに適した言語なのだと解ったからです。こうしたトレーニングは、日本語で思考するときにも有用です。その方が言説に説得力を持たせられるからです。
 
また、ナースの国家資格まで得たのに仕事がなくてESL teacherをしている先生もざらにいます。フィリピンには今、仕事がないのです。こうしたフィリピンの経済事情を始め、果物や料理、伝統的な祭事、スポーツ、学校教育制度、音楽、植民地支配の歴史、中国との国境紛争、フィリピン人の恋愛事情等、滞在中はフィリピンそのものへの関心が高まりました。

こうした事柄についてもっと知りたくなった時、訊ける相手がそこにいるのです。そしてもっと大事な事は、日本についてもっと知って欲しくなるという事です。これは語学を勉強する最大のモチベーションの一つになると思います(Wikipediaの「Japan」のページを徹夜で読んでいた事もありました)。

私は海外で暮らす事を目指していますが、これだけで弱い自分を引っ張り続けるのは、正直難しかったです。だから、「英語を使って目の前にいる異文化圏の人達に伝えたい事ができた」というのは私にとっては重要な事でした。これなら、ただ「英語をやらないといけない」と思っているよりずっと自然に「英語を使って何かを表現しよう」と思えるからです。


Anyway, I LOVE CEBU!!!


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2 コメント

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Unknown (air)
2014-06-18 07:16:40
とてもいい記事で参考になりました。ありがとうございます。
Unknown (管理人)
2014-10-03 15:59:47
> Unknown (air)さん

こちらこそ、コメントありがとうございます。このブログに初めて頂いたコメントで、どなたかのお役に立てたのであればとても嬉しいです。

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