回り道の果てに。

チラシの裏的blog。

I'm back to Japan.

2014-10-03 15:43:07 | 独白

ずいぶん長い間更新していなかったが、昨日の訪問者数が11人、19PVとなっていて驚いた。

見てくれる人がいるなら、もう少し積極的に更新していこうかな?


仕事と信念と葛藤と。

2013-11-08 10:03:45 | 仕事

医学部進学専門と銘打って個別指導を手がける学習塾で講師を始めて、まもなく半年になる。けれども、これまではそれについて何かを書く気にならなかった。というのも、ある葛藤を抱えていたからである。

 

私は1年ちょっと前に脱サラしてからというもの、サラリーマン時代を超える時給換算収入を達成したくて、今の段階で最も待遇の好い仕事を探してきた。

 

ただ、高待遇であることはそのまま、顧客から高額の料金を取っていることを意味する。この業界の場合、講師の給与のおよそ倍の金額が顧客に請求されているのが相場のようである(俺調べ)。

 

ということは、経済力の高い保護者を持った子ほどこうした教育サービスを存分に享受できることになる。私の仕事は、そんな格差を再生産することに間違いなく加担している

 

一方で私は、教育とは貧困を解決する手段でなくてはならないと考えてきた。貧困だけではない。弾圧・抑圧その他の社会的圧力、種々の格差や構造的な障壁のせいで苦しむ人を少しでも減らすことに貢献したい。村上春樹風に言えば、卵がシステムの壁に負ける社会を私は認めたくないのである。

 

そこに葛藤があった。私は、今やっていることは私自身の「レベル上げ」のためだと自分に言い聞かせることにして、このジレンマについて考えることを封印してきた。

 

だがこの半年間、実際に現場で受験生の学習を支援してきて、小さいながら気づいたことがある。それは、顧客に占める女子の比率が高いことだ。私の受け持ちがたまたまそうなっているのかもしれないが、授業コマ数の男女比は2:12。実に86%が女子なのである。

 

私が働いている学習塾は、医学部進学専門を売りにしている。初めは、そんなところに子どもを通わせる保護者は自身も医師であるか、単に高学歴志向なのだろうと思っていた。だがこの男女比を見て、女性が働くことに対する抑圧が依然として強大な社会だからこそ保護者は娘の手に職を着けさせようと考えているのかな、とも考えた。

 

だとしたら、今やっていることは、性差別という社会的な圧力で苦しむ人々を将来的に減らすことに貢献できるのではないか。好きで始めたこととはいえ、そう考えることでやっと、自分の仕事と信念とに折り合いをつけることができるようになってきた気がしている。

 

「やりがい」みたいな意識高い系の話ではなく、単に自分がやっていることが「気に入る/気に入らない」という低次元の戯言なのだが、組織にしがみついて生きることを止めた以上、徹底的に自分に正直に生きていたいものだと思う。


正解のない時代に。

2012-12-19 12:11:44 | Education
『一流大学MBA潮流のリアルスタディ:グローバル・ラーニングジャーニーセミナー』(株式会社doorz)に参加してきた。2012年12月17日(月)。以下、セミナー中に取ったメモ。「そんなつもりじゃないんだけど...」とかあったらゴメンナサイ。
 
 
第1部: セミナー全体を俯瞰するためのレクチャー
(facilitated by 森田英一さん)

(0) Check-in
隣に座った人同士で自己紹介。「何と呼ばれたいか? 今気になっている事は?」

(1) 日本人は世界の情勢・世界で起きている問題を知らなさ過ぎる。

今世界で起きている事の例:
※「日本企業」「グローバル企業」という括り自体がもはや前時代的。
※今米国で活躍するインド系人材が多数、米誌FORTUNE500に取り上げられた。
※インド・中国・アフリカ諸国で人口増が顕著(日本では人口減だが)。

単に「日本経済が縮小しているから海外にマーケットを求める」のはグローバリゼーションの本質でない。
●このままではグローバリゼーションへの対応なんて無理。

(2) 今後は「対話」が問題解決の鍵になる。(例: デンマークのFuture Center)

●今は人・組織のボーダーレス化が起きている(モノのボーダーレス化は既に進行中)。官・民の垣根を気軽に超えていく人達が、様々な問題解決に取り組んでいる。
現代の世界共通の問題:
※人口増により食糧・水への需要が年々伸び、争奪戦が起きる。
※人口ボーナス期 > 日本: 1950-1990, 中国: -2010, インドネシア: -2030
環境問題を、行政に市民が参画して対話により解決する手法が試みられている。

(3) Case Study から Real Study へ。

●Case Study(Harvard Business Schoolが生み出した過去事例研究)では、予測不能で正解のない、現代社会が抱える諸問題の解決には有効でない。Logical Thinkingだけでは、誰も見たことのない新しい世界観を描けない。
●Real Study(現場で実際に何が起きているかに直接触れながら問題解決を図る手法)を学ぶEMBA(Executive MBA)コースが、各大学に設けられるようになってきている。
●限られた優秀な頭脳によってではなく、多くの異なる知性・環境が対話・影響し合って生まれる新しい「知」の形、協働による創造(co-creation)が問題解決に役立つと期待されている。

(4) 国籍や性別は関係ない。

●教育の分野でも、人々が対話によって教え合い相互に影響を与える、「知」の共有という新たな形が模索されている。世界人口の爆発的増加により、「人(限られた人数の講師)が人(膨大な数の生徒)に教える」事には限界があるからだ。それをITによって解決する。キーワードは innovation / mobile learning / ...

※ASTD(American Society for Training & Development=米国人材開発機構)にて、Jim Collins(『Visionary Company』の著者)は「2週間に1度はネットへの接続や携帯電話の電源を切ろう。それがinnovationを起こす助けになる」と語った。

Human Resource Developmentの分野でも、国籍や性別に関係なく「強みを伸ばす」手法(Global Talent Management)に注目が集まっている。そのためには、互いに1個の人間として、どこまで深く本音で繋がれるかが大事。

※誰も正解を知らない問題の解決にはCreativityが不可欠。そのCreativityを担うベンチャーにチャンスを与えるプロセスとして、「初めに荒削りなアイディアでseed moneyを300万円くらい受け取る→そのアイディアを3か月缶詰でブラッシュアップさせる(accelarator: 腹を割ってとことん話し合えるスペースが用意されている)→再funding→startup」というものもある。

以上のように、
(1) 日本人は世界の情勢・世界で起きている問題を知らなさ過ぎる。
一方、世界には今、
(2) 今後は「対話」が問題解決の鍵になる。(例: デンマークのFuture Center)
(3) Case Study から Real Study へ。
(4) 国籍や性別は関係ない。
といった潮流・背景がある。そこでは、様々な立場の関係者が現場に飛び込み、組織(セクター)の壁を越えて対話する(Multi-Stakeholders)事で部分最適に陥るのを避け、現代社会が抱える諸問題を解決しようとする試みを日本人に体験して貰うのが今回のdoorzの企画の趣旨。


第2部: フィリピンプログラム報告会
(由佐美加子さんワクワーク/山田貴子さん、Wanic/森住直俊さん)

●由佐美加子さん: 多くの国で暮らした経験がある。
ワクワーク/山田貴子さん: フィリピンで3年以上ビジネスに取り組んでいる。
Wanic/森住直俊さん: ココナッツ酒ビジネス主宰。SFCで山田さんと同期。
 
スライド:
※スモーキーマウンテンに住む子ども達(セブ市近郊)
※墓地に住む人達(ロレガ=危険度Worst 1!)

●2日間で結果を出す事を目標に、ロレガの住人達・ワクワークEnglishの講師達と対話を行った。主題は「この3日間が終わった時に、(1)自分はどうなっていたいか? (2)このチームはどうなっていて欲しいか? (3)このロレガのコミュニティはどうなっていて欲しいか?」。

山田貴子さん: 「Learning Journeyは終わらない。今も現地で対話は続けられている。それはワクママカフェとして結実する見込み」
藤本海さん: 「ロレガの住人達・ワクワークEnglishの講師達・日本人参加者の誰が回答を書いたか判らなかったのが印象的」
森住直俊さん・森田英一さん: 「自分の安全圏を出て相手に寄り添うと、その分だけ(相手の事だけでなく)実は自分自身の事が解ってくる」

●協働による創造(co-creation)は、1対1の人間どうしの関係から生まれる。

予定調和的な結論(正解)を参加者に匂わせてしまうと、innovationは生まれない。real studyの主催者側はできるだけ手を出さず、協働相手との対話に徹する。「援助者対被援助者」の関係にしてしまっては失敗する(えてして罪悪感もついて回る)。1人の人間として、自分も腹を割って話し、また相手の話を聴く事に全力を注ぐ。

自分の過去・希望について話し、自分の事をよく知って貰うようにする。また、履歴書的なスペックで人を判断するのではなく、実際に話をよく聴いて相手を知る努力をする。すると、相手は徐々に自分の半生を語り始める(sharing life stories)。そして、彼らが本当は何を必要としているのか、自らの力で答えを見つけ出す。これがco-creation。

留学体験記 #Langrich

2012-09-03 11:38:58 | Learning Engilsh

セブ・ラングリッチ・カレッジの留学体験記です。フィリピン留学を考えている方の参考になれば。




◇英語学習について

【滞在期間】

ラングリッチにはGWと盆休みの端境期である5月下旬~8月上旬の12週間滞在しました。人数も人の出入りも少なく、疲れずに済むからです。他の留学生と安定した友達関係を築きたい人は長期休暇を避けましょう。フィリピン語学留学は初級者向け(入門者向けではないけど)なので、最長でも3か月で必要充分と思います。あまり長いと途中でスランプが来ます。

【留学目的/学習目標】

往きの飛行機で、私はこの留学を通じて何ができるようになりたいか、目標とする水準を設定しました。「Listening & Speaking: 海外での就活において英語で面接をこなし、会話を愉しめる。Reading & Writing: ビジネス文書・メールの読み書きができる」これが私の留学の当初の目標でした。
 
因みに学習面でのスランプの他、勉強をサボるexcuseとなる誘惑は、セブ島の至る所にあります。実のある留学にしたければ、強力なモチベーションが不可欠です。私は家族と過ごす時間を最大化し、自分の人生の可能性を拡げるため、英語を身につけて選択肢を殖やしたいと考えています。英語を使って何をしたいのか意識すると、有意義に過ごせると思います。
 
【学習内容の選択】

英語学習において目標とする水準、克服したい分野は何か、留学前から解っているに超した事はありません。しかし長期滞在ならば初期のうちに判れば充分です。やっているうちに目標を上方修正した時もありました。マンツーマンで授業を受けられる絶好の学習環境にあって、ここでないと勉強できない事は何か、何を勉強したいかを先生に伝えていました。
 
例えば、TEDを観て作った要約を添削して貰い、それについてフリートーク/先生が一方的に喋るのに相槌打つだけの展開は無意味なのでお題を出して貰って即興でスピーチ/用意していった教材についてその場で英語で考えてspeaking/英語で考え英語で質問に答える段階に達してないのでまず文法・語法に忠実にwritingができるようトレーニング――等々。

私はVOAやTEDに飽きてきた事もあって、途中で先生を替えたりもして(これは変に躊躇する必要はありません)何度か授業を再構築しました。滞在終盤、私はspeakingから逃げている自分に気づき、先生達に頼んでフリートークの話題を振って貰いました。

『ドラえもん』の最終回(ファンの2次創作)の内容を1ページから順に先生に説明するといった事もしました。『ドラえもん』はフィリピン人の先生達もみんなよく知っているからです。『ナウシカ』漫画版使っている人もいました。これは難易度高めの試みに聞こえますが、先生も興味を持って聴いてくれる教材であれば、それを使うのが一番です。

好きな英語の歌詞の意味を説明し、先生の解釈と合致しているか尋ねたり、フィリピンと日本の文化的な差異から来る恋愛事情の違いについてtalkしたりしているという人もいて、やっぱり楽しみながらやれるのが好いなと思いました。教材や学習のしかたについて、好いアイディアを思いつかない時は他の長期滞在者にアドバイスを貰いました。
 
【受講時間】

授業は1日4コマ6時間でした。8時間や10時間コースもありますが、詰め込んでも体力的・精神的に続きません。放課後は宿題をやるか、翌日の予習をしていました。放課後は疲れて昼寝したくなる事も多いので、やれる事は限られています。復習までできると理想的です。私は追い込まれないとやらない性格なので、予習だけでいっぱいいっぱいでしたが...。



 
【英語で考えよう】

もともとbusiness Englishを勉強するために行ったのもあって、私はspeakingは勿論、writingでさえ、初めから英語で考えて行うようにしていました。日本語で考えた文章を英訳しても、日本語特有の表現に引っ張られて不自然な英語になってしまいがちだからです。学習計画の立案も他の留学生と一緒に行った旅行の費用精算も、みんな英語で書くのです。

日本語と英語でshareしない単語・熟語はいくらでもあります。例えば、毎日訊かれる"How are you?"や帰国後言われる"I miss you."も、一対一に対応する日本語の表現はないのではないかと思います(「お元気ですか」は手紙文でしか見掛けない点で不適当です。"I'll miss you."なら「寂しくなるね」ですね)。

ある時、先生から「元留学生のお父さんにSkypeで初めて挨拶したいんだけど、"I respect you."って日本語で何て言うの?」と訊かれました。私はホワイトボードに"OSEWANI-NATTE-IMASU."と書いて渡しました。このようにコミュニケーションでは、辞書に載っていなくても文脈に適合した言葉を「英語で考えて」相手に投げ返す事が大事なのです。
 
これに関連して、日本の学校の英語教育で主な部分を占めていた英文和訳は、もはや全く不要です。それをフィリピン人の先生に添削して貰う事もできないのですから、当然ですが。細かい逐語訳よりも、「私は大意を理解しています」と相手に伝える事を目的として、内容をより簡潔な言葉で言い換えた要約を作る方が、実践的な英語の勉強になります。

そのため、英英辞典、特にonline dictionaryを活用していました。先生達が使っているonline dictionaryには Thesaurus.com, Macmillan Dictionary and Thesaurus, Merriam-Webster, Collins Dictionaries など色々ありますが、(初めのうちは特に)履歴を登録できて 類語も充実しているMerriam-Webster (要Facebook account) を使っていました。

今は、語義の説明が簡潔な Macmillan をよく使っています。因みに和英辞典は、動詞の後に来る前置詞が判らない時や名詞の可算/不可算の確認等だけに使っています。Weblio なら履歴を登録できる上、英和・和英両方に使えるので便利です。各文法用語を英語で何と言うかは、頻出するものをGoogle翻訳にまとめて放り込んでbookmarkしておくとよいと思います。
 
【英作文と語彙学習】

ある先生に教わった語彙の勉強法。毎日1つ、教材や先生との会話に出てきた単語であまりよく知らなかったものを選びます。その派生語を英英辞典で調べ、noun - verb - adjective - adverb (名詞 - 動詞 - 形容詞 - 副詞)の組合せを作ります。例えば assertion - assert - assertable - assertedly, normalize - norm - normal - normally という感じ。

それらを全て使って、英作文をします。私はそれらの文が1つに繋がったストーリーになるように指導されました。そうする事で接続詞を使う練習にもなるからです。慣れてきたら、英英辞典で synonym (類義語), antonym (反意語) を調べ、少なくとも1つずつそれらを入れた文を作ります。

練習量は少ないですが、私がやったものを外国語学習者用相互添削SNS Lang-8.com にアップロードしてあります。http://lang-8.com/231053 もっと意欲があれば、自分が作った全ての文の時制を過去、未来にずらしたものに変換する練習もするとよいと言われました。これ、案外難しいんです。特に仮定法が絡むものとか。
 
 【帰国してみて...】

フィリピン留学は初級者向けだと書きましたが、3か月弱居てやっと、英語「を」学ぶ、ではなく英語「で」何かを学ぶスタートラインに立てたかなというのが実感です。初めは毎週金曜恒例の卒業式での先生の挨拶も殆ど解りませんでした。TVドラマ等に出てくる米国人との発音の違いも、聴き慣れてくると先生によっては訛りが感じられるようになりました。

ただ、慢心しない事が大事です。先生達は日本語訛りの英語に慣れていて、「発音上手いねー!」と毎日褒めてくれますが、一歩外に出れば何を言われたのかちっとも解らないし話しても解って貰えない、という惨めな経験を沢山する事になります。個人的には最大の収穫は、何が自分にできないかが解った事だったのではないかと考えています。




◇留学ならではの体験を楽しもう

【途上国としてのフィリピン】
 
フィリピンは日本のような先進工業国とは異なる発展途上国である、とよく理解した上で渡航するのが好いでしょう。インフラも未整備なところが多々あります。歩道の側溝の蓋が崩れていて車道を歩かざるを得なかったりもします(そんな時は、バイクに乗ったひったくりに狙われないよう、特に警戒していました)。

水道は水圧が低く、出てくる水も錆汁が混じっていて日本人が飲むのは不可能です(煮沸して飲んだのに3日間寝こんだ人がいて、私は歯磨きにもミネラルウォーターを使っていました)。これらはどうにも変更の利かない「環境」だと考え、慣れてしまうしかないのでしょう。
 
治安についてですが、貧富の差も日本の比ではなく、観光客が寄り付かない地区は、興味本位で近づいては危険です。物乞いの少年達は大型ショッピングモールの裏にもいます。気の毒ですが無視しましょう。自分がどうしたら犯罪被害に遭わないで済むか、ボられにくいかという事に意識的であれば、大抵の被害は何らかの対策を講じることで防げるはずです。
 
【多様性を受容するフィリピン】

LGBT(レズ/ゲイ/バイ/トランスジェンダー)等の性的指向については、フィリピンでは少なくとも日本においてよりはずっとオープンで、多様な生き方が尊重されていると感じました。日本人留学生は臆面もなくLGBTへの差別を口にしますが、一歩海外に出れば日本人もマイノリティであり被差別者になりえます。私自身は、色々な人が自分の生き方で生きていける世界を歓迎したいと思います。
 
【常にポジティブでいたい】

海外では自分の身に起こる問題を総て一つ一つ独力で解決していく必要があります。例えば学校のスタッフに何かを頼む(例えば照明を直して欲しいとか)場合、約束だけして後は任せきり、ではなかなか事態が進展しない場合が少なくありません。

日本人どうしだとつい甘えて「空気を読んでこちらの意図を察してくれるだろう」などと考えがちですが、相手も人間です。機械ではないので、ミスもすれば曖昧な返事もします。「本当にやってくれたかな?」と何度も確認してはオフィスに乗り込んで行ったり自室に連れてきたりして繰り返し要求する事が大事です。
 
何事もポジティブに考えた方が、留学は楽しくなると思います。「頼んだのにちっともやってくれない」なんて文句を言っているより、「せっかく英語の勉強に来ているのだから、滞在中のあらゆる場面を利用して、どうしたら相手に伝わるか、英語で考えて会話する練習をしちゃおう」という姿勢でいる方が、気持ちも楽です。

そのうち相手もこちらの顔を覚えてくれます。毎日会う度に挨拶したり日本語を教えたり一緒にiPhoneでYoutubeを観たりする仲になれば、「こいつの頼みだし、先にやってやろう」と思ってくれます。タクシーに乗ったら、運転手が本当に目的地に向かっているか、地図を見たり時々話しかけたりして常時確認するのです。それもまた留学の一部です。
 
これを読んで面倒臭いと思った人もいるかもしれません。フィリピン人ってそんなに怠慢なのかと思った方もいるかもしれません。でもそれは、日本でも同じ事です。自分の意思(やりたい事・やって欲しい事)を相手に伝えるのがコミュニケーションであり、そのための最も有効な道具が言語です。

フィリピン人は英語を話し、多くがクリスチャンなので、ドラマに出てくる米国人のように自己主張が強くて馴れ馴れしいのかと思っていたのですが、そんな事は全くなく、礼儀正しくて慎み深い、愛想の良い人達でした。きちんと伝われば、喜んで協力してくれます。困ったら、必要な事は遠慮せずどんどん言うべきなのです。



 

【先生にも必要な事はどんどん言おう】

先生と仲良くなると、愚痴を聴いたり日本語のスラングを教えたり等、授業がただの友達とのトークのような様相を呈するようになってきます。これが行き過ぎると、教えて貰いたかった事を教えて貰わないうちに残りの滞在期間が圧迫される事になります。こうした事態を未然に防ぐには、授業において何をやりたいか、自分の方針を明確に示す必要があります。

発音練習では「厳しく直して下さい」と言わなければ、あまり酷くない限り指摘してくれません。日本人でも同様だと思いますが、先生は20代の女性が多い事もあり、あまりシビアな事は言わないのです。自分がどうしてもして欲しい事は、何度でも伝える努力をする事が海外で生きていく上では必要なのだと思います。別の言葉で言えば、相手を巻き込むのです。
 
【人との出会いとモチベーション】

多様なバックグラウンドを持った留学生――海外で事業展開する企業の経営者、学生時代に起業経験のある人、ビジネスコンテスト優勝経験の豊富な学生、日本に特定の住所を持たない旅行者等――との会話は刺激的でした。私と同様の求職中の人達と知り合えた事も心強かったです。学校という物理的な場の最大の長所は出会いだなーと改めて思いました。
 
また、フィリピン人の先生達と会話していると、彼らの教養の高さに気づきます。シリアスな話題でもカジュアルな話題でも、意見を求めると必ず自分の考えを理由とともに答えてくれます。こちらの答え方を見て、次の質問を的確に投げてくれる人もいます(だいたい25歳くらいから上のキャリアの長い先生にそういう人が多いように感じました)。

そうした先生とのフリートークでは、「私はこう思う。理由はこう。ほら、こんな例もあるでしょう。だからこう思うんだ」といった答え方をする訓練をするようにしていました。英語は論理的な話し方をするのに適した言語なのだと解ったからです。こうしたトレーニングは、日本語で思考するときにも有用です。その方が言説に説得力を持たせられるからです。
 
また、ナースの国家資格まで得たのに仕事がなくてESL teacherをしている先生もざらにいます。フィリピンには今、仕事がないのです。こうしたフィリピンの経済事情を始め、果物や料理、伝統的な祭事、スポーツ、学校教育制度、音楽、植民地支配の歴史、中国との国境紛争、フィリピン人の恋愛事情等、滞在中はフィリピンそのものへの関心が高まりました。

こうした事柄についてもっと知りたくなった時、訊ける相手がそこにいるのです。そしてもっと大事な事は、日本についてもっと知って欲しくなるという事です。これは語学を勉強する最大のモチベーションの一つになると思います(Wikipediaの「Japan」のページを徹夜で読んでいた事もありました)。

私は海外で暮らす事を目指していますが、これだけで弱い自分を引っ張り続けるのは、正直難しかったです。だから、「英語を使って目の前にいる異文化圏の人達に伝えたい事ができた」というのは私にとっては重要な事でした。これなら、ただ「英語をやらないといけない」と思っているよりずっと自然に「英語を使って何かを表現しよう」と思えるからです。


Anyway, I LOVE CEBU!!!


Cebu Summit 120314

2012-03-24 18:38:37 | Weblog
Langrich新オフィスで開催されたCebu Summitより。
http://www.ustream.tv/recorded/21096405


■占部さん

日本人で「英語なんかできなくてもいい」とか「先に日本語勉強しろ」とか言う人がいるが、ハッキリ言って世間知らずであると思う。


■大石さん

英語は英米人とというより寧ろ、アジアの人々とコミュニケーションを取るためのツールとなってきている。


■やんやんさん

語学は、アウトプットがとても大事。Skype英会話もよいが、留学は四六時中英語を話せるのでよい。


■もりぞおさん

英語ができれば、欧州はもちろん、アジアの全ての国で仕事を探すことができる。費用対効果が高い自己投資だ。


■太田さん

英語に対するコンプレックスが克服できるのがフィリピン留学のメリット。


■phaさん

日本ではニートへの風当たりが強いが、英語を勉強しにセブに行くと言えば、セブでぶらぶらしてても周囲の反応も悪くないはず。それで英語が身に付けば儲け物だ。


■HAL_Jさん

英語を1対1で学べる事のメリットは大きい。


■ちきりんさん

日本の英語教育では、受験に必要(Duty)、就職に有利(Tool)、といった理由で英語を勉強する人が大半だった。それが多くの日本人に英語が身に付かない理由だろう。

英語はOpportunity。より好い仕事、より好い教育、より好い食事を得るためのチャンスを掴むための英語学習を世界中の若い人達がしている。


■占部さん

いやいや英語を勉強するのではなく、楽しんでできれば身に付きやすいと思う。


■ykatouさん

日本企業も、海外に顧客を求めないと食っていけなくなってきている。海外就職を考える日本人も増える兆しが見られるようだ。


■やんやんさん

海外就職は3点メリットがある。
1.日本の良さを伝える事ができる。
2.就職先国の文化を知り、自分の世界を拡げる事ができる。
3.日本に海外の文化のよいところを輸入し、日本をより良い国にしていく事ができる。


■占部さん

海外就職は、海外在住経験のある人でも一世一代の大博打のような覚悟がないとできないようなイメージを持たれがち。日本のパスポートは最強だし、そうした抵抗感を持つ必要はない。もっと気軽に海外に出て欲しい。


■phaさん

日本のニート達も、日本のローカルな労働環境がたまたま合わなかっただけかもしれないのだから、とりあえず他の国へ行ってみて、肌が合いそうだったら就職する事を考えてもいいと思う。


■もりぞおさん

海外就職は、占部さんが言う通り、そんなに敷居の高いものではない。まず人材紹介会社のRGFやテンプスタッフ等に登録して、紹介された会社に面接に行くといった手順は日本と同じだ。

最初にやった方がいいと思う事は、海外旅行。もし可能なら、現地の人と話してみて欲しい。インドネシアではスマホは現地人の月給の倍するが、それでも飛ぶように売れている。この数年間で給与が倍増しており、モノへの需要が膨張しているからだ。

海外就職後、永住するかどうかは選択肢の一つに過ぎない。どんどん新しい事にチャレンジしていき、選択肢を増やしていけばいいと思う。それは人生を豊かにしてくれるだろう。


■太田さん

日本にある最先端技術を誇る企業はいくつもあるが、海外でそれを売れる人が足りない。売れる仕組みを作れない。中国、韓国、台湾には沢山いるのにである。

言語の壁を越えられさえすれば、日本で仕事ができる人は海外でも通用する。日本人に求められるのは、細かいマネジメントや品質管理。


■大石さん

グローバル企業を中心に採用コンサルをする事もあるが、彼らは新入社員に自分達がグローバル企業である事を叩き込む。グローバル化の進展で、日本人枠といったものがなくなっていく一方、日本人も世界中のあちこちで活躍できる機会が拡がっている。


■ちきりんさん

海外就職、というタイトルで議論していた事が、10年後には笑い話になるだろう。LCC等の発達によって、外国はどんどん身近になっていく。上京就職という言葉がないように、わざわざ海外就職とは呼ばなくなるだろう。ニートも海外に出る時代。海外就職は特別な事ではなくなる。


■占部さん

グローバル人材は、誰でもならなくてはならないものというものではない。もっとゆるく考えよう。海外で働く機会が国内で働く機会と同様に与えられているのだから、その事を多くの人に知って欲しいし、意外とハードルは高くない事も知って欲しい。


■太田さん

海外で働いている日本人は、たいていそこでの生活も仕事も楽しんでいた。ある程度のスキルがあれば、世界中のどこでも仕事ができる。


■やんやんさん

日本人は、最強の日本のパスポートを存分に活かすべき。


■phaさん

快適なのでずっとセブにいたい、そういう人は是非海外に。


■大石さん

ただ海外に行く事自体を目的に旅行に行くと、海外に行く事なんてなーんだ大した事ないじゃんと思えるだろう。


■占部さん

LRで英語教育を終えた後の世界を想像してみよう。東京で外国人に道を教えるだけじゃなく、英語が出来る事によって海外就職できたり新しいライフスタイルを選択できたりする事が英語を学ぶ事のメリットだ。

Interview with a consultant

2012-01-26 00:10:17 | 仕事
Wednesday January 25th, 2012 05:30pm - 07:00pm

Interview with a consultant


Associate consultant:

Lecture on what company they are.

They are established in 19xx. They've dealt more than 10,000 job hunters.

They have 80 consultants, and 60% of them have experiences of English teacher in Japan.

Is this the first time for me to meet a recruiting agent?

Wrote my signature in the privacy policy.

Explained my jobtitle, responsibility.

How much salary do I desire?

In what industry do I want to work?

What jobtitle am I interested in?


Consultant:

His clients include Tier 1 consuting firms.

First, challenge Tier 1.

If it failed, next Tier 2.

Interviews are usually mainly contended of Case Studies.

In Case Studies, they examine how analytical I solve the issue.

They're also interested in what questions I ask.

I can practice case studies by Internet.

In addition, they often ask interviewees about their industry.

A Tier 1 consuting firm:

Every January, they tell recruit consuntants what kind of human resource they need.

It depends on each year; under 35, under 32, MBA holder, or non-MBA holder but another master degree holder, etc.

They don't settle th deadline; they're looking for talents all year.


Associate consultant:

How about a German manufacturer of rolling bearings and engine components of industrial machines?

They're looking for an Order Management Staff, Customer Service Division.

2項対立

2012-01-05 23:43:33 | Weblog
日本の「伝統的」とされる価値観、特にムラ社会の文化を左項、これに反する価値観を右項に列べてみた。


「均質性重視」←→「多様性重視」

「多数派と違う選択をした人を異端視する」←→「他人のプライベートな事情に干渉しない」

「多数派の価値観を強要する」←→「多様な価値観の存在を受容する」

「自由のない相互監視社会」(元来の理念から乖離した極端な自己責任論) ←→「自己責任において凡てが自由」

「マイノリティへの迫害・排斥」←→「マイノリティの許容・尊重」
(e.g.社会的弱者、被差別者=貧困層、児童、高齢者、女性、高齢社会や年功序列における若年層、外国人、要介護者、
様々な障碍を持つ人達、特定宗教・宗派の信者、同性愛者、薬物中毒者、被差別出身者、...まだある)

「集団の優先」←→「個人の尊重」

「思考を停止する」←→「自分の頭で考える」

「問答無用に絶対服従を強要する」←→「自分の頭で考えて納得いかなければ、拒否する自由がある」

「一方的に搾取するのが好いビジネス」←→「互恵(Win-Win)関係を築くのが好いビジネス」

「サービス(無償提供)は当然/カネを払った後は何を要求してもよい」←→「相応の対価を求める/対価を支払う」

「弱者の言い分は強者によって頭ごなしに握り潰されて当然」←→「釈明の機会は誰にでも与えられねばならない」

「封建的身分制により既得権益は保護されるべき」←→「人種・出身・学歴・職業・性別等による差別は禁止されるべき」
(e.g.東大偏重、正社員と非正規雇用、女性蔑視の横行...)

「不寛容」←→「寛容」

「無謬主義」←→「ヒューマンエラーの織り込み」

「減点方式」←→「加点方式」

「空気を読む事(非言語コミュニケーション)の強要」←→「言葉による対話の重視」

「終業後の飲みニケーションでのみ本音を言う」←→「必要な会話は全て業務時間中に行う」

「お客様は神様です」(顧客至上主義)←→「顧客はステークホルダーに過ぎない」

「我慢大会」←→「お互い様」

「一方的な契約条件」←→「対等な契約条件」

「結果平等主義」←→「機会平等主義」

「苦労は買ってでもしろ」←→「いかに効率的に成果を挙げるかを常に考えよ」


左項は、その殆どが個人的には解せない、あるいは嫌なものだと感じる。右項の価値観が普通の国に行きたい。

今後の人生設計と実現への戦略

2012-01-05 01:00:40 | 仕事
2日酔いの残る元旦は朝5時に目が覚めたので、今後の人生設計と実現への戦略を考えてみた。目的は「家族と過ごす時間の最大化」、その実現のために掲げるべき当面の目標は「ブラックな労働環境に捕捉されない」「貧困に陥らない」の2つだ。


これらに対応する戦略は、「日本でしか暮らしていけない事からくるリスク(選択肢のなさによる人生の詰み)をなくす」「自分の強みをマネタイズできる環境で仕事を創る」だ。そのために、まずは語学留学および海外就職を考えている。


就労先国は東南アジアを想定している。VISTAと呼ばれる国々を含み、今まさに発展途上にある市場で職を求めるためだ。候補はインドネシア、比国、マレーシア、タイ、シンガポールなど。叶うならAUS、NZも入れたい。情報ソースは、業者ではなく信頼できると思える個人としたい。


留学先は、先日説明会に行った比国セブ島のラングリッチイングリッシュカレッジを考えている。ここなら学費も安く済みそうだからだ。と、ここでお金の話が出たので、お金について考えてみる。この問題は、いつ退職するか?という問題と深く関わる。


▼変数

退職xか月後(自分で決める)、
再就職の期限yか月後(不確定要素)とする。


▼初期値

2012年頭貯金額
M0= 4,000,000円
ローン残高
M1= 400,000円


▼再就職までの資産の目減り

(収入)
W円/月*xか月= 300,000円/月*xか月

(支出)
語学留学 S円/月*3か月= (130,000+20,000)円/月*3か月
留学準備(含ノートPC) P= 150,000円
就活中滞在費 T円/月*(y-x-3)か月=150,000円/月*(y-x-3)か月
渡航費用 往復2回 A円= 200,000円
家賃(退職前) R1円/月*xか月= 87,000円/月*xか月
家賃(退職後) R2円/月*(y-x)か月= 125,000円/月*(y-x)か月
固定費その他 F円/月*yか月= 100,000円/月*yか月


▼退職・再就職方程式

M0-M1+W*x-3S-P-T*(y-x-3)-A-R1*x-R2*(y-x)-F*y= 0



y = [(W+T-R1+R2)*x+(M0-M1-3S-P+3T-A)]/(T+R2+F)

= (488x+3,250)/395 = 1.23x+8.22

(yxの増加関数)

を得る。


x=3 の時、y= 11.9
x=6 の時、y= 15.6
x=9 の時、y= 19.3


以上より、退職を3~9か月後とした場合、資産の枯渇を避けるには、再就職は11~19か月後には果たす必要がある

決意

2011-11-06 15:10:18 | 独白

昨日はディナーにフレンチレストランに行って、久々にシャンパンやワイン飲んだ。んで、妻と家族会議。夢を目標と捉え直し、これから戦略的に動いていくための作戦会議だ。まとめて長い時間話せてよかった!


話し合ったのは、(1)家庭とどう関わりたいか、(2)それによって導き出される今後の働き方はどうであるべきか、(3)それを設計する上で、家計のキャッシュフローは現状いくらか、(4)(2)を踏まえた上で(3)を代替できる手段は何があるか。


(2)(4)を実行するには、英語・IT・マネーの知識が必要のようだ(これら3つをまとめて、マンガ『M.I.Q』原作者の桝山寛氏が「21世紀の読み書き算盤」と呼んでいた)。今更気づいたんだが、これら3つの共通点は「どこに行っても潰しが利く技能」、そして「選択肢を拡げるためのツール」である事だ。


「潰しが利く」とは「稼げる」事。稼ぐものは金銭的利益に限らない。周りの人間を巻き込んで、自分が行こうとする道を宣言する事で協賛を引き出す、つまり他者からモノの提供を受けたり、信用/信頼/好意/協力を獲得したりする上でも、この3つは役立つだろう。


この言葉を初めて聞いてから、もともと一番関心があった「マネーの知識」から勉強しようと考えた。6年半取り組んでみて、自分に向いているタイムフレーム(投資対象の監視期間、1分間~数週間~半永久的放置まで色々ある)は解ってきた。


マネーといえば、1か月30万円程度の収入があれば充分過ぎるほど現状の生活レベルを維持できる。そのためには月収3万円の仕事を10個持つのがよい、という話を聞いた事がある。10個は無理でも、月収10万円稼げる手段を3つ確保するぐらいならできそうに聞こえないだろうか? 今後はそれをもっと掘り下げていく。


「IT」とは、プログラミングができる事だけじゃなく、自らの教養を以て氾濫する情報をフィルタリングし、また自分なりに信頼できるキュレーターを見つける事を含めたメディアリテラシーをも指すもの、と解釈している。ただ、BLOGを含めそれで稼げるような技能は、まだ身についてはいない。今後はここを特に勉強する。その中で深く興味を持てる領域に出会うだろうから、それを活かせるだけの専門性も獲得したい。


英語は、気負わずやっていこうと思う。今は米国のドラマ『glee』を、日本語字幕付きで観ている。瞬間英作文も、もっとサイクルのペースを上げてやっていく。


どう動けばよいか、考えもしないで終わりたくない。どう動けばよいか、頭で解っているくせに何もせずに歳だけ取ってしまったら、きっと後悔するだろう。


争いのない世界

2011-08-13 21:05:51 | 独白
競争は、参加する機会を平等に与えられ、ルールに則って公正に行われるならば大いに結構だ。しかし、殺し合い、奪い合いといった暴力的な争い事は避けるに越した事はない。では、争いは何故起こるのか。


他者に攻撃を加える行動の目的には、経験上2種類あると思う。1つは狩猟・捕食、もう1つは恐怖心から来る自己防衛だ。大抵の人には、後者が関心事だろう。


もう少し詳しく言うと、攻撃行動は自分自身、または自分に属する何かを護るために行われる。仕事、プライド、時間、故郷、親友、信仰等何でもよいが、自分のナワバリが何かに侵されている、脅かされているという恐怖心からパニックに陥った時、人は怒ったり攻撃的になったりする。


従って、人々が不毛な争い事を起こさず、生産的なWin-Winの関係を築くには、自分はあなたに害を及ぼすものではないのですよというメッセージを伝える事が必要だ。そのための実効的な作戦の端的な例が、ナウシカの処世術だ。


彼女はテトに手を噛まれて尚、「怖くない、怖くない。ほら、怖くない」と語り掛けて手懐けたり、クシャナに「貴女は何を怖がっているの?」と問い掛けて銃を取り上げたり、となかなか大胆だ。だが自分の懐を相手にさらけ出して信頼を得るやり口は、流石為政者の家系である。


このように、誠意を持って接する事は、相手の協力を引き出す上で有効な手である。いわばしっぺ返し戦略だ。但しこれは、一対一(サシ)なら比較的奏功しやすいものの、しっぺ返し戦略同様に一対多の場合には最適解でない事が多いように思う。


これには、最初に触れたもう1つの攻撃性が関係していると思っている。マンモスを狩るように、1人で立ち向かうのは無理でも数を恃めば人が攻撃性を顕わにする心理的ハードルが下がる。「敵を服従させ、蹂躙し、消費したい」という願望が集合的無意識となって表れた場合、モラルハザードを起こした圧倒的多数の前に、個は無力だ。


1つの解決策は、名無しさんの集合との一対多の関係を、顔の見える相手との一対一の関係の束に転換する事だ。こうする事で良識と良識とが出会い、互いを潰そうと争うのではなく尊重し合う関係が醸成される可能性が生まれる。


Facebookに見られるような、自分と周りの人間との関係を親子だろうが先生と教え子だろうがFriendかそうでないかの二分法で集約しようとする思想は、個人的には前から持っていた世界観と似ていて割と抵抗なく受け入れられた。


相性があるから、お友達になりたくない相手だっているものだ。だが友達になりたい相手には、友達付き合いを深めようと心を開き、自分の事を知って貰えるよう努力するのが近道だろう。


インターネットの登場によって可能になった他者へのダイレクトなアクセスは、そうした活動を盛んに促す。それによって、緩いが友好的な関係を好み、泥沼のように相手に粘着して不毛な争い事を起こすのを厭う人々が増える。


毎日人が沢山死ぬニュースが絶えないこの時代だからこそ、そんな世の中になればいいと切に願う。