回り道の果てに。

チラシの裏的blog。

正解のない時代に。

2012-12-19 12:11:44 | Education
『一流大学MBA潮流のリアルスタディ:グローバル・ラーニングジャーニーセミナー』(株式会社doorz)に参加してきた。2012年12月17日(月)。以下、セミナー中に取ったメモ。「そんなつもりじゃないんだけど...」とかあったらゴメンナサイ。
 
 
第1部: セミナー全体を俯瞰するためのレクチャー
(facilitated by 森田英一さん)

(0) Check-in
隣に座った人同士で自己紹介。「何と呼ばれたいか? 今気になっている事は?」

(1) 日本人は世界の情勢・世界で起きている問題を知らなさ過ぎる。

今世界で起きている事の例:
※「日本企業」「グローバル企業」という括り自体がもはや前時代的。
※今米国で活躍するインド系人材が多数、米誌FORTUNE500に取り上げられた。
※インド・中国・アフリカ諸国で人口増が顕著(日本では人口減だが)。

単に「日本経済が縮小しているから海外にマーケットを求める」のはグローバリゼーションの本質でない。
●このままではグローバリゼーションへの対応なんて無理。

(2) 今後は「対話」が問題解決の鍵になる。(例: デンマークのFuture Center)

●今は人・組織のボーダーレス化が起きている(モノのボーダーレス化は既に進行中)。官・民の垣根を気軽に超えていく人達が、様々な問題解決に取り組んでいる。
現代の世界共通の問題:
※人口増により食糧・水への需要が年々伸び、争奪戦が起きる。
※人口ボーナス期 > 日本: 1950-1990, 中国: -2010, インドネシア: -2030
環境問題を、行政に市民が参画して対話により解決する手法が試みられている。

(3) Case Study から Real Study へ。

●Case Study(Harvard Business Schoolが生み出した過去事例研究)では、予測不能で正解のない、現代社会が抱える諸問題の解決には有効でない。Logical Thinkingだけでは、誰も見たことのない新しい世界観を描けない。
●Real Study(現場で実際に何が起きているかに直接触れながら問題解決を図る手法)を学ぶEMBA(Executive MBA)コースが、各大学に設けられるようになってきている。
●限られた優秀な頭脳によってではなく、多くの異なる知性・環境が対話・影響し合って生まれる新しい「知」の形、協働による創造(co-creation)が問題解決に役立つと期待されている。

(4) 国籍や性別は関係ない。

●教育の分野でも、人々が対話によって教え合い相互に影響を与える、「知」の共有という新たな形が模索されている。世界人口の爆発的増加により、「人(限られた人数の講師)が人(膨大な数の生徒)に教える」事には限界があるからだ。それをITによって解決する。キーワードは innovation / mobile learning / ...

※ASTD(American Society for Training & Development=米国人材開発機構)にて、Jim Collins(『Visionary Company』の著者)は「2週間に1度はネットへの接続や携帯電話の電源を切ろう。それがinnovationを起こす助けになる」と語った。

Human Resource Developmentの分野でも、国籍や性別に関係なく「強みを伸ばす」手法(Global Talent Management)に注目が集まっている。そのためには、互いに1個の人間として、どこまで深く本音で繋がれるかが大事。

※誰も正解を知らない問題の解決にはCreativityが不可欠。そのCreativityを担うベンチャーにチャンスを与えるプロセスとして、「初めに荒削りなアイディアでseed moneyを300万円くらい受け取る→そのアイディアを3か月缶詰でブラッシュアップさせる(accelarator: 腹を割ってとことん話し合えるスペースが用意されている)→再funding→startup」というものもある。

以上のように、
(1) 日本人は世界の情勢・世界で起きている問題を知らなさ過ぎる。
一方、世界には今、
(2) 今後は「対話」が問題解決の鍵になる。(例: デンマークのFuture Center)
(3) Case Study から Real Study へ。
(4) 国籍や性別は関係ない。
といった潮流・背景がある。そこでは、様々な立場の関係者が現場に飛び込み、組織(セクター)の壁を越えて対話する(Multi-Stakeholders)事で部分最適に陥るのを避け、現代社会が抱える諸問題を解決しようとする試みを日本人に体験して貰うのが今回のdoorzの企画の趣旨。


第2部: フィリピンプログラム報告会
(由佐美加子さんワクワーク/山田貴子さん、Wanic/森住直俊さん)

●由佐美加子さん: 多くの国で暮らした経験がある。
ワクワーク/山田貴子さん: フィリピンで3年以上ビジネスに取り組んでいる。
Wanic/森住直俊さん: ココナッツ酒ビジネス主宰。SFCで山田さんと同期。
 
スライド:
※スモーキーマウンテンに住む子ども達(セブ市近郊)
※墓地に住む人達(ロレガ=危険度Worst 1!)

●2日間で結果を出す事を目標に、ロレガの住人達・ワクワークEnglishの講師達と対話を行った。主題は「この3日間が終わった時に、(1)自分はどうなっていたいか? (2)このチームはどうなっていて欲しいか? (3)このロレガのコミュニティはどうなっていて欲しいか?」。

山田貴子さん: 「Learning Journeyは終わらない。今も現地で対話は続けられている。それはワクママカフェとして結実する見込み」
藤本海さん: 「ロレガの住人達・ワクワークEnglishの講師達・日本人参加者の誰が回答を書いたか判らなかったのが印象的」
森住直俊さん・森田英一さん: 「自分の安全圏を出て相手に寄り添うと、その分だけ(相手の事だけでなく)実は自分自身の事が解ってくる」

●協働による創造(co-creation)は、1対1の人間どうしの関係から生まれる。

予定調和的な結論(正解)を参加者に匂わせてしまうと、innovationは生まれない。real studyの主催者側はできるだけ手を出さず、協働相手との対話に徹する。「援助者対被援助者」の関係にしてしまっては失敗する(えてして罪悪感もついて回る)。1人の人間として、自分も腹を割って話し、また相手の話を聴く事に全力を注ぐ。

自分の過去・希望について話し、自分の事をよく知って貰うようにする。また、履歴書的なスペックで人を判断するのではなく、実際に話をよく聴いて相手を知る努力をする。すると、相手は徐々に自分の半生を語り始める(sharing life stories)。そして、彼らが本当は何を必要としているのか、自らの力で答えを見つけ出す。これがco-creation。

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