いよいよ建物解体作業開始まであと2週間という今、資料の保存作業は最終段階に入っています。
ところが、「もうここはチェックした、救える本はないはず」と思っていた物置から、ヘルムート・ゴルヴィツァーの編集したカール・バルト著『教会教義学』が出現して冷や汗。
以前から述べているように、残念ながら遺されたすべての本を救出できるというわけではありません。本の状態や保存できるスペースの限界を兼ね合わせて考慮し、瞬時に優先順位をつけながらこれまで運び出しをしてきたわけです。(当然ミスジャッジもあると思われます。これも実にコワい。)
この本自体は、特にキリスト教系の大学図書館であればどこでも所蔵しているでしょうし、日本語訳にこだわらなければ、ドイツ語・英語版ではまだ比較的手に入りやすいと思います。実際、倉庫には既に英語版は保存されていると思いますし(自分が学生時代に購入した記憶もあり)、ドイツ語版もあったような気がします。だからこちらを見逃していたのでしょうか。
作業中、パラパラっとページをめくって、思わず「うわっ」と言ってしまいました。そこには、野呂芳男筆跡の書き込みが多数見られたからです。そこが、この資料の貴重度を高めているところであったりします。個人的に。

昨日は、その後の仕事に追われて中途半端に切り上げた分、まだこのような本が結構たくさんあるかもしれないと、余計気になってしまいます。
箸より重い物を持ったことがない御嬢さまな私としましては(大嘘)、もっとテキパキと動ける強靭な肉体の持ち主であったらよかったのにと思います。2週間あるとはいえ、時間が取れるのはあと数回でしょう。しかしたぶんこれだけの時間があれば、やり残した感なしに作業を終えられると思います。これまでご協力いただいた岩田さんのお陰様が大きいんです。感謝。(林昌子)