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空想地図 多奈崎市を作っている人らのブログです

空想地図作家的旅行⑥ - 山に登って船に乗る(旅行1日目)

2020-05-31 09:06:30 | ある旅行の話


まだ起きていない頭と体を揺さぶりながら、

駅まで足を運ぶ。


●ディスカバー・ウエスト(東京➡︎名古屋)
今日の行程。
5時前に出発してから「昼ごろ」の名古屋まで🚃のアイコンが続く。
今日はとにかく西へ進む日なのだ。

荷物が少ない(気合で極限まで減らした)のもあって、
自宅近くの日常圏内を通勤電車で移動している限りは、
ただ家を早く出て移動している、という気にしかならなくて、
「旅行」と「外出」の境界なんぞを考えたくなる。

出発から数分で早々に東京都を脱出して、
神奈川県を進む。


神奈川の県央エリアは、東京っぽい慌ただしさと、地方っぽいのんびりした風情が同居している不思議な地域。
この路線は電車も短いし、ドアのステッカーもユルい。

茅ヶ崎で乗り換え。
あとは500kmぐらい先の神戸まで、東海道線と長いお付き合いになる。


流れる景色を背景に、好きな音楽でも聴きながら列車に揺られる
これほど贅沢な時間の使い方は無い。
そう言い聞かせて、旅の序盤からさっそくグリーン車に課金。


太陽が顔を見せることには知らない景色になっていた。
遠くに見える家並み、一軒一軒に誰かが住んでいてそれぞれの日常が存在するんだよな、と想像すると、この"普通"の景色も果てしないスペクタクルに見えてくる。


小田原を過ぎると景色が一変。海と山の間を縫うように駆け抜ける路線に。
身近に海の無い人(私)にとって、海はそこにあるだけで高まる存在
とっさにシャッターを切ってもしかし、上手くは撮れない…

大人しく座席からの観賞に徹する。

・・・

自然に圧倒されながら電車に揺られているうちに熱海に着く。静岡県で最初の駅。
これをもって関東とは1週間そこらのお別れ。

静岡大陸をのんびり移動する。



温暖な静岡が気持ち良すぎて寝過ごした
一回休み.


九州に向かう私とは逆に偶然九州から帰ってきた友人と
浜松で十数分だけ話してみたりもした。
旅行に行く道中で旅行の土産話を聞くという体験、貴重。


そんな浜松。
ここは私の日常生活圏の外
しかしそれでいて、旅行や移動で何度か訪れたこともある街でもある。
そういう場所には、よそなんだけど帰ってきたような
よくわからない安心感を感じたりする。

荷物も多くないし、"浜松市民"に擬態してみたくもなる。
つぎ来たときは、ちゃんと歩いてみよう。


静岡駅・名古屋駅とすっっっっっごく似てる、浜松駅(行ってみてください)
今日の目的地は神戸。そろそろ行かねば。


●名古屋でアレを食べる

この日の昼食は、実は決めていたのだ。

私は旅行者である前に一人のミーハーである
「名古屋と言えば」に続く飲食店の一つにどうしても行ってみたかった。

その店は都心からは遠いが、行って帰っても行程表の「昼ごろ」を逸脱しなさそうだ。
行くしかない。




なぜか立札の形、んで「WANTED LIST」は中央揃えではなく左揃えなのか


名古屋の地下鉄(鶴舞線)に乗る。
薄暗くて長い通路は、かっちりした案内表示も含めてどこか無機質。
ホームはさらに神妙な雰囲気。

10分ちょっと揺られて、漢字で書くと見たことない漢字が使われる駅に到着した。


いりなか。…漢字では「杁中」。
杁⬅︎この字、愛知県周辺の地名でちらほら目にするが、それ以外では見たことがない。言葉には"方言"というものがあるが、漢字(文字)にもそういうものがある(らしい)。


駅前はこじんまりとした街…といった風情ながら、
タピオカ屋をはじめ意外と飲食店が多い。

が、それには目もくれず丘を登って数分歩く。




喫茶店にやってきた。


コーヒーと料理を注文する。
ほどなくしてコーヒーが到着。


ドリンクの注文に対して、
ビスケット3枚に個包装のケーキまでついてくるのは名古屋流。
付け合わせがミレービスケットなのは嬉しい。
食器が紙ナプキンに包まれているのも"""懐かしさ"""を感じたり
わたしはじゅうぶんチョロい人間なので、これだけで名古屋の喫茶店にハマっているし名古屋に住みたいと思っているよ

ちょうど昼食どきだったか、活気溢れる店内。
アイスコーヒーを啜りながら待つこと数十分、
主役が私の目の前に現れた。


何を隠そう、いや店名の時点でもうほとんど隠れてはいなかったかもしれないが、
名古屋といえばマウンテン、マウンテンといえば甘口スパである。

果物を熱々のスパゲッティに仕立てるという力技。デザートとはいえないが食事と言えるのかもわからぬディッシュ。
麺が太く皿がデカいので写真では気づきにくいが結構なボリューム。
大きさ、匂い、オーラ、全てが放つ存在感が半端ない。

空想地図でもご当地料理とか、街の飲食店のメニューとかを断片で考えたりすることがあるが、ここまでいろんなところから逸脱した素晴らしいメニューはなかなか考え付かない。事実はどこまでも小説より奇である。素晴らしい。

待ちに待った待望の甘口いちごスパ
誠に素晴らしい。毎日でも拝みたい。
実際にこれを食する日が来ようとは!!!!





このスパゲッティ、わたしの胃にはあまりに素晴らしすぎたのか、
このあと名古屋駅のトイレで電車を3本ほど見逃すことになったのは
まあ少し後の話。

マウンテンに"登頂"する際は、
胃の中に""""""何も""""""入れずに行くべし


●ディスカバー・ウエスト・モア(名古屋➡︎神戸港)

胃を休めながら電車に揺られて虚空を見つめる。
愛知をもすぎ、岐阜県に入っていた。


濃尾平野の広い範囲に、
どこに集まるでもなく満遍なく建物が立ち並んでいる。

ここにも無数の"日常"が存在するのだろう。


平野が終わると山。天下分け目の関ヶ原を抜ければ、
いよいよ滋賀県へ。あっという間にさよなら岐阜県。
平和な昼下がりが続く。なんだかとっても満腹だし。

滋賀県の米原駅で電車を乗り換えれば、
あとは新快速が2時間ちょっとで神戸までそのまま運んでくれる。

今では米原が「東海」と「関西」の分け目、
列車に乗っているとそんな心持ちである。

ふとradikoのアプリを起動すると、
普段見慣れないラジオ局の名前がずらっと。
聞いてみると、関西弁のパーソナリティが3人ぐらいで喋っている。

遠くの景色を眺めながら、
遠くの電車に揺られながら、
遠くのラジオを聴く。
体全体で"遠く"を感じる瞬間。


そんなこんなで滋賀を抜け、京都をすぎ、あっという間に大阪。
ここまでくれば神戸までラストスパート、そんな区切りの感じがする。
24時間テレビのマラソンなら、そろそろサライの合唱が始まるころだろう。

だだっ広い河川敷の向こうに無限のビル群が見える大阪の景色、
メリハリがあって好きな景色の一つ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

東京・八王子から鈍行で12時間。
神戸は三ノ宮に到着。
半日仕事と言われればその通りだが、そこまで長い感じもなく。


夕方になっても満腹感が消えない。
フェリーの売店がどんなものかわからないこともあり、
コンビニで非常食程度の食糧を買い込み、
素敵な神戸の街に後ろ髪ひかれつつ
船のターミナルへ急いだ。



こういう何気ない看板に何気なく書かれた「宮崎」の文字に、
これから進むまだ見ぬ宮崎の景色を想像したりする。


小綺麗なターミナルの横には、
すでにここからの主役が到着していた。

みやざきエキスプレス
フェリーターミナルとお揃いの、赤と白。


ターミナルで発券手続きを行う。
すでに乗船できるらしい。


大きめのフェリーに乗るときの、この長い通路。
陸と海を繋ぐ長い通路
旅の"高揚感"みたいなものを掻き立てられる。


自分の今晩の寝床を確認。
荷物をまとめて、いそいそと探検に出てみる。


船内は、全体的にちょっと懐かしい風合い。


そこら中の掲示物にかたっぱしから興味が行く。



歩き回っていたら、夜になっていた。


フェリーのフリースペースから外を眺める時間。
これまたなんと贅沢なことか。
次のマニアフェスタには「フェリーのフリースペースマニア」で提出したくなるぐらい。



19:10、
神戸港出港



100万ドルに見守られながら、宮崎を目指すのであった。



(2日目に続く……………)



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