ブログ・オブ・タナザキ

空想地図 多奈崎市を作っている人らのブログです

多奈崎のこれまで(中編)

2022-11-30 17:29:40 | 日記
一ヶ月ぶりにこんにちは。前回のつづきっちゃつづきなので、お暇な方はCheck it nowです。



中学〜高校時代に少し作り込んだものを大学に入ってから手直しかけていたら、いよいよ実地での販売の機会に恵まれた多奈崎市の地図。実際に売り場に並べてみると初回は思いのほか好評を頂き、決して少なくない数の方の目に触れるところとなりました。「多奈崎市」の名前は徐々に広がり始め、より広範囲にクオリティの高い地図の作成の機運が高まります。

またこれも前回少し触れましたが、金銭的および時間的余裕の増大に伴って実際のまちを見る時間、実地のインプットも増加していました。「実在しないけどどこかにありそうな都市」を作る上でこの実例の蓄積というのは非常に重要であり、かつ自分自身の知見のアップデートは自身の作品に対する目も徐々に厳しくさせていきます。

地図の「再測量」へ

中学高校時代にベースを作り上げた地図の再検討、描き直しが喫緊の課題となりました。すなわち、当時の自分の経験では違和感がなかった箇所も、今にしてみれば整合性が取れていないとか、都市規模や地形、その他諸環境を鑑みるときわめて不自然であるとか、そういう地図の「アラ」が前に増して顕在化しており、作成を進める上で解消するべき→「描き直し」が直近必要であるという認識にありました。

そんな中で2020年初頭、新型コロナウイルスの爆発的蔓延が生じました。対面のイベントは勿論中止、外出も不要不急なものは控えよとのお達しは、地図の対面販売や実際の街への訪問が難しくなりましたが、同時に書籍や論文といった紙媒体からのインプットに注力するにはいい機会(というか、せざるを得ない)ものになりました。日本全国の県庁所在地について現在の姿となった成因を主に都市計画的見地から探る「県都物語」(西村幸夫 著・有斐閣)や、日本各地の城下町の構成原理を丁寧に図と解説で解き明かした「図説 城下町都市」(佐藤滋・城下町都市研究体 著・鹿島出版会)など、地方の県庁所在地である多奈崎の検証に役立ちそうな書籍をいくつか買い漁り、インプットに務める期間が暫くつづきました。

"第一人者"である地理人氏は例えばこういった試みを行っていたりもしますが、一つの街を作り続ける系の空想地図作者はインプットとアウトプットの繰り返しの中で、こうした「再測量」とも称される描き直しをしたくなったり実際にしてみたりするものです(少なくともわたしの観測範囲においては)。かくいう私も知り合いの有識者を交えた多奈崎の再考証を何度か試したり、そうした再考証と紙媒体のインプットを経た新たな「多奈崎市」の姿を描写しようと試みましたが、実はそちらの方は遅々として筆が進みませんでした。

それ多奈崎じゃなくてもよくないですか


↑大幅に再構成した多奈崎市の図案……河川や城の位置関係を大きく再構成している

上記に示したのは実際に試みた多奈崎市の「再測量」の図案になりますが、結論から言うとこの描き直しは行われませんでした。

「現実にありそうな」地方都市の姿を描き表す、という目的において、実際の土地の事例や有識者の知見を纏め上げ描き直しが試みられましたが、ーーー当時はあまり意識していなかったと思いますがーーーこの大幅な改描とも言える作り直しが全く進まなかったことのひとつに、作品としての「多奈崎市」の同一性が揺らぎかけていたという点があるように思えます。つまり、中心市街地の姿やまちの形を原型を留めないほど大きく変化させたこの地図は、わたしが中学の時分からつくり続けていた「多奈崎市」であるのかどうか、ということであり、ここまでの破壊的とも言える作り直しを経てできたものは「多奈崎市」という作品ではなくても良いのではないか、という問いが私の中でうっすら生じていたのだと思います。

つまり、これまで作成したまちの形をそこまで大きく作り変えることに対して進まない気持ちがありました。これは実際的な問題として、既に「多奈崎」のグッズとして既存の地図を前提としたモノ(フロアガイドや商店街の地図)を作ってしまっており、そうした成果物が改描により無効になることに対する抵抗感もあったと思いますが、それ以上に「多奈崎」としての同一性、何を以て同じ「多奈崎」とするかというところになり、これは即ち空想地図という活動を通じて何をしたいのかに拘ってくるのかとも思っています。

そんな、空想地図を通じて何をしたいのか、という点は徐々にここ最近ようやく見えてきつつあるところでもあり、また微細ながら作品の作成が最近再開しているのですが、止まっていた筆を再び動かした要因にも繋がるところですので、続きに書き記したいと思います。

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ということで新グッズの紹介をば……

多奈崎市で一時展開していたキャッチコピー「タビタビ タナザキ」が印刷されたポリ袋です。実用性のある空想地図グッズ…!


以上、Ranoでした😌


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