"街の紹介"、熊谷編ラストです。
駅前通りを国道まで突き抜けて、国道17号(昔の中山道)を西に向けて歩いてみましょう。かつての「熊谷宿」の中心へ向かいmath
市街地の北を東西に駆け抜け、この辺りの広域交通を捌く中山道こと国道17号。今も昔も人が行き交いますが、郊外に高速道路みたいなバイパスが整備されてるので、"都心のゆとりある街路"然とした余裕があります。
保険会社や金融機関のオフィスが軒を構え、どこか県庁所在地っぽい景色でもあります。(1873〜76年の間は実際に県庁が置かれてたこともあるし・・)
古くの商業中心地?
鎌倉町、本町の界隈はかつての「熊谷宿」から続く商業中心地だったのか、歓楽街チックな駅前の市街地と比べるといささか"商店街"然とした雰囲気が広がります。
南本町商店街
その名の通り、本町の南側一帯に広がる商店街。そこはかとなく"昭和"を感じる雰囲気で、駅からも百貨店からもやや距離がある一帯は特に静けさを感じながらも、地元の人と距離が近く、地元に愛されていそうなお店もちらほらあります。
この商店街(というか商店ゾーン)も東西に帯状に広いです。
ちょっと一服できそうなカフェもあります。丸ポスト。
そうそう、熊谷の「札の辻」があったのも本町です。
かつてテレビもラジオもチラシも新聞も無ェころ、偉い人が法令や決まりを市中の人に広く伝えるため、街中に札(「高札」と呼ばれる)を設置して、そこに書き込むことで周知を図るのが一般的でした。高札は広く市民に情報を伝達するため、市場や街道など人の往来が特に多いところに設置され、札が設置された辻(十字路)が一般的に「札の辻」と呼ばれます……
つまり、"札の辻"と呼ばれる場所が古くからの市街地の中心であることが多い訳ですね
熊谷の"札の辻"はこちらにあります。
かつての賑わいを感じてみてください(??????)
鎌倉町の商店街(名前わからない)
上の地図で「鎌倉町」となっているエリアを南北に突き抜けます。北にデパートの八木橋、南に秩父鉄道の上熊谷駅を結んでいるこの商店街、電柱が地中化され歩道車道が綺麗に舗装されています。この辺りのシンボル的な通りにしたいのでしょうかね。
百貨店に近いこともあってか、この界隈まで来ると逆に営業しているお店が増えます。デパートパワーを感じる。
近くて遠い百貨店とイオン
市街地の北西には大きな百貨店「八木橋」が。
デカい。存在感すごい。建物綺麗。
百貨店の構造不況が言われる昨今、地方都市を訪れるとだいたい周辺のショッピングセンターやファッションビルが人気で百貨店は人がいなくてシーン……な構図が成立していることが多いのですが、そういった雰囲気を想像すると仰天します。
人が多い。
私の見た印象では熊谷市街の商業施設で一番活気がありました。地下の食品売場、中層階のファッション売場や家具売場、上層階のレストラン街、どこに行っても売場に賑わいがあります。
熊谷の最強百貨店として君臨している八木橋、鎌倉町側の出入り口横には温度計が設置されていて、夏になるとテレビのニュースに引っ張りだこになることでも知られています
建物正面や入り口の雰囲気はかなり新しそう。
市街地の割と端にあるので、以前の店舗を潰して移転&増床したのかな?と思いきや、建物自体は1961年築だそうで、'89年に増築した部分が新しなようです。
裏側に回ると、窓や非常階段の様子が古そうで成程となった次第。表通りの国道側に増築したので、こちら側は昔の雰囲気を残しているんですね〜〜〜
ちなみに、その増築はかつての中山道のルートに被さるように行われています。雑に図解すると↓
こんな感じ。
で、1階売場のうち旧中山道に重なる部分には地元の銘菓店を並べ、街道風の雰囲気が演出されていたりします。地域に根ざしているってこういうことですね・・
上の図で北西に飛び出した旧中山道の沿道、こちらは商店街になっています。
本町あたりと比べて更に"地元の商店街"感が増してきます。住宅街もかなり混ざっているし。
車通りがやたら多いんですが、沿道に八木橋の駐車場があってのことです。
なるほど、市街地の端で駐車場を多く整備することでモータリゼーションの進んだ関東平野地域でもバッチリです✌️
"昔"な雰囲気マシマシの建物が現れたりするので侮れません、街道ウォーク。
さて、今まで重なっていた旧中山道の道筋が枝分かれしてデパートに吸い込まれてから、国道17号は中心市街地を忘れてすっかり"郊外"な風景に雰囲気を変貌させ、
イオンの周りはもう純度100%の住宅街。
八木橋のデパートからは歩いて3〜4分とかからないのですが、建物周辺の雰囲気や街並みはかなり異なっていて、市街地の端にいることを実感できるというか何というか。
ちなみにこのイオン、製糸工場の跡地に作られておりまして(なので市街地近くに広い土地)、その工場を所有していたのは片倉工業……かつて富岡製糸場−群馬県富岡市にある製糸場、現在の世界遺産−を運営していた企業です。明治期の日本の産業に想いを馳せましょう。片倉工業の企業博物館もあります。
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宿場由来の"旧市街"エリアを歩き、熊谷の中心市街地を概ね見て回りました。
かつての街道の集まる拠点は現在でも鉄道・道路が集積し、商店があった中心部にはまだ百貨店が活き活きと営業。駅前には現代的なショッピングセンターも立地し、今日でも北埼玉の拠点の一つとして立派に活力を放ち続ける、首都圏と地方圏の狭間にある"マージナル"な街でした。