あの大学時代の、馬鹿なオレ。その5 【 パーティ 】

2023-08-14 03:33:42 | 馬鹿なオレ

宿泊地を

「 サイト地 」と言う。

 

と、言っても、

もちろん、温泉付きの宿泊施設がある訳はなく、

ただのテントが張れる平坦な地面が、あるだけだ。

 

その為に、旧軍隊の、くすんだ、わさび色のテントと、

鉄のポールを担いで来てるわけだから。

 

サイト地に着くと、

1年坊主、奴隷のオレたちは、

体を休む暇なく、6人用のテントが、12分、

4人用が、8分だったと記憶してるが、

この時間内に設営出来ないと、

撤収して、もう一度、やり直しだ。

 

不条理な伝統のルール。

 

テントの設営が終われば、

次は、すぐに、食事の仕度。

 

途中、陽が暮れて、

頭に、小型の懐中電灯、

ヘッドライト「 ヘッ電 」を、装着。

 

落ちてる枯木を拾い、

それがない場合は、生木をナタで切り、

ザックの背に仕込んだベニヤ板で、

あおいで、火を起こす。

 

生木は、燃えないよ、簡単には。

 

奴隷には、休む暇なんか、与えられない。

 

これは、雨の日も、この火起こしの作業はある。

当然、さらに、作業は、困難を極める。

不合理だって言ってんの、狂ってるんだよ。

土砂降りの朝だけは、時間が、貴重なので、

固形燃料で飯盒を炊き、

簡易型コンロ「 EPIガス 」で汁物を調理する。

合理的だね。

おっ、はじめて、合理的という言葉を、見つけた。

 

で、夕食となるんだが、

テントが、ふた張りあっても、

ひとつのテントの中で、

登山しているメンバー「 パーティ 」全員で食べる。

 

当然、「パーティ」とは、

楽しい会ではなく、

登山用語で、仲間(意味不明な定義!?)、一行

この「一行」を、オレは選択したい。

 

パーティの構成、

神様が、おふた柱(はしら)神様、一神教ではない。

貴族が、3貴族さま、

平民が、3人、

奴隷が、たったの2奴隷で、

奴らのテントと、食糧を運び、設営して、

調理して、提供をする。

合計、10名のパーティだ。

 

気の重い、ザックの重い、楽しめない、パーティだ。

 

神様、貴族は、もうひとつの自分たち用のテントで、

喰ってくれていいんだけど、

ひとつのテントの中に、全員で集まってって、

一行は集まり、狭いンだよ。

 

1年坊主、奴隷は、当然、テントから、はみ出す訳だ。

 

寒い時期や、雨の日は、

テントの入口、ギリギリのところで、

体を小さく丸めての食事となる。


1日、働き続けて疲れた腰は、急に冷え、

じんじんと響いて来る痛みを覚える。

 

腰の痛みを、全員の前で、訴えでても、

みんな同じだよ、って、だけ、を、

貴族さま が、おっしゃるだけ、だ。

こいつら、やべぇ、ホンモノか、狂ってる。

狂気の中の、正気なのか、

正気の中の、狂気なのか、

危険な遊戯の中で、崩壊していく。

 

 


そして、

この道のりは、つづく、

 

 

初出 17/09/06 06:42 再掲載 一部改訂



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