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司法書士Aの徒然日誌

債務整理や登記等の業務上の雑感・情報から日常的なことまで、司法書士Aの日常を徒然なるままに。東京都杉並区発信です。

過払金返還請求訴訟の集団提訴

2007-05-15 21:00:28 | 債務整理Topics
灰色金利分22億円、1803人が返還請求
5月15日13時41分配信 読売新聞

4回目になった返還請求訴訟の返還請求合計額は約141億5485万円ですって。
ものすごい額ですね。
クレジット・サラ金業者は、グレーゾーンという法律上の曖昧な部分でこれだけ儲けを得ているということです。
もちろん、まだまだ明るみになっていない分もたくさんあるでしょう。

利益を追求した過剰な融資の結果、首が回らなくなり、厳しい取立てにあい、自殺に追い込まれてしまった方もいます。
社会的責任は大きなものです。
ただ、すべてがクレジット・サラ金業者の責任とは思いません。
グレーゾーンは法律の曖昧な部分です。
歴史的に判例や解釈が変遷してはいるものの、法律自体の根本的な改正はこれまでなかったのが事実です。
世の中全体の責任とも言えるのではないかと、私は思います。

しかしです。
その道のプロたる貸金業者が、曖昧な部分で曖昧な営業をすることはやはり許せませんよね。
一方で苦しんでいる人たちもいるのに。


曖昧な部分で余計に利息を払いすぎている方
もしかしたら自分もそうなんじゃないかと思う方
厳しい取立てに悩んでいる方

司法書士として、そんな方の一人でも多くの背中を押せたらなと改めて思いました。

グレーゾーン撤廃の効果

2007-05-12 13:48:16 | 債務整理Topics
一昨日のニュースです。
<アコム>貸出金利上限を年18%に引き下げ 6月中旬から

3年後までに貸金業法が改正され、金利のグレーゾーンが法律上なくなります。
これに先行したアコムさんの措置です。

グレーゾーンがなくなる法律改正が行われることで、どんな効果をもたらすことになるのか。
今日はそんなことを考えてみたいと思います。


まず、登録していない違法な業者(ヤミ金)は現状でもたくさんありますが、法律改正により一時的にこれがさらに増えていってしまう可能性があると思います。
グレーゾーンが法律上撤廃されたって、お金を借りたいというニーズが少なくなるわけではありません。
しかし、大手の貸金業者が利息制限法の下で業務を行うようになると、貸し出しの際の与信が今よりも厳しいものになります。それまで取っていた利息が少なくなるのですから、運営上当然です。
すると、正当な業者で借り入れることができない債務者が、ヤミ金に手を出してしまう可能性が高まってしまいます。

グレーゾーンの撤廃は、お金を貸す側に強いられる法律の改正と言えるかもしれません。
だだし、これは正当な改正。曖昧であった法律上の金利を一本化するものです。
債務整理を行う債務者が増え、これによる返還過払金が膨大化したことに伴って大手貸金業者が赤字決算を相次いで発表していますが、その道のプロたる者が曖昧であった部分で業を営んでいたことは事実。貸金業を業として営む以上、甘受すべきは当然のことです。
アコムのように早く措置を取ったことは、法律上正当な金利で健全な運営をいち早く果たすためのよい措置であると思います。
流通上、貸金業界が経済に与える影響は大きいですし、改正法律上での健全な運営は、上述したヤミ金をなくしていくためにも早急な対応が望まれるところです。


ヤミ金問題等、法律改正により一時的に社会・経済が混乱する結果をもたらす可能性もありますが、正当な登録貸金業者の安定した運営により、将来的には違法な業者を減らしていく効果を望めます。
また、これまでテレビCM等で大々的な広告を打ち出し、過剰なまでに融資を実行していた方針が転換されることで、借りる側の意識もよい方向へ変わっていく効果を期待することもできます。
グレーゾーン撤廃という法律改正により、多重債務に陥る債務者を少なからずも減らしていく効果を期待することができそうですね。


期待が実現されることを祈るばかりです。