
1930年代のライターにDunhillのTallboyというモデルがあります。
現代のローラガスに繋がっていくモデルの前身で,なかなかの人気アイテムです。
本来女性用の細身のライターだったようですが,男性に支持されたようですので,DunhillのUnique bijouと同じような経緯です。
さて,このモデルが人気なのはCartierとのダブルネームであることがあげられます。もともとダンヒル(英国)はリフトアーム式のライター(Unique)を製造していてトップブランドとなりました。
一方30年代のフランスライターは着火部をエンクローズしてしまうというのが流行で,これが英国でも爆発的にヒットしたようです。フランス式デザインを良しとしなかったダンヒル社は流れに乗り遅れてしまいました。
という背景のなか,ドーバー海峡を越えてカルティエに頭を下げに行ったわけです。
「オレにもこのライター作らせてくれ!」
正式にライセンスを結んで作られたのがDunhillのTallboyというわけです。上のイラストはTallboyがカルティエデザインであることの証明で,1932/5/14にデザイン特許を申請していますね。
では,画像をご覧いただきましょう(フルハルターみたいだな(笑))。

ダンヒルのヴィンテージライターは殆どがバーレイカットなのですが,このモデルが気に入ったのは彫りの模様がちょっと違っているところです。じっくり眺められちゃうと,銀貼りのハゲチョロが見えてしまうのがちょっと悲しかったりもしますが(笑)使い込んだ形跡ですからOKでしょう。サイズは17mm×64mm×12mmで,フリントはダンヒルの青(細い方)を使用します。
さて,それでは刻印の画像をご覧下さい。

いかがでしょうか?
DUNHILL/MADE IN ENGLAND/CARTIER-LICENCE
の刻印がご覧いただけるでしょうか?
真ん中の給油口のHARRODS LTD.が見えますか?おそらくハロッズ社がダンヒルに特注で作らせたノベルティーなのだろうと思います。彫りの模様が手の込んだモノになっているのも頷けます。
実はTallboyはもう一つ所有していたのですが,兄の奥さんにプレゼントしちゃいました。そっちは彫りのない鏡面仕上げの超美品でしたが,イニシャルがTALと彫られていたのが残念でした。傷も歪みもない素晴らしいコンディションで,実は手放すのが勿体なかったりなんかしました(笑)。うちの兄は背高(tall)だし,モデルの名前がTallboyだし,刻印はTALだし,彼らの処へ行くのが順当だったかなと。
大切にしてください。つーか,禁煙しても手放したりしたらイヤだぞ(笑)。