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深夜鈍行乗り過ごし

クオリアルによる不定期更新イラストブログ

マイク&グレッグ

2006-06-12 02:52:06 | イラスト(版権)



かのSFとミステリーの巨匠、Isaac Asimov(アイザック・アシモフ)の著作である「I,ROBOT」(邦題「われはロボット」)の登場人物、グレゴリイ・パウエルとマイケル・ドノヴァン。のつもり。
USロボット&機械人間株式会社の社員として数本の短編に登場し、安全なはずのロボットにいつも死にそうな目にあわされている二人組です。

彼らと、彼らの登場するストーリー、大好きなんですよ。
好きすぎて、ハヤカワ文庫の決定版も、東京創元社の旧出版版も、もちろん続編のロボットの時代も読み、それでは物足りず原文も読破し、児童向けに改変訳された「うそつきロボット」まで読みましたですよ!
あ、角川版もあるのか、今度読んでみよう。

ネットで感想を見て回るかぎり、皆さん、彼らの出てくるストーリー自体はなかなか好印象なようですが、特に彼らについて言及している方はいないようで、ちょっと寂しい・・・。
「敵海」(神林長平・作「敵は海賊」シリーズ)にファンサイトがあるのだから(あった、と言った方が近いですが・・・)、あっても良い様なもんではないかと思ってしまうのですが。いやまあ無くて当たり前だとは解っているのですが・・・。
SF界におけるこの作品の位置であるとか、人間的性質と示唆を含んだロボットの考察であるとか、そういった見方が一般的ですよね。
私もロボットそれ自体の描き方も大変興味深いと思いますが。
なにしろ半世紀も前に書かれたというのだから驚異的。
だからこそ「あれ?」って記述も存在しますけれども。言葉を発するよりも人間の言葉を理解するロボットのほうが先に開発されたりだとか、宇宙航海中の食事が宇宙用携帯食でなく豆とミルクであったり、コンピュータにデータを紙で(穿孔テープかも)読み込ませたりだとか・・・。そういう変にアナログな世界観も大好きなのですがね!

話戻しまして、
作者が「今までで最も成功したキャラクター」(アシモフ初期作品集「ガニメデのクリスマス」より)と言っているだけあって、マイクとグレッグは大変良くできた人物像だと思います。「成功」という言葉が何に対してなのか今一判然としませんが、おそらく作者も満足に書くことができ、読者の評判も芳しかったということなのでしょう。
”初めて銀河系の外に達した人間”という花を彼らに持たせた点からも、アシモフ氏もなかなかお気に入りだったのではないかと。(なんたって作者自身惚れてしまっているキャルビン女史にはかなわないかもしれませんけども)
口喧嘩の耐えない凸凹コンビ、というのは書く側も読む側も親しみやすく、ノって進められるものですしね。

二人は「太陽をめぐるリング」(アシモフ初期作品集「カリストの脅威」収録)のジミーとロイの改良版とされていますが、ジミー&ロイは職業がパイロットということもあり、マイク&グレッグと、イメージはなかなかに違います。
マイクとグレッグが相棒の関係なのに対して、明らかにライバル同士ですし。
死にそうな目に合うことには変わりませんが(笑
しかし何ともマヌケというか初々しいというか・・・。あれでエースパイロットでいいんかいな(苦笑

上記のイラストより、もっとコメディー寄りのキャラクターを想像してらっしゃる方も多いかもしれませんが、まあアメリカンヒーロー的な部分もありますので、私のイメージとしてはこんなもんで。
「うそつきロボット」の挿絵だと、グレッグはヒゲもじゃ髪もじゃで、マイクに至ってはそばかすでもありそうなくりくり目玉の少年でしたが!(笑
グレッグはともかく、それじゃ指毛の生えてるようなキャラクターじゃないだろマイク!!
この本は文章の改変が多く、それも必要性の無い改変が多く、「われはロボット決定版」と同じ小尾芙佐が訳をしているのに、とても疑問の残る一冊です。

ちなみに服装についての記述が無いので、つなぎを着せています。
私の趣味で。
そういえば「I, Robot: The Illustrated Screenplay」という、原作を忠実に映像化しようとして結局かなわなかった幻の映画の脚本が存在するのですが、それではどこまでどのように描かれているのだろうか・・・。やっぱり購入してみるべきか・・・。

しかし映画化は向かないのではないかと私は思うのですが。
45分の連続ドラマだとか30分のアニメだとかが丁度良いのではないかと、どうでしょう。どっかやってくれないかな。

《ちなみに、ウィル・スミス主演の映画「I,ROBOT」はアシモフの小説から人物名とロボット3原則、いくつかのアイデアを引用しているだけで、内容は全くと言ってよいほどの別物です。要注意。》