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戦争プロパガンダ

2021-09-23 05:44:26 | 日記

 

 

 

📖『戦争プロパガンダ 10の法則 』

アンヌモレリ 著

永田千奈 訳

 

 

感想

 

①各章のタイトルが、戦争へ誘導するストーリーになっている。

10章の最後のくだりが、我々に問題を投げかけている。

 

②インターネットで情報が溢れる現在,プロパガンダはより一層巧妙になっている。少し足を止めて,じっくり考えたい。

 

③近代以降、国家は戦争をするのに国民を説得し同意を得る必要がある。

戦争は経済的・地政学的利益のために行われるが、国民の理解を得るのは難しい。そこでプロパガンダや言論統制(国家が直接関与するものでも国民間で自主的に行われるものでも)が正当化される。

 

1. われわれは戦争をしたくはない

2. しかし敵側が一方的に戦争を望んだ

3. 敵の指導者は悪魔のような人間だ

4. われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う

5. われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる

6. 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている

7. われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大

8. 芸術家や知識人も正義の戦いを支持している

9. われわれの大義は神聖なものである

10. この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である

 

④書かれていることは「それはそうだろう」「当たり前じゃん!」ということがほとんどなのだが、それにもかかわらず被支配層が騙され続けるのはいったいなぜなのか。この疑問に対する処方箋は書かれていないが、本書は「いま騙されている自分」に気づく契機(チャンス)となるかもしれない。

 

⑤「戦争はいつも正義の御旗の下(みはたのもと)で行われる」

こんなことは当たり前になっています。が,しかし,その正義がどのような形で作られていくのか,それを解説したのが本書です。

 「われわれは戦争をしたくない」という前提があったはずなのに,最後には「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」という社会にまで落ち込んで行ってしまう。ここまで来てしまうと,わが国の戦争に反対することはもちろん,疑問を呈しただけでも「非国民」「敵のスパイ」扱いされてしまいます。

 本書では,主に第1次世界大戦と第2次世界大戦で繰り広げられた各国(敵味方が同じような事を言っている)のプロパガンダについて取り上げていますが,それは決して昔の話ではありません。そのことを,コソボ紛争を取り上げて示してくれています。

そう,人類はいつも同じ間違いを起こしているのです。そして,9.11以後もそれがくり返されていることを本書の前書きで指摘しています。

 日本は残虐な行為をしたとばかり言えない。戦争って結局そういうもんなんだということも分かります。自分のやったことは小さく見せて,人のやったことは大きく見せる…それだけのことです。

 

 🌕著者は,ではわれわれがプロパガンダに巻き込まれないためにどうすればいいのか,その最後の策も示してくれています。

 

 多くの場合,人々は敵陣に懐疑主義があるのを喜び,自分の陣営ではそれを歓迎しない。だが,超批判主義を通せばーたとえ,否定主義のような嘆かわしい愚直さに行き着こうがー良心を殺すこともない。行きすぎた懐疑主義が危険であるとて,盲目的な信頼に比べれば,悲劇的な結果につながる可能性は低いと私は考える。メディアが日常的にわれわれを取り囲み,ひとたび国際紛争や,イデオロギーの対立,社会的な対立が起こると,闘いに賛同させようと家庭のなかまで迫ってくる。こうした毒に対しては,とりあえず何もかも疑ってみるのが一番だろう。(188ページ)

 

 今の日本の状況を見ても,そうとうなプロパガンダがはびこっています。

 

・北朝鮮の指導者が悪い。

・韓国,中国は,民主的な国ではない。

・朝日新聞は,亡国的である。

・自衛隊を認めない日本人はあり得ない。

 

 まだ,何も始まっていないのに,この調子です。

 あれ,もしかしたら,すでに始まっているのかもしれません。

 

⑥この本をぜひ読んでほしい。目次だけでも読んでほしい。ごく普通の人が巧妙なプロパガンダ(宣伝)でしまいそうなことばかりである。

 

俺の中には政治家ってのは、悪いヤツやという思い込みがあって、マスコミもクズやと思ってる部分があって、人間を何かのグループ(人種・民族・血液型)で括って総括することに不信を覚えていて…

 

そういうの全部、当てはまるヤツやん。政治家が文化人だのマスコミだのを使って、自分たちがいかに正義かいかに正しい戦争をしてるかをプロパガンダするその10法則って、今でもそこここに転がってるやん。

 

トランプが大統領って…って思うやろ?でも彼はきちんと選挙で選ばれてるし、熱狂的な支持者もおるねんで。そしてそれは、ヒトラーもムッソリーニもそうやってんで。

 

とある人が「太平洋戦争は侵略戦争だと思いますか?防衛戦争だと思いますか?」と訊いてきたことがあったけど…。侵略であれ、防衛であれ、戦争にエエ戦争などなく、政治家も国民も戦争にならんように周囲とコミュニケーションとっていくことこそ正義なんじゃないかなと思った次第。

 

俺は意志が弱い方なんで、もう1回自分に言い聞かしとく「どんな方法であれ戦争はあかんし、正義に鉄槌などない」

posted by ネタバレ

2002年刊。

 

目次に目を通すだけでも十分に意義深い。

 

① 当方の不戦の意思に対して、敵が一方的に戦争を企図。

② 敵の指導者は悪魔。

③ 崇高な使命のために戦う。

④ 当方による過失誤攻撃があることは否定しないが、敵はわざと残虐行為に及ぶ。

⑤ 敵は卑劣な兵器や戦略を使用。

⑥ 自国の被害は小さく、敵の損害は甚大。

⑦ 芸術家や知識人も自国の正義の戦いを支持。

⑧ 自国の大義・正義は神聖で、この正義に疑問を提起する者は裏切り者。

 

 これらに、国や為政者から出されるメッセージやマスコミ情報を当てはめれば、色々見えてくることもあるはず。

posted by ネタバレ

戦争を行う国の指導者は、

 

 
戦争を行う国の指導者は、自分方も相手方も同じ言葉を用いる。「大本営発表」的な戦争プロパガンダは、第二次世界大戦時の日本軍の特徴ではなく、あらゆる時代あらゆる国で普遍的に行われてきたことが理解できる。だから旧日本軍が悪くなかったということではないし、むしろ今でも行われていることを認識する必要があることがポイント。戦争を行っている国・戦争に向かおうとする国の政治権力が発信してマスメディアが広げている情報について、疑い慎重に判断することが大事であることを改めて気付かせる良書でした。

posted by ネタバレ

「過去の騙された経験から、より厳しい批判精神が産まれることを願う。それが、われわれに残された希望だ。人々にマスメディアの言論を解釈する力を与えること。この本が目指しているのも、そこなのである」

 

本書はポンソンビーの理論を著者が肉付けしたものがメインで、決して読んでいて面白いものではない。しかし、こういったプロパガンダが存在することは知っておくべきだろう。

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アーサー・ポンソンビー卿が1928年もしくは1929年に発表した内容を、現代の文脈(特に、NATO軍によるコソヴォ空爆)に置き、法則が時代を超えて有効であることを示した良書。モレリ氏のオリジナルな論文というより、ポンソンビー卿の再発見に功績がある。日本語版の発売は2002年3月、折しも9・11事件からアフガニスタン攻撃、イラク侵攻へと推移する最中のこと。筆致は中立的で、コソヴォ空爆のほか、第1次・第2次世界大戦時の新聞記事や演説原稿などからの引用が続く。それだけ証拠を集めるのが容易なのに、どうしてやすやすと人は戦争プロパガンダに乗せられてしまうのか?

戦争プロパガンダ

高校の頃に1,2番目に影響というか衝撃を受けた本。大義名分を掲げて戦争は始まる。けど殺し合いは悲しいだけ。残るのは憎悪と後悔だけ。わかってるはずなのに戦争は国民に支持されて始まる。その始まるプロセスがよく書かれてる。

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テレビの影響力。

自分は正しい・自分は悪くないと思い込みたい人間の弱さ。

その辺が怖いのかしら。

多分僕よりもっと素直な人間が読むべき本だな、これは。

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プロパガンダの手法を理解しておくために一度は読んでおいて損は無い本だと思います。手法を理解しておくと、批判するための切り口を見やすくしてくれます。

一度読んでもだんだんとその理解は薄れてくるので、たまに手に取り直してめくってみると理解がフラッシュされます。

 

ただ、これらのプロパガンダ手法が適用されていると分かったメッセージに対して、それに対して自分の意見と立場を貫けるかとか、どう対処すれば自分への影響を防げるかという対処までは書かれていません。

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戦争になると、あらゆる手を使って国民を戦争へ向かうようにとしむける。そんな10の宣伝文句を使って、戦争と宣伝について考えてみようという一冊。

 

まずは戦争開始時の常套句。

「われわれは戦争をしたくない」「「しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ」

 

敵は悪く、自分たちはいいことをしているというイメージを持たせる言葉。

「敵の指導者は悪魔のような男だ」「我々は偉大な使命のために戦う」

 

イラク戦争を思いだすような言葉。

「我々も誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」「敵は卑劣な平気や戦略を用いている:

 

最も印象的だったのがこの言葉。

「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」

日本人はこんな言葉に弱そうだなあ。

どういうことかと言うと、プロパガンダ(人心操作のための宣伝や広告)は人の心を動かすことが基本。つまり感動が必要だ。そのために感動を呼び起こすことが得意な知識人や芸術家に頼る。ということらしい。

 

多少言い回しは違うものの、戦争時にはこういった言葉で国民を戦争へと向かわせるだろう。戦争の時のような時こそ陥りやすいこのワナに引っかからないように一読を。

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戦争に関する神学的著作は枚挙にいとまがないが、神学(規範)だけでく社会学(現状分析)も同時に必要であろう。その意味で、この本は国家の持つ性格を知るのに手ごろである。「敵の指導者は悪魔のような人間だ」、「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」、「われわれの正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」などなど、昨今の戦争でもたくさん耳にしてきた言葉が並ぶ。あらためて、国家という機構それ自体に備わっている罪性を確認させられる。

戦争プロパガンダ

これまでに戦争当事国がメディアと結託して流した「嘘」を分析、歴史のなかでくり返されてきた情報操作の手口、正義が捏造される過程を浮き彫りにする。ブリュッセル大学で教鞭をとる気鋭の歴史学者が読み解く、戦争プロパガンダの真実。

中国の歴史教科書と照らし合わせると、そのまんまですね……。