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特別対談

2021-09-07 13:09:11 | 日記

 

特別対談

習●平の「言論弾圧」と「愚民化政策」

中●はなぜ民主化できないのか❔凶暴化する中●共産党独裁メカニズムを徹底的に分析する。

ラージャオ    漫画家

1973年、新疆ウイグル自治区生まれ。社会風刺漫画家。中●政府の迫害を受け、2014年から日本に滞在中。

 

阿古智子   東京大学大学院    総合文化研究科准教授。

1971年、大阪府生まれ。大阪外国語大学外国語学部中国語学科卒。香港大学香港大学教育学系博士取得。現代中●の社会変動が主な研究テーマ。著書に📖『貧者を喰らう国-中●格差社会からの警告【増補新版】』(新潮選書)。

 

【阿古】 日本での漫画家デビュー、おめでとうございます。「変態ラージャオ」の作品には以前からネットで注目していましたが、ラージャオさん本人に初めて会ったのは2014年の秋でしたね。その政治風刺レベルの高さから、かなり高齢の人だろうと思っていたのですが、意外に若くて驚きました(笑)。

【🌶️】東京大学の先生にそんな風に思ってもらえていたなんて光栄です。阿古先生が『貧者を喰う国』という著書のなかで、中●のネット規制や言論弾圧の状況を詳しく分析していることを知り、とても感激しました。ぜひ1人でも多くの日本人に、いま中●で進行している恐ろしい事態を伝えてほしいと思います。

【阿古】でも日本の中●研究者の間では、中●政府が気に入らないことを書くと、入国を拒否されるのではと懸念が広がっています。私も悩みながら書いています。

(👨そうなんだ…。)

ところで、🌶️さんの漫画はこれまで中●で出版されたことはありますか❔

【🌶️】本の挿し絵で使われたことはありますが、私の作品集としてはありません。私の漫画は中●では"過激"とされる内容なので、出版社に作品を見せても、まず相手は言葉を失い(👩絶句)、次に「これは出せない」と言われるのがオチです。

【阿古】台湾や香港ではどうですか❔(👨香港は中●に陥落した。)

【🌶️】大陸の政治事情に精通していない人だと、ちょっとわかりにくいかもしれません。実際日本でも作品集を出そうとあちこちに打診してみたのですが、「日本人読者にはわかりにくい」と断られて、結局、❇️新潮社さんで日本人向けに新作を描き下ろすことになりました。

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【阿古】日本人に中●の実情を知ってもらう良い機会(👧チャンス❗)だと思います。

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でも、本当は中●の人に読んでもらえるのが一番いいのですが。

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(中●人が)政治や社会について、広い視野を得たり、深く考えたりするきっかけになるはずなのに……

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中●で(本書を)出版できない現状はとても残念です。

 

 

中●の言論弾圧の状況

 

【🌶️】先進国では、暴力や裸などを、何を描いてはいけないかが、法律によって明示されています。

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でも、中●にはそういう明確な基準がありません。地方政治を批判することは必ずしも不可能ではありませんが、その批判が地方政府の"存在意義"に触れるとアウトになる。

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国家レベルの指導者の批判はより基準が厳しくなりますが、

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それも法律で定められているわけではない。

では、たとえば毛●東はどうか。漫画に描きましたが、彼を「かわいく」描くことも許されないでしょう。中●では公の場で毛●東を語ること自体が大きな政治論争に発展しかねないリスクがあります。

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習●平は文革(文化大革命)時代も含めて毛●東を批判してはならないと言っており、以前にもまして毛●東批判は難しくなっています。

【阿古】ネット言論への締め付けも相当に厳しくなっているようですね。

【🌶️】ネットで政治的に"敏感"な発言を続けていると、警察がやって来ます。

漫画でも描いたように、私も何度も経験しています。

さらに最近は、敏感発言を転載しただけでも警察に掴まるようになりました。たとえば、先日もネット上の知り合いから「捕まった」という報告があり、話を聞くと私が描いた習●平を風刺した作品を転載したからだと言います。この人は数時間拘束されただけで釈放されたからまだ良かったのですが、やはり私の同じ作品を転載した人は5日間も拘束されました。たまに(🌶️さんに)「そろそろ中●に戻ってきたらどうだ。(もう中●警察のほうは)問題ないと思うよ」と言う友人もいますが、転載しただけで捕まるのに、実際の作者が捕まらないわけがない。

【阿古】🌶️さんは日本に留(とど)まらざるをえない状況ですが、

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他にもたくさんの知識人がアメリカなどに出国したまま、中●に戻れなくなるケースが相次いでいます。(👩私がしる人では🎥『さらば、わが愛-覇王別姫-』の映画監督のチェン・カイコー氏かな❔)習●平政権になってから、ますます言論規制が強まったように感じます。

【🌶️】東京にいる中●人留学生が実家に電話をして、中●共産党の悪口を言ったら、翌日警察が実家に来たという話もあります。

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今や長距離電話の会話記録から"敏感単語"をコンピューターで洗い流し、発言者を特定することまで可能なのです。

このような規制強化の背景には習●平の方針もあるかと思いますが、一方で取り締まる側が自分たちの予算や人員を増やしたいという思惑も働いていると思います。問題が多いほど、違反者を多く捕まえるほど彼らは得をするわけで、問題のある人物が多くいるように見せかけて予算を増やすわけです。治安維持の予算はすでに国防費を超えており、まさに中●の「獅子身中の虫」になっていると思います。

【阿古】そのような規制に莫大な費用を掛けられるのも、中●が経済発展してきたからです。少し前まで中●は8%の成長を維持しなければならないと言っていましたが、もし、成長が鈍化したら、さまざまな問題が表面化してくるでしょう。その時に、これだけの治安維持費用を捻出できるか……❔

【🌶️】まさに↙️

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➡️そこが習政権のアキレス腱です。中●人は「たとえ言論の自由などなくても、飯が食えたらいいではないか」という発想が根強く、経済発展をもたらした中●共産党に幻想を抱く庶民も多い。

でも、もし経済面の不安を多くの人が持つようになったら、中●共産党への批判が一気に高まるかもしれません。

❔❔❔❔❔❔❔❔❔❔❔❔❔❔

【阿古】なぜ中●の多くの人々は、言論の自由を求めないのでしょうか❔

【🌶️】私の親世代からそのように強いられてきたのです。文化大革命などの酷(ひど)い政治運動が続いて、

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とにかくその日が安心して暮らせればいい、となってしまった‼️私のように自由を求める人もいますが、まだ少数派です。

 

 

習●平の権力の源泉

 

【阿古】私は最近、内モンゴルの漢族の農村に行きました。15年前にも訪れたことのある村で、📖『貧者を喰らう国』にも詳しく書きましたが、当時は共産党の腐敗・汚職に対する村民の不満が強かった。ところが今回行くと、訪ねた家で習●平夫妻の大きな写真が飾ってあり、習●平は毛●東に匹敵する人物であるという声も耳にしました。もともと貧農地域では毛●東崇拝が強かったのですが、いつの間にか習●平も同じくらい高い評価を獲得していたのです。

【🌶️】習●平の写真が売れているという噂は聞いていましたが……。むしろ政権に妨げられて来た、貧農層に、習●平崇拝が起きているというのは怖いですね。

【阿古】彼らが習●平を好むのは、腐敗・汚職の取り締まりを進めているからです。もちろん腐敗・汚職は良くないでしょうが、ろくに裁判にもかけずに罪を着せていく、非常に危ういやり方ですね。

【🌶️】お金のある人はいろんな情報が入ってくるから、党のやり方はおかしいと思えるけれども、貧しい人は情報が少ないから"悪を退治する"習●平に拍手喝采してしまうのかもしれません。

習●平は、中●建国当時の8大元老・習●勲の息子に当たりますが、「あかいろ第二世代」の人たちは中●を自分の「家」のように感じ、自分たち「家族」以外の者にこの国を任せてはいけないと思っている。もし後継者が見当たらなければ、習●平の任期を延ばすこともありえます。(👨すでに習●平は自分自身で、自分の任期を『終身皇帝』に延ばしましたね❗👩自分で自分の任期を独断で延ばすなんてアホらしい❗だから一党独裁なんてウソのかたまりよ。)腐敗撲滅でこれだけ政敵を作っていますから、引退後に復讐されないためにも延命策を講じるかもしれません。

【阿古】それにしても、なぜ濃民たちは、あれほど彼を誉めるのでしょうか❔

【🌶️】現在の共産党指導部のなかでは、血筋的にも能力的にも最も指導者にふさわしい要件を満たしていることは間違いない。もう1つは、

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世論操作の巧みさですね。

【阿古】たしかにインターネットやテレビなどメディアの使い方は秀(ひい)でていますね。🌶️さんらリベラル派のネット活動を徹底的に弾圧する一方で、5毛党(中●共産党に有利な意見をネットに書き込むアルバイト。一件あたりの報酬が5毛(約10円)であることから名づけられた)を使ったり、ネットを通じた宣伝活動を積極的に行って、共産党の印象を良くしようとしています。

【🌶️】今は5毛党どころか、無報酬のネットボランティアがたくさんいます。特に大学生が中心になり、党に有利となる書き込みを呼びかけている。

【阿古】なぜ大学生たちはそんなことをするのですか❔

【🌶️】もちろん好きでやっている学生もいると思いますが、大学の党組織がフォーマットを配って、「あいつを攻撃しろ」などと誘導していたりする。学生の方も党組織から高評価を得ておくと就職に有利になると思って、積極的にやるわけです。 

 

 

遠い民主化への道

 

【阿古】大学生といえば、東大に留学してくるような学生でも、天安門事件の詳しい経緯を知っている子は少ないですね。当時のニュース映像を見せると、「家でじっくり見たいから、ビデオを貸して欲しい」と申し出る学生もいます。

【🌶️】もちろん

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学校では何も教わりません。ネット上でも天安門事件関係の情報は根こそぎ削除されていますから、普通に生活している限り、知るよしもありません。私はたまたま政治に関心があったので、こっそり事件の情報を収集して知っていましたが、私の周囲の人たちに聞いても本当に誰も知らない。

【阿古】私はよく中●の農村に調査に行きますが、アメリカや日本の悪口を言う人などは、たとえ天安門事件の写真を見せても、「これは外国の陰謀だ」などと言って信じてもらえないのではないかと思います。

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【🌶️】共産党にとってみれば、人民が無知の方が統治しやすいのです。中●学生とネット上でやりとりしても、あまりに何も知らないので、何だかこっちが恥ずかしい気持ちになってしまいます。

私のブログには5毛党の人や毛●東主義者たちからの罵倒のコメントが大量に寄せられます。この人たちは言葉だけではなく、実際に面と向かっても暴力的な傾向があります。彼らは異なる意見を頑として認めようとしません。中●、共産党だけでなく、庶民の間でも互いに他人の意見を認めず、暴力的になっています。

【阿古】いま中●の採っている「愚民化政策」は非常に危ういと思います。

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いざという時、国民に知識や思考力がないと、大きな悲劇を招く恐れがある。もっとも日本のような民主主義でも、有権者の多くが人気取りの政治家に騙(だま)されてしまったりなど、同じような危険はあるかもしれませんが。

【🌶️】2014年、

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日本で初めて選挙の演説を見て、「ああ、これが本当の選挙なんだ」と涙が出てきました。でも、一緒にいた日本人には私の興奮している理由がよくわからなかったようです。日本に来て、

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多くの日本人は政治に関心がないことがよくわかりました。日本は民主主義の歴史が長いので、その素晴らしさを感じる感覚が麻痺しているのではないかと。

中●共産党もそんなに党に自信を持っているなら、堂々と普通選挙をやったらいいのにと思います。でも漫画でも描いたように、共産党は自信がないから普通選挙はやらないのです。

【阿古】実は中●の憲法でも、

結社の自由、

言論の自由、

そして民主主義が謳(うた)われています。しかし、その一方ですべては中●共産党の指導の下で行わなければならないとされています。 ▼▼▼そもそも司法の独立がなく、▼▼▼共産党が憲法より上位にある体制なので、民主主義ではありえません。

上    中●共産党

下         憲法

 

 

中●の行方、日本がなすべきこと 

 

【🌶️】私は中●の将来に対しては悲観的です。一部の楽観的な人はインターネットが中●を変えるなどと言いますが、中●共産党のネット対策は巧みですし、実際のネット言論を見ていると、

現実を知らず、

中●共産党擁護の投稿を買って出る人が大勢います。共産党政権はしばらく続くでしょうし、現在のように民衆のなかでも毛●東主義者とリベラル派に分裂している状況では、仮に共産党政権が倒れても、民主主義が実現するどころか、世の中が乱れて結局ロシアのプーチンのような独裁政権が誕生するように思います。

中●は70年近くも共産党政権が続いていますし、それまでの二千年間も王朝支配の下、民衆は奴隷状態に慣れてきたので、日本やアメリカの人が考えるほど、簡単に民主化には進めません。もし楽観的な見方をするなら、台湾を一つのモデルにすることはできるかもしれません。でも台湾ですら、今の民主主義になるまで、それこそ何十年もかかりましたし……。

【阿古】中●政府は、よく「我々は小さな台湾とは違う。中●のような大きな国は今のやり方がいいのだ」と言いますね。

【🌶️】台湾と異なる面があるのは確かです。中●はより複雑です。中●の場合、独裁の問題とともに、民族の問題があります。つまり、漢民族の大漢民族主義が浸透していて、民主化を唱える人のなかにも、ウイグルやチベットの問題になった途端に、中●共産党と同じ立場になる人がいます。その一方で、各地域が独特の文化や習慣を持っていて、互いに認め合わない傾向がある。それらを考慮すると、本来はアメリカのように連邦制にして各地の独立性を高めるやり方がよいと思いますが、中●の伝統的な天下国家観念だと、あくまで統一が大前提という発想になってしまいます。私の読者のなかでも、中●共産党批判は支持してくれるのに、「中●の分裂を容認するのは我慢できない」と批判してくる人もいます。

 

【阿古】日本は中●にどう向かい合うべきだと思いますか❔

【🌶️】1989年の天安門事件の後、日本は他国に先駆けて中●共産党と友好的な関係に戻りました。それで結局アメリカも、経済成長が平和的な民主化を生み出すだろうと中●共産党に歩み寄りました。どの国も中●経済に期待してすり寄るわけですが、このようなやり方では中●共産党はいつまで経っても変わらないと思います。

日中友好と言いますが、それは中●の誰との友好なのかを考えてほしい。これまで日本の日中友好は中●政府を相手にしたものにすぎませんでした。もっと中●の人権問題に関心を持ってほしいです。

各【阿古】たしかに、これまでの日中友好の相手は、あくまでも中●共産党であり、民間交流と言っても、結局は共産党傘下のものに偏(かたよ)っていたかもしれません。

【🌶️】日本政府には、もっと中●共産党に厳しく接してほしい。たとえば、中●政府は「日本は歴史を正しく認識しないといけない」と言いますが、だとすれば中●はどうなのか❔日本では戦争問題について公開討論できますが、中●では文化大革命や天安門事件の公開討論などは一切できません。そのような矛盾を突いて、共産党に圧力をかけてくれれば、あるいは盤石に見える習●平の強権政治にも綻(ほころ)びが生じるかもしれません。

【阿古】🌶️さんのおっしゃることもわかりますが、一方でわれわれは現実的に、ならなくてはなりません。これまで話してきたように、実際問題として中●が民主化していくには長い時間が必要でしょうし、政治的な混乱が経済釣な混乱に繋(つな)がれば、中●のみならず日本を含む世界経済にも大きな打撃を与えるのは避けられません。中●共産党の存続が前提だとは思わないまでも、中●共産党のなかにも良心的な人がいることは確かにですし、長い目で「同じ価値観を持つ国になってほしい」という理想を持ちつつ、長期的にはどこで協力しどこで圧力をかけるか、戦略を持ってやるべきだと思います。

【🌶️】それはよくわかります。いずれにせよ、この先中●が変わっていくためには、まず中●の人々が、これまで自分の国がどのような歴史を辿(たど)って来て、いまどのような状況に置かれているのか、真実を正しく知っておく必要があると思います。

そのためにも、私はいつの日か文化大革命や天安門事件など中●本当の歴史を漫画で描いて、中●の人々に読んでもらいたい。その日が来るまで、日本で漫画の修行を積みたいと思います。

【阿古】ラージャオ(🌶️)さんの夢がかなう日が来ることを祈っています。頑張ってください。

【👴👨👩👧👶】頑張ってくださいね❗

📖『マンガで読む 嘘つき中●共産党』という、中●亡命漫画家 ラージャオ氏の書籍の一番最後にある対談でした。

 

 

 

 

  

大まかに言って中国少数民族のなかでは、チベット族、ウイグル族、モンゴル族の3大民族が陰に陽(ひ)に独立を主張している。「独立」を言わないまでも、ほかに回族(かいぞく)(イスラム系)、満族(まんぞく)、そしてチワン族がそれぞれ、寧夏(ねいか)回族自治区、中●東北部、広西(こうせい)チワン族自治区に夥(おびただ)しく(大勢)暮らしている。中●共産党はこれらを一括し「中華民族」という架空の概念で呼称し(呼び)、みんな差別のない仲間、同胞だと、明らかに嘘とわかる宣伝を大声でがなり立てる。

日本は満州国を建国し、清朝(しんちょう)の後継者(あいしんかくら)溥儀(ふぎ)を皇帝に復辟(ふくへき)させ、また河北省を基軸に察南(さつなん)自治政府を樹立させ、モンゴルには徳王(とくおう)を中軸とした蒙疆(もうきょう)政権を成立させた。徳王は親日的であった。赤峰の南郊外にあったカラチン府には日本人教師を派遣した。

日本の敗戦後、徳王らは国民党、共産党の侵略軍と戦ったが、矢尽き、刀折れ、無念の敗北。共産党の門下に下った。

南モンゴルでは、それからが悲劇の始まりだった。

モンゴルの独立は共産主義者の暴力と陰謀の前に消滅させられた。三反五反、反右派闘争、大躍進、そして文化大革命と引き続いた血の弾圧で、地主が処刑され、あらかたの知識人が虐殺、ラマ僧も学生もあらかたが虐殺された。そして長い沈黙。

まさに内モンゴルの東部(旧満州国の一部)で中●の共産革命後に何が起きたのかを日本人はほとんど知らないし、関心も薄い。↙️

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➡️共産主義の「革命」とは、

①拷問、

②獄刑、

③財産没収、

④奴隷化

だったのだ。戦後、日本の左翼知識人が、なぜこの悲惨な「革命史」を語らないか不思議でたまらない。

こうしたモンゴル人の悲劇については楊海英(よう・かいえい)📖『墓標なき草原--内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録』(岩波新書)に詳しい。

そして内モンゴル出身の研究者ボヤント(宝音図)の著書『内モンゴルからみた中●現代史--ホルチン左翼後旗の「民族自決」』(集広舎刊)は、さらに具体的に中●共産党が土地改革と詐称(さしょう)する暴力的土地収用と記録文書による照合、現地の生き残りによるインタビューを通じて克明に描きだした。(中略)

「(モンゴル人が)政治的な陰謀に巻き込まれて大量に虐殺され、伝統的な遊牧経済が跡形(あとかた)もなく消されてゆくプロセス」が内モンゴルの戦後だったのだ。

「モンゴル人が団結できないように分散させて統治したのは中●と日本」だったが、しかしモンゴル人に「大量虐殺を行ったのは中●のみであった」。

「かつて日本に協力していたモンゴル人は迫害され、別の統治者に支配されて不幸な運命にあった。(中略)現在の日本では、モンゴル人がかつて遭遇し、いまなお存在する悲惨な境遇を真剣に理解してくれる空間が非常に狭い。」(同書)

ともかくウイグル族、チベット族の独立運動は世界的規模に広がっているが、モンゴル族が世界各地で本格的な活動を始めたことに、もっと注目が集まっいいだろう。

 

モンスター・テロリスト=ISISに怯(おび)える中●

そして中●が神経をとがらせるのが、冒頭に触れたテロリストである。

ISIS(イスラム国)は🇮🇶イラクと🇸🇾シリアで迅速な軍事行動を展開し、いまや「モンスター・テロリスト」となった。このISISに中●から逃れてきたウイグル族の若者が300人前後加わっている。

ISISの意表をつく作戦の数々は、最初はイラクのマリキ政権とシリアのアサド政権を支援するイランの隙(すき)をついたものであったとはいえ、アルカイダが20年かけても達成できなかった目標に近づき、しかもアルカイダのように洞窟や秘密の基地に隠れることなく、そのうえ現地の宣伝戦争の武器であるSNSをふんだんに駆使して米国と西側(諸国)をひどく狼狽(ろうばい)させた。

中東で起きていることは、「スンニ派のサウジとシーア派のイランの代理戦争」の色彩が濃いが、ISISはその過程で生まれてきた化け物であり、暴力闘争が短期で終息する近未来は描きにくくなった。ISISの胴元であった🇸🇦サウジアラビアでさえ、ISISを脅威視するようになっている(サウジアラビアは外国でのISISには資金も出すが、国内のISIS同調者は容赦なく逮捕する。2015年7月初旬にも100人以上を国内で拘束した)。

しかし基本的な問題は米国の誤算である。

サダム・フセイン打倒後、マリキ首相を傀儡(かいらい)としてイラクを統治できると思い上がったことは信じられない誤算だった。従来の米国の論調は日本のGHQ統治と比較して、簡単にイラクは落ち着くだろうという、信じがたい予測が主流だった。

新イラクはマリキ首相がシーア派で、副首相はスンニ派、そして飾りの大統領がクルド族という人工的な組み合わせだったが、サダム独裁体制を倒して、イラン側のイラク東部をまたたくまに影響下においたイランがマリキ政権に肩入れし、スンニ派をイラク西部に閉じ込め、クルドを西北部の山岳地帯に追いやった。

イスラム法が厳格に適用され、タバコを吸っても石打ち刑、同性愛は死刑、公開処刑は日常茶飯となった。マリキ政権は米国に従うと見せかけながら旧バース党の勢力を根こそぎパージし、スンニ派住民を虐待した。

軍人、公務員ばかりか、教師も医師もことごとく追放され、イラクの新政府軍は未熟な軍人の烏合(うごう)の衆となっていた。そのうえ新政府軍の高官らは腐敗していた。武器の横流し、ピンハネ、縁故採用。

マリキ政権に恨み骨髄に達したスンニ派、とりわけバース党残党とサダム政権の旧軍人らがISISにたちまち合流したのは自然の流れである。そのうえイラク政府軍は軍事訓練も十分になされていなかったから米国の供与した大量の近代兵器を置き去りにしてバグダッドへ逃げ帰った。ISISはタダ同然で無数の近代兵器を獲得したのだ。

突然デビューするや豊富な軍資金でライバルの派閥を潰す。ザルカーウィが率いた「イラクのアルカイダ」はISISに吸収・合併され、「ヌスラ戦線は」は、ISISの暴力に打ちのめされ、あるいは少数派閥の武装ゲリラ集団はカネと武器を提供され、ISIS傘下に組み込まれた。軍事組織のトッブは戦争のプロ=チェチェン人のアブ・オマル・シシャニである。

アフガン(🇦🇫アフガニスタン)の生き残りゲリラは月給600ドルを提示されてISISの傭兵(ようへい)となった。

ISISは兵士を補う目的もあって、刑務所を次々と襲撃し、凶悪な囚人らを数百、数千人単位で解放し、スンニ派と分かると強引に兵士の列に加え、シーア派は処刑した。戦力はまたたくまに繁殖したが、それを支える資金力がISISにはあった。

ISISは女性多数を拉致誘拐して、「結婚」と詐称(さしょう)してのレイプを繰り返し、そのうえ、妊娠して中絶手術不可能の段階になってから、帰国させるという民族浄化のやり方をとった。

また住民を片っ端から誘拐し、法外な身代金(みのしろきん)を取った。外国人の人質はセクト間で売り買いし、最後の代理人が交渉にあたるころ、500万ドルとか、2000万ドルとかの相場となった。凄(すさ)まじい収入になるうえ石油の密売と武器売買、産油国からのみかじめ料の収入、加えて占領地域の住民からは平均20ドルの税金を徴収した。ISISをこれほどの化け物に育てたのは米国の誤算、そしてサウジアラビアからの資金援助、ついで🇶🇦カタールだった。

たとえばカタールはアサド体制の打倒に繋がるとして🇱🇾リビアの過激派に肩入れしたが、彼らもまたISISに吸収されていったのである。こうして現代のモンスー・テロリスト集団が中東の一角を支配し、欧米の思惑を遠く外れて中東政治の台風の目となった。

シリアを支える🇷🇺ロシア、シリア体制派を支えてきたイランは今後、どうでるのか❔

そしていつの日か、ISISが牙(きば)を剥(む)きかねないという脅威(きょうい)を前にして中●はいかなる対応を取るのか❔グレート・ゲームはここで大きく変わった。

ベンジャミン・ホールの📖『なぜISIS(イスラム国)は平気で人を殺せるのか』(ビジネス社)には教えられるところが多い。

日本でもISISに関する類書がたくさん出たが、どれもこれも消化不良、とくに日本人が現場を歩かないで、机上(きじょう)の知識と観念でスンニ派だとか、シーア派だとか、華麗に分析してみせたところで迫力のないこと夥(おびただ)しい。そのうえ日本人特有の平和主義とかの妖術のごときバイアスがかかっているのでおかしな結論に導かれたりしている。本書はむしろアメリカ人ジャーナリストの書いたものゆえに米国並びに西側の価値観というバイアスがあるが、その分を割り引くと、実に生々しく、ISISの現場の血の海、殺戮の曠野(こうや)のリアルな模様がまるでスクリーンに映し出されるように、われわれの目前に描写されている。

ベンジャミン・ホール氏は何十回となくイラク、シリア、トルコに入り、テロリストの本部を取材し弾丸、ミサイルの雨の中を何度も死にかけながらくぐり抜けて、その詳しい経緯、内ゲバの歴史、資金の流れと人脈とを克明に追いかけ、他のルポルタージュの追随を許さない作品に仕上げた。

中東で起きていることは「イランとサウジアラビアの代理戦争」である。

指導者バグダディの独裁力には限度があり、ISISはシステムとして優れたものであるため、バグダディがたとえ米軍の空爆で死んでも、いつでも交替できる有能な指導者がいるというのである。

現在、ISISに参加している中央アジア出身の過激派は、新疆ウイグル自治区、タ🇹🇯タジキスタン、🇺🇿ウズベキスタン、🇰🇿カザフスタンなどからだが、🇷🇺ロシアからもチェチェンなどのイスラム教徒がおよそ1700人、もっとも後者はISISの軍事組織の中核である。ウズベキスタンから300人、キルギスから330人、ウズベキスタンから数百人、そして中●の新疆ウイグル自治区からおよそ300人とみ積もられている。

中●がもっとも神経をとがらせる、このウイグル人の武装集団は「TIP」という。「トルキスタン・イスラム党」の略称である。

彼らの大半がアフガニスタンにあるISIS系列、あるいはアルカイダの秘密軍事基地で訓練を受けて、トルコ経由シリアへ潜入した。中●が情報網を駆使して行方を追っている集団である。

これまでのTIPの上部組織と見られていたのが「IMU」(ウズベキスタン・イスラム運動)である。しかしIMUはカリモフ大統領独裁に抵抗し、いずれウズベキスタンをイスラム原理主義国家にしようとして、これまではタリバンとの共同行動が多かった。過激な活動を通じて、IMUは、ISISの「イスラム国」という新国家形式に目覚めたのである。

IMUは1990年代にフェルガナ盆地で結成され、アフガニスタン北部へ移動して、その一部がシリアへ渡った。IMUは、ISISの主力メンバーとなったが、どうやら本家=アフガニスタンのIMUとはそりが合わず、アルカイダと強調し始めている。アフガニスタンの指導者オマル師の死後に、タリバンはいまや弱体化したという分析も欧米でなされている。

(👨タリバンはつい最近アフガニスタンを制圧した。)

 

タジキスタンの過激派は、もと内務省秘密警察司令官が率いていると言われ、ISISから離脱しタジキスタンへ帰国し、同国をイスラム原理主義国家にすると息巻く。これも「イスラム国」という国家形成のスタイルに刺激を受けて、ISISから分離しようとうごめくのだ。

TIPは新疆ウイグルからシリアへやって来た過激派だが、ほとんどがウイグル人、ここにウズベク人と若干の中●系カザフ人、そして少数のロシア国籍の軍人が混ざり、中●がもっとも脅威視する組織だ。このTIPがJN(ジャブハタアルナスラ)と共同作戦で、シリア政府軍との戦闘で勝ち、シリア北部の都市イドリブを落とした。

彼らは優れた火砲を持ち、新型機関銃で武装しており、一部の報告では1000人規模に膨(ふく)れあがっているという。

シリア北西部の所謂(いわゆる)「ISIS占領支配地」=イドリブは、かくしてJN、TIP主力の混成部隊が押さえ、堂々と「東トルキスタン」の旗を立てている。中●に敵対する立場を鮮明にしたのである。

このためISIS本部とは意見の相違がくっきりと出てきた。彼らは「イスラム国」樹立ではなく、新疆ウイグル自治区を「東トルキスタン」として独立させるための下準備、訓練が目的でシリアに入り込み、名目上は「ISIS」の傘下となっていたわけだ。

得にシリア北西部とイラク西部を押さえたという意味は、ISISから離脱する可能性があり、彼ら過激派連合がイドリブを支配したということは、新兵リクルートの通り道、そして支援物資の兵站(へいたん)ルートという軍事的に大きな意味を持つのである。

TIPはこれまで共闘してきたIMU(ウズベキスタン・イスラム運動)から離れるのは決定的となった。TIPはもともとアフガニスタン、🇵🇰パキスタン国境にいたころからシリアへの移動を開始し、2013年にはアフガニスタンでほとんど目立たなくなっていたのだ。

新疆ウイグル自治区は中●の暴力的支配、圧政に立ち向かった多くのウイグル人がおり、北京天安門広場での自爆テロ、うんなんしょうこんめい駅での無差別テロ、こうしゅう駅やウルムチ駅での自爆テロ、そのほかの事件がある。自爆テロを行う未組織の、あるいは未確認のグループがあり、TIPの組織構成員とは別の集団と考えられてきたが、TIPは「あの自爆テロも自分たちだ」と政治宣伝を展開している。

いずれにしても、中●におけるウイグル人のイスラム原理主義過激派が、これから中●の内外でますます荒れるだろう。

 

 

 

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暴力によって獲得した権力は、暴力によってしか維持できない。流血の惨劇に出会った人には気の毒だが、(天安門)事件はまことに単純きわまりない性格を持もつ。中●もまた暴力革命を建国の起点にもつ国だ。中●がいまのソ連と同じように、中心の権力を死守するために、周辺の防衛戦を後退させる必要に迫られたとしたなら、やはり、周辺の国々の思惑(おもわく)など気にせず、好き勝手に行動するだろうから、東欧と同じような混乱と流血が起こるだろう。また逆にソ連が自分の経済や政治のシステムをなんとか能率的に切り替えようと努力しても、変えようのない宿痾(しゅくあ)を抱えているため、ある限界を超え、内乱状態になるだろう(『西尾幹二全巻    第11巻    自由の悲劇   』(国書刊行会)

 

 

 

以上は📖『「中●の終わり」にいよいよ備え始めた世界』(宮崎正弘 著    徳間書店)より。(第一刷 2015年10月31日、第二刷 2015年11月1日)

(👩前夜から翌朝にかけて印刷したのかな❔)