「リラの花咲くけものみち」

2024年04月24日 | 本・よもやま話
幼い頃に母を亡くし、継母からの扱いで心に傷を負い引きこもりになった少女が、
前向きな祖母に支えられ、獣医師を目指して北海道に向かう。
動物たちの命と日々向き合ううちに、自分の居場所や夢を見つけていく。


そんなあらすじですが、
病気を治すだけではない獣医師の過酷な現実に、
主人公の少女も読者も耐えきれなくなって・・・

そんな時、慰めてくれるのが、表紙にあるような花や鳥たち。
各章に、多くの癒しの花々が出て来ます。



厳しい現実から逃げそうになる少女に掛けられる、
勇気を与え慰める言葉が印象的です。


「ヤマメとサクラマス、知ってる?」
この両方の魚は、もともと全く同じサケ科の魚。
名前の違いは、川で育ったか、海で育ったか。

稚魚時代に体が大きくて強い個体は、
生まれた場所でエサを捕ることができるから、
ヤマメとしてそのまま川で育ち成長する。

一方、体が小さくて弱い稚魚はエサを求めて川を下り、
豊富なエサがある海に向かう。
海で無事に生き延びた稚魚は、川に残ったヤマメよりはるかに大きく育ち、
サクラマスとなって産卵のため川へ戻る。
そして産卵期の川の中で一番いい場所に陣取り、遺伝子を残すことができる。

「逃げなきゃ死んじまうかもしれないんだから、
逃げるのは悪いことじゃない。
逃げた先で踏ん張ればいい。
今、辛いことから逃げたとしても、時間を経て変わることはできる。」


何度も訪れた北海道の広大で美しい風景がよみがえります。


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