厚労省官製談合で予算半額返上
■税金を手にするのはパソナだけじゃない
今月5日、そのうち3地域(関東、近畿、九州・沖縄)の審査実務を落札したのは、資格取得支援予備校を運営する「東京リーガルマインド(LEC)」だ。最近は人材派遣・紹介業にも手を広げ、経営トップの反町勝夫氏(73)は竹中氏と親しい仲で知られている。
<竹中塾開催により、構造改革のさらなる推進を応援します>
LECが05年に開催した「竹中塾公開講座」のパンフにはそんな文句が躍った。講師は郵政民営化担当大臣だった竹中氏で、当時は全国比例区選出の参院議員の身。そのため、竹中塾は「学校をあげての政治活動は問題だ」と国会で追及された。
「小泉政権時代に竹中氏が旗振り役となった『株式会社立大学』の第1号もLEC大でした。経営不振から現在は学部を廃止して大学院だけとなりましたが、ピーク時は全国14カ所にキャンパスを設置。たった3カ月のスピード審査で認可が出る特例が適用されたため、開設当初から竹中氏との関係を指摘する声がありました」(政界関係者)
厚労省官製談合で予算半額返上
LECに入札の経緯について質問状を送ったが、締め切りまでに回答は得られなかった。
さらに、この事業はパソナにも利益をもたらす。
すでに厚労省は類似事業として「求職者支援制度」を展開中だ。こちらは訓練期間3~6カ月のコースが対象で、JEEDが民間の訓練機関の審査業務を請け負う。実はその民間の訓練機関のひとつに、パソナが選ばれているのだ。
「昨年度の求職者支援制度の事業規模は219億7000万円。うち約193億4000万円を訓練機関の奨励金に充てました」(厚労省・職業能力開発局能力開発課)
この奨励金の一部がパソナに山分けされている。前出の政府関係者は「事業の同一性を考えれば『短期集中特別訓練事業』でもパソナが訓練機関に選ばれるのは、ほぼ確実」と言い切った。
訓練機関を審査するのが竹中氏と懇意な企業なら、その審査の結果、「税の分け前」を受け取るのもまた、竹中氏が経営に関与する企業だ。
しかも、所管大臣の田村憲久厚労相はパソナの接待施設に出入りしていた。この怪しげな構造を放置したままでいいのか。