まちかど逍遥

私ぷにょがまちなかで遭遇したモノや考えたコトなどを綴ります。

岩本楼のローマ風呂 ~テラコッタ

2019-01-21 22:21:20 | ディテール
江ノ島の続き。

岩本楼のローマ風呂はステンドグラスだけでなく、また、タイル、テラコッタの宝庫でもある。
これらは日本の近代窯業において釉薬研究の第一人者である小森忍が手がけたものだ。
窓やドアの額縁、浴槽、壁泉、、、浴室内の各所に惜しげもなく、一級の美術品のような焼き物が配されている。


普通テラコッタと言えば、玄関まわり、外壁の軒まわりなどに使われているのをよく見るが、レリーフの形を
見せるためにベージュや褐色など地味な色のマット釉が多いと思う。しかし、ここのテラコッタは、完全に
釉薬で魅せている。ステンドグラスにも負けていない存在感なのだ!!


タイルよりも面積が大きいだけに焼き物としての魅力もひときわ。釉薬の流れや広がりによって、グラデーションが
できるし、平滑な面と入り組んだ部分の釉薬の溜まり具合の差によっても面白い効果が出る。


マントルピースのような正面の飾り窓。並んだ列柱は竹のようにも見え・・・


この窓台のテラコッタの神秘的な色合いに吸い寄せられる。。。
オレンジと緑が重なったような色は倉敷の有隣荘の屋根瓦にも似ているが、もっと毒々しい、というか、もっと複雑な色。
一部にハッとするような青が出ている。


同じ部分の左端の方は今度は緑が勝っているが、ところどころオレンジ色ものぞく。同じ釉薬なのだろうか。


窓台から張り出した棚を支える持ち送りもテラコッタ製。


そしてその下の壁のスモーキーブルーのタイルの間に、透かしブロックがはめ込まれている。


鳥とザクロをモチーフにした透かしブロック。一応換気のための用途もあるのかもしれないが・・・


あぁ何と・・・まさに美術品。


正面左右にあるドアの、モールディングをかたどった三方枠もまた惚れ惚れするほど美しい。。。
鮮やかなオレンジ色は向かって左側のドアの枠。入隅の部分にブルーが溜まって、錆びた金属みたいな風合いに。
ドアノブはほんとの金属の色である。


これは向かって右側のドア。あめ色の上にびっしり白カビが生えたよう。または、きんつばみたい!?


右側の壁の窓まわりにも枠と円柱が。パーツごとにもう全くと言っていいほど違った色合いだ。
見る方向によっても色が変わり、遠目で見るのと近くで見るのとでもまた印象が変わる。




そして左側にはアーチ型の壁泉がある。


吐水口は人の顔でちょっと怖いのだけど・・・(汗)


顔のまわりはこれまた宝石のようなガラスモザイクタイルで埋めつくされているのである。はぁ~~~っ(ため息)


こちらもどれひとつとして同じ色がない。カラーチャートみたい。。。


そして枠はまたテラコッタ。これはもうまさに銅の表面に浮いた緑青の色!すごい・・・・


今は使われていない味のある水栓金物もそのまま置かれている。


シャワーが取り付けられていたであろう部分には深い青緑色のタイルがはめ込まれていた。


こんな素晴らしい小森忍のテラコッタの数々に出会え、至近距離で眺めて釉薬の流れ跡を確認し、直接触れて
釉薬の厚みを感じながら、お風呂に浸かれるなんて、こんな至福があるだろうか!?
しかし願わくは、今後も長く現役のお風呂場で素晴らしい小森忍のテラコッタに触れ合えるように、
ヒビが入ったパーツや傷んだ目地の補修を適切に行ってほしいなぁ。国からお金を出してくれないかなぁ!?


続く

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