
[2013年10月再編集]
結局一睡もできないまま、3時頃起床。横になってるより起きて動いている方が寒くありません。
テントの扉を開けて空を見上げると、なんと見事な星空が広がっていました。

この時の感動は今も忘れられません…
これまで小屋泊まりをした時は夜は曇りで星空を眺める機会がなかったので、ここ白馬岳が初めてだったのです。
美しい、という言葉だけで表現できないような圧倒的なものを感じました。その星の数の多さ。
星の少ない千葉の空で見慣れていた星座の周りを埋め尽くす星々の光。 ざわっと鳥肌が立ちました。
湯を沸かしてコーヒーを淹れ、星空を眺めてしばらくぼんやり。
内壁の結露がパリパリに凍りついたテントを出て外を見ると、フライシートの外側にも霜がビッシリとついていました…ひえぇぇ

まだ暗い内からヘッドランプの灯りを頼りに朝ごはんを作り、暖かい卵入りの雑炊を食べながら、
久し振りの“プ カ プ カ 会 議”(別名わたし会議)です。
「でも、テント持って来ちゃったもん。使わないのに山頂まで担いで行くなんてイヤだー」
「山頂はここより標高が高いからきっともーっと寒い…今度こそ生きて帰れないかも」
「テントを大池山荘に預かってもらうってのはどう?下山の時にまたここを通るんだし」
「でもそれはずうずうしい…頼みにくいー」
「それに、せっかくのテントデビューなのに、なんだか悔しい」
「二日前も2時間位の睡眠で、夕べも徹夜で、このまま寒い山頂でテン泊したら今度こそ本当に疲労と寒さで…」
「凍 死 …

「テントは置いて行って、小屋に泊まろう。そうしよう」
いやもう本当に大丈夫じゃなかったです。だからなんだかうれしいようでちょっと恥ずかしい。
そんな話題になっていたくらいなら、テント預かりの交渉も少しわかっていただけるかしら。
大池山荘の方に恐縮しながら相談しました。
テント泊でしのぐ体力的な自信がない。こんな事をお願いするのは非常にぶしつけで申し訳ないけれど、
明日引取に来るまでテント用具一式を預かっていただけないか…――

拝むような気持ちでお礼を言って、撤収したテント用具一式をエコバッグに詰め込み、小屋の方に手渡しました。
その節は本当に本当にありがとうございました、白馬大池山荘さん。
あぁ、今夜は小屋の布団で寝られる。そう思うと一刻も早く山頂に着きたい思いです。
周囲の山や植物が朝日に照らされる頃、登山スタート。ザックが軽い~
チングルマの草紅葉。霜ついた葉に朝日が当たって七色にキラキラ輝いてます。
むははははは
なんですかこの真っ赤な絨毯は
朝日を背にして、順光で真っ青に彩られた空を見ながら登ります。
白馬岳の姿は大池周辺からは見ることができませんが、少し登ると連なる雪倉岳(200名山)と朝日岳(300名山)の眺めがかっこいい。
中央・雪倉岳 / 右・朝日岳
この山もいつか登ってみたい…きっと雪倉の上からは白馬三山が見えるんじゃないかなー
早朝の北アルプスの空気の透明さと光線の魔術にプカプカは既に圧倒されていました。
どこまでも続く雲海。きっと今麓から見上げる北アルプスは雲に隠れてるんだなぁ
火打山…今年の夏にはあそこでテントデビューするつもりだった。待っててオクレ~来年こそはっ
1時間もちんたらやってたら、ついに白馬の杓子・鑓がお目見え。
くっはぁぁぁ…
空気が澄みきっているせいか、色が何もかも鮮明で目に眩しい。
どこまでも遠くまで見渡せる北アルプスは雲海に浮かんで、
その雲の波が淡く山裾に打ち寄せる様子が色のグラデーションを引き立てています。
今年の秋の新雪が時々残る中、快適な尾根歩きです。 右は小蓮華山
いつもだったら「まだあんなに歩くのか、遠いなぁ」とか、その距離を思って少しユウウツになるくせに。
今日はそんなの微塵も感じてません。
きれい、すてき、かっこいい、最高、そんな称える想いでいーっぱいです。
もちろん登りはプカプカには楽じゃありません。(夕べは徹夜だったし…)
他に山頂を目指し登る人は2~3組とあまりにも少なく、人とのペースの違いを意識して焦る気持ちが全くないおかげと、
今日はどんなにゆっくりやっても昼頃山頂に着いてあとは泊まるだけという時間の余裕が、気持ちを穏やかにしてくれました。
気持ちが落ち着いていると一歩一歩がマイペースになる。
景色を楽しみながらも、どんな歩き方をすれば無理なく継続的に登り続けられるか…
そんなことをいろいろ考えながら足を運んでいました。

少しずつ高度が上がっていくと、白馬と杓子の鞍部の向こうにさっきまでチラ見えだった剱岳の尖がりが大きく見え始めて来ました。そして、遠く穂高連峰の方角まで目をやると…槍ヶ岳が見えてますよ~ カンゲキ


小蓮華山 山頂は崩落していて立ち入り禁止でした。裏側から見ると見事に崩れてます。
三国境(分岐)から見る鉢ヶ岳・雪倉岳と雲の下に日本海

かなりしんどいです…
ぎゅむー

後ろからやって来たボッカの荷台を背負った女の子が長靴でスイスイスイーと登って行きました。山荘で働いてるんだなぁ。かっこいいー

そんな簡単なわけがないんだと思いながら、
(←ニセピークと思って眺めていた実は山頂)
ゆっくり登って行ったらいつの間にか山頂に着いてました。まだ昼前です。
あれ、意外とあっけない…
標高差670mですから当然といえば当然ですね。
しかもテントがない分相当身軽だし。
いつもながら崖っぷちに腰掛けて休憩。どこをぐるぐる見渡しても全部の山が見えてしまう。最 高 だ ~
旭岳 / 清水岳
白馬杓子岳/白馬鑓ヶ岳 遠くに続く北アルプスの山々
穂高岳/槍ヶ岳
立山連峰
ムッハムハー
今朝は白馬大池山荘の水場が凍り付いて一滴も水補給できなかった為、
料理用の水がないので白馬山荘に降りてお昼ご飯にしました。
09年7月、白馬山荘レポを別途作成しました。こちらからどうぞ→
受付をして水場の状況を尋ねると、やはり今朝は凍りついて出て来なかったそうです。
今日は暖かくて日向ぼっこが気持ちいいくらいの陽気。水はたっぷり出て来ました。また明日凍ったら困るので二日分補給。
(翌朝チェックしたら水は出ました。昨日の冷え込みが相当ひどかったことが想像できます)
周辺に眺めがよくて槍まで見える休憩に適した場所はあるか尋ねると、山荘脇のテーブルベンチならよく見えるとの事。
おほーぅ ほんとにいい眺め~
ここでまったりとお昼に。
ぽかぽかの陽だまりの中、
お腹を満たすと眠くなって来ます。
さすがに夕べのツケが回ってきた…
夕暮れ時までお昼寝する事にしよう。★

山荘の部屋は女性専用の三人部屋を与えられました。ほっ…
着替や荷物の整理をしながら窓から差し込む陽光で暖めておいた布団の中へ。
横になって目を閉じるとあっという間に爆睡していました

アラームにも気づかず、予定より遅れて目覚めてしまったけどなんとか日没には間に合いそうだったので、
お茶の用意を詰め込んだアタックザックを背負って山頂を目指して出発しました。

登ってる内にどんどん陽が沈んで行く秋のつるべ落とし。
間に合いそうにないなー
山頂まで行くのはやめて、途中にある故・松沢貞逸氏(若くして亡くなった白馬山荘開祖)のレリーフ前で過ごす事に。
西と東に開けたこの場所も結構よい眺めです。
「松沢さんお邪魔します。いい場所ですね~
昔、ここからの眺めが好きだったんですか」
台座に腰掛けてお茶を入れながら、日本海に沈んでいく夕日を静かに眺めていました。辺りには歩く人も登る人も誰もいない、一人っきりです。
東側の海(太平洋)に近い所で暮らしているせいか、この海に対する憧れが強くて
太陽が沈む日本海を見たいとずっと願っていました。
行く機会はあっても天気が一致する事はそうそうありません。今日は見事に全てが揃いました。
今自分が立っている山の影が、東側の街を闇に包んでいきます。
陽の傾くほどに、白馬岳の三角に尖った山容が大きく広がって、その風景の中に溶けていく…
平野に暮らしていると日没時間が遅い。対して山間部の日没はいつも早く感じます。
その山の影に包まれるのではなく、今はその山のてっぺんにいる。
山とプカプカの影が、あの街のどこかに映ってるんだなぁ…(また妄想が)
今見えているいろんな山々の山頂で 今同じように夕景を眺めている人がどれくらいいるだろう
雲海の向こう 日本海に沈む夕陽
山上で晴れの日没を過ごすのも今日が初めてです。
いろんな“はじめて”を過ごす山が白馬岳で本当によかったなぁ
山荘に戻り晩御飯を作って食べ、(きのことトマトのスパゲティとコンソメスープ)
銀河の星空ときらめく街の灯りを眺めながらまったり。
今晩の宿泊客は他に1~2組しかいない様子で、女性部屋を一人貸切状態で過ごせました。
夜には湿った布団も二枚使用でふっかふか。今夜は昨晩程寒くありません。
お腹を満たしてたっぷり眠れば、明日は栂池までの長距離下山もなんとかなるかな…
明日も晴れたらいいなぁ… スヤスヤ…
【つ づ く】
つづきの(3)『鮮やかな稜線の朝』はこちらから→
(1)『はじめてのテントで凍えた一夜』はこちらから→
2010年7月にも白馬を登りました→ 白馬三山 お花めぐり

白馬の雄大な景色と、ちょっとくどくどしつこい写真ですが…
写真が綺麗で感動してます。ヲイラも去年歩いているので思い出しながら読みましたよ。ヲイラこんな写真撮れませんよぅ。
寒くて寝れないテント泊、よくわかります。未だに過度の軽量化でやっちまいます。でもそんな時に限って星が綺麗なんスよ。星が多過ぎて星座がわかんねーよってくらいの星空ですよね。
白馬は3回登りましたが、こんな綺麗な風景に会ったことがありません。2泊目はテント泊ではなかったんですね。でもこれはとてもいい選択でしたね。ちょっと悔しいけど、その退却の心構えが必要なんですよね。やせ我慢して遭難したんじゃ目も当てられないから。
いゃ~ 凄い
これだけ綺麗な写真見せられるとさすがに参った。いやいや(超)羨ましいが本音です。
白馬は二回。一回目は蓮華温泉がらの11泊の大縦走。二回目は大雪渓から旭~白馬~小蓮華山~栂池へと歩いたんですが、どちらも山頂ではガスで殆ど展望は得られませんでした。
白馬岳はこれからも何度か登ると思うがこれだけの天気・展望に巡り会えるかな~~~~~~。
三日目が楽しみだ。
わたしも
きれいなお写真に感動を覚えます
栂池から白馬岳へのコースは
時間とお天気のタイミングが合えば
いつでも行きたいって思ってたところ。
続きが楽しみです!
まだ出会ったことないなんてこと絶対ないはずですっ きっとたくさん見ているはずですよー
でもそのお褒めの言葉で充分うれしい。腕を磨くようがんばります(^^ゞ
それでも別の面でまたやっちまうんですがね~
田舎道でも普通に星数多くて感動するけど、参上は特別ですね。
確かに星座がわかんなかった(^^)
そこまで言われると照れ臭いやらうれしいやら…(*^^*)
二泊目の小屋泊まりの事も、そう言っていただけるなんてしみじみ感動します。
失敗だったね、とか装備はもっとちゃんとしないと、なんて言葉は自分が一番よく分かっているので…
プカプカの成長を見守って下さる比呂志さんの、人柄の温かさと大きさを感じます。
山でやせ我慢って危ないですね。まかり間違ったら遭難してもおかしくなかったと思います。
力量不足を考慮して方向転換したおかげで楽しい山頂一夜が過ごせました~
そんなに褒めていただけるとますますやる気になってしまいます。
(これ以上天狗にさせないでください)
11泊ってウソーン(゜д゜) すんごー! そんなに長い休みがほしい…
その間お風呂に入れないのがつらそうです…(^^;
食料だって一体どれだけ持てばいいのか。
でもまさか11泊もあれば全部曇りって事はなかったでしょう?ほんとに?
これだけ標高の高い山だったらきっと雲上を歩ける機会はたくさんやってきますよ~って私ごときに言われても、ですネ
カメラレンズの質がよくないので、やっぱり限界を感じます。
もっともっとって思うとキリがないですね~
さくらさんだったら健脚ですから栂池じゃなくて猿倉から三山まわれますよー
あとは連休と天気の一致ですよね。
どっちもそろえるのってなかなか難しいんですよねぇ(+_+)