山と葉っぱと猫が好き

ヘタレなりに独学で女性単独登山を楽しんでます。
悩んでくじけて、いつも一人で起き上がる。
山がわたしを育ててくれる。

杓子山 富士展望と滑る急坂(前編)

2011年05月29日 | ◇山 登 り(コースガイド)

杓子山 コースデータ

杓子山 標高断面図

2011年5月第5週の平日に、山梨県の杓子山に登りました。
山を登るのは実に7ヶ月半ぶりです。

何度も何度も、山に行こうとして準備して結局行かなくて…  事情はこの辺に由来
そうしている間に春になって、あの震災があって…ますます気力を失う一方で。

東北にボランティア活動に行って、少しだけ一歩前に進めたような気がして、
ううん、進まなくちゃいけないと思って、山に行くことにしました。
ちょっと無理やりって感じだけど。

富士山に会いたい。
この7ヶ月ろくなトレーニングもせず怠けまくりだったので、足腰がかなりヘタレmaxのはずだから、あまり行程のきつくない所にしなくちゃ。
また竜ヶ岳もいいなー。でも去年からずっと、登ったことのある山ばかりわざと選んでたからなぁ…
まだ登ったことのない山にしてみよう。
杓子山ならちょっと楽そうだし、登山道から富士山の展望が広がるのも魅力的。

というわけで決まった山行ですが、なんつうか、相変わらず波乱万丈っていうか…
一筋縄ではいきませんでした。とほほです。



鳥居地峠 駐車場について

駐車場というものはありませんが、峠の道路脇に3~4台駐車できるスペースがあります。[写真上]
ここがいっぱいの時は、登山道(林道)の脇に縦列駐車で2台ほど停められそうです。[写真下]
ここは車両も頻繁に通行するので、邪魔にならないように。

ここもダメなら登山道林道(ダート道)を少し走ると、左側や右側に各1,2台駐車できそうな空間があります。[写真なし]







早朝、朝もやにけむる道。杓子山の登山道は東方向へ歩くようになっているので、登り始めは逆光です。
逆光はちょっと苦手。これだと目の前の気色がまぶしくてきれいに見えないし、木々の葉っぱの美しさもわかりにくいんですよね。
 
その代わり、背後にそびえる富士山は朝、順光に輝いてきれいでした。

振り返らないと見えないのが難点だけど。

林道を歩いている間、何台もの車が前からやってきたり追い抜いたり。一体どこから来てどこへ行くんだ?
登山者ではない様子でした。車輪で刻まれた深い轍がドロドロ。今日は路面も湿ってます。

林道の途中で左手にこの看板が立ってます。ここが登山口。
ここから登山ルートがはじまります。
あとでわかったことですが、林道をそのまま真っ直ぐ歩いても登山道に合流できます。


葉っぱだ、葉っぱ~
この樹林帯を5分位歩くと、開放的な尾根道に出ます。

見えてるピークは高座山です。
ここでちょっと歩いて振り返ってみると…

んきゃー

ふっ ふっ 富士すぁ~ん
会いたかったよ ずっとずっと夢に見てたよぉ

ああ、なんか今日はやさしい顔してるね。 ありがとう…

このコースは登ってる間ずーっと富士山を背にしなければならないので、なんかすごい勿体ない気分でした。
せっかくすごくきれいな富士山なのにー

なかなか前に進めません。
後ろ向きに歩いてみたりなんかして…
道は広くて平坦な土場なので、なんか余裕な感じ。
いいなー杓子山。いいぞー


と、、、思っていられたのも、実はこの時だけで…
急斜面が登場しました。この坂の急っぷりはすごいです。
直線的で、岩も草もない土の道。
それだけだったらまだいいんだけど、土質が厄介でした。

なんだろうあの土。砂礫?ってガイドには書いてあるけど小玉の赤土って感じかな?湿ると粘性を持つ泥になる土です。
…さっきから書いてますが前日は雨が降り、今朝は濃霧でした。湿りまくりじゃないですか!

最初のうちはよかった。ゆっくり登ってる分にはなんとかなりそうでした。
でも斜面の急角度がどんどんきつくなっていくと、もう冗談じゃない感じ。つかまる木の枝もありません。ステッキがあっても役立たず。 鳥居地峠~高座山の間がすごいです。

足を置く場所をちょっとでも間違えるとズルズル滑り始めて、20~30cm滑落しかけます。おかげで一回転倒してそのまま落ちそうになりました。
手もひじも尻も膝もドロまみれ~
 右の写真はたいしたことのない斜面で撮った一枚。
 一見何でもなさそうな土に見えますね。

冬の霜降る季節の午後、ここを下るのはかなり危険だと思います。霜が解けたあとの土ってすごいぐちゃぐちゃになるんですよね…
[泥の状態がひどい時はエスケープルートあります。そちらは安全です。くわしくは後編で]
プカプカはかつて登山中に赤土で滑って岩や石の上に度重なる転倒をして、ヘルニアかと思うほど腰の骨をひどく痛めたことがあります。(放置したら治ったけどまだ少し腰痛残り)
その時は間一髪な目にも遭い、また何度も転び続けたことで精神的にもかなり凹んでしまったので、
「山で滑る」ことに対して少しトラウマがあるんです。滑りそうになると超腰がひけてビビリになる。

おかげで杓子山でこの泥の急坂と格闘してるうちに、すっかり気持ちがブルーになりました。
こわい。下山の時もここを通るのがすごくやだ。
自分のこころの恐怖心に一層デフォルメされた泥の坂は、プカプカモードではまるで直下の滑り台。

どうしよう。ここで引き返してしまおうかな。帰りたい。帰りたーい

誰に迷惑をかけるわけでもないし、本当に帰ったってよかったんだけど(富士山も見られたし) 
そういうことであきらめるのが誰かに申し訳ないような、自分に負けてしまうような、いけないことのように思えて、足は前に進みました。

ブルーな気分は相変わらず。さっきまで富士山を見てルンルンだったのもどこかに吹っ飛び気味です。
普通どおりに足を置いてもすぐズルリと滑り始めてしまうので、できる限り逆ハの型につま先を開いて、
雪上登山の要領でがんばってみたら、なんとか滑落せずに登ることができました。こわかった…
普段から内股に慣れてる足に、この歩行は結構きつい。足首とか膝がおかしくなりました。

泥の急坂はまだつづく…(下の写真は下山時道が乾いた時に撮影)

高座山の直下がこれまたすごい急斜面。でもありがたいことに、ここにはロープが垂れ下がってました。
補助的にでもロープがあると全然違います。ズル滑りしても体制を持ち直せます。
しかしプカプカはさっきから胸の中がもやもや不安でいっぱいのため、この斜面も下山で通るのがイヤでゆううつでした。

高座山 山頂

ガイド本には眺めがすごくいいようなことを書かれてますが、富士山の所が少し切れてるだけ。
あとは樹林に囲まれているので、そんな言うほどではありませんでした。(←ネガティブ)

高座山からは樹林帯の急斜面を下って行きます。ここは落ち葉や木の根もあって滑る心配なし。
あー、この道、あとでまた登って来るんだよなー…
登山道にはよくあるも、今日は気分的に滅入ります。
なんだか、なんでもかんでも文句ばっかりじゃないか。
「なんでわたし、山を登ってるんだろう…」
ネガティブ・モードに完全シフトされちゃってるぞ。どうしたっていうんだ?

今日はだめだなー。テンション低いなー。山頂に行こうという目的意識も心細いし。
今目の前にあることを大事にしたいって、ずっとずっと思ってたのに。

山に登りたくても登れなくなってしまった人たちのことを想ってた日々。
自分の好きなことに正面から向き合えなくなってた日々。
そこから一歩前に進みはじめたつもりで、今日は山に来たのに…

わたしは本当にわがままで自分勝手。自分の都合のいいようにならないと不機嫌になってる。
そうか、何を想っても感じてもわたしは相変わらずわたしのままで、
ダメな人間のままなんだ。 甘えてばかりなんだ。

でもそんなわたしとはまるで関係なく、山は山のまま。
土のにおい、木々のにおい、葉っぱや草のにおい。 みんないいにおい…
響き渡る野鳥の声。やわらかい土の上を歩くってほんとに気持ちいい。


今日ここに来れたことは、なんて素晴らしいんだろう。
わたしには歩く足もあるし、時間もある。
趣味を楽しめるなんて、とても贅沢で恵まれてること。

目の前のきれいなものも、こころの目を閉じていたら何も見えない。目をひらかなくちゃ…


葉っぱが急にキラキラ輝きだしたような気がした。

こころでものを見ようとすれば、目の前の気色がこんなに違うってこと。
久しぶりに思い出せた。




【後編へつづく】
後編はこちらから→



 
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26 コメント

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Unknown (yu^)
2011-05-29 02:05:56
プカプカさんの山行復活ですね。
おかえりなさい。

赤土系のねっとり滑る場所はキツイですよね。
以前私も竜ヶ岳で酷い目にあいました(笑)

太陽を透かして光る新緑の葉っぱ、朝露にしっとりする葉っぱ、どれも心を洗ってくれる気がします。

同じ景色を見ても、同じ場所を歩いても、同じことをしていても、自分の心が何を感じているか次第で見えるものまで変わる。人間は心で感じ、心で生きていくんだと思います。
日々自分の心の持って行き場って大事ですね。
中々上手くはいきませんが(笑)

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Unknown (亀作)
2011-05-29 13:44:47
今年もいい山に登れるといいですね!!

先週平標山登りました。
花はまだ早かったけれど、新緑と残雪がとってもキレイでしたよ!!
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新緑 (チャマ)
2011-05-29 21:54:56
プカプカさん、お久しぶりです。

新緑の山からは元気をもらえます。
見上げれば葉っぱ、下を見ればかわいい花。

杓子山に登られたのですね。
トップの写真のどこかで、私は暮らしています。
山頂の鐘をならせば、聞こえるかも。
山梨県の山で少しずつ元気になって頂けたら嬉しいです。
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◆プカプカより◆ (◆yu^さんへ)
2011-05-30 00:18:19
復活になればいいんですけど…^^;
竜ヶ岳に滑る場所あったっけな?あの山は急坂がないから楽で、あんまりがんばりたくない時はいつも行きたくなりますねー。
自分のこころを動かせるのは自分だけ。でもそれが簡単じゃないから人は悩むんですよね。はー大変( ゜д゜)
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◆プカプカより◆ (◆亀作さんへ)
2011-05-30 00:18:38
亀作さんお久しぶりです。
初夏のたいらっぴょはまだお花には早そうだけど、低い所では新緑がきれいでしょうね~
山頂付近はまだ残雪ありましたか?
晴れなら残雪の谷川連峰が累々ですね。くわー想像するだけで…
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◆プカプカより◆ (◆チャマさんへ)
2011-05-30 00:18:59
チャマさんお久しぶりです。
今もチャマさんエリアはあの辺なんですね。
あの鐘の音、ほんとに麓の町に聞こえることがあったらすごいなー
今の季節は山梨の低山が一番いい感じですよね。
新緑が早いし冠雪した富士山が間近だし^^
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Unknown (望月)
2011-05-30 21:33:35
以前コメントさせて頂きました
以来、覗かせてもらっています(笑)

富士山見て鼻血出す人(中断顔文字)初めて見ました♪
大ウケです(爆)

そんな楽しい人が登ってる山って
やっぱり素敵な山なんだと思います♪
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こころ (Jaikel)
2011-05-30 22:46:20
相変わらず心情表現が上手いですね^^
ついつい引き込まれてしまいます。
葉っぱもホントに綺麗で山や木の鼓動が
聞こえてきそうです♪
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◆プカプカより◆ (◆望月さんへ)
2011-05-30 23:08:07
大ウケって鼻血アイコンでですか?こんなんでいいのか…じゃあ貼っといてよかった^^;
こういうことでメリハリつけないと、暗いブログになるんです;;
杓子山のイメージアップになったみたいで(?)よかったよかった
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◆プカプカより◆ (◆Jaikelさんへ)
2011-05-30 23:10:50
そういうほめ言葉に弱いんです。画面の向こうでほくそえんでるプカプカです。
今回の山登りではあまり木々を見上げる余裕がなかったので、
葉っぱも景色も写真がとっても少ないんですよー
もったいないことをしました。
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