調べものをしていて、古い花の写真を見ているうちに、久しぶりに花のレポートを作ってみたくなりました。
2010年6月に八ヶ岳の硫黄岳・横岳を縦走した時に、横岳の稜線に咲いていたお花です。
◆山行レポート→2010年6月 硫黄岳・横岳【八ヶ岳】花の季節(1) - 山と葉っぱと猫が好き
硫黄岳はこの前年同月にも登っていて、山行レポートは未作成ですが、花レポートだけ作りました。
◆花レポート→2009年6月 硫黄岳の花[6月中旬] - 山と葉っぱと猫が好き
【今回レポートした範囲】硫黄岳北側の森林限界~硫黄岳~硫黄岳山荘~横岳(日ノ岳辺り迄)
6月の硫黄岳は高山植物の花がかなり少なめですが、硫黄岳山荘まで下った頃から少し様相が変わります。
山荘周辺は小屋で管理されたお花畑もあり、周囲の花はロープで保護されているので、大切に扱われていることがわかります。
◆ツクモグサに会いたくて◆
横岳の花といえば、なんといってもツクモちゃん!6月に登ったのは、ツクモグサに会いたかったからです。
とてもたくさんのツクモグサを見ることができました。ただ例年より開花時期が少し早かったらしく、この日はすでに見頃を過ぎて、枯れ気味でした。
(おまけに当時使っていたコンデジのiso設定を間違えてしまって、ざらついた汚い写真ばっかり)
ではでは。
●キバナシャクナゲ(ツツジ科)
夏沢峠から硫黄岳山頂を目指し森林限界に出ると、山肌をハイマツが覆います。そのハイマツの合間にキバナシャクナゲの群落が点在して花を咲かせていました。
キバナシャクナゲはこの時期の八ヶ岳ではよく見られるらしく、横岳に続く稜線までの間でたくさん見ることができました。
横岳稜線のキバナシャクナゲ
●イワウメ(イワウメ科)
登山道のすぐ脇に咲いているので、とても身近な感じがしました。
6月はまだまだつぼみがいっぱい。全部開花したら一面イワウメでいっぱいになりそう。
●コメバツガザクラ(ツツジ科)
一箇所くらいしか咲く場所が見つかりませんでした。
硫黄岳の山頂周辺になると花が見つかりませんでした。でもとにかく広い山頂なので、隅々まで探せばどこかにいたかなー。
山頂を過ぎて、硫黄岳山荘に向かいます。
●イワカガミ(イワウメ科)
登ってくる間の樹林帯でもたくさん咲いてました。イワカガミの分布域って亜高山帯から高山帯まで幅広いですね。
硫黄岳山荘にイワカガミがたくさん咲くお花畑があります。多少人為的な植生かもしれません。
硫黄岳山荘お花畑のイワカガミ群生
●コマクサの花茎(ケマンソウ科)
ぽつんとコマクサ。花の時期には早いので、つぼみになる前の花茎がちらっと。
●ウルップソウ(ゴマノハグサ科)
コマクサといえばウルップソウなんですよね。近くで咲いてるところをよく見かけます。同じ環境が好きな仲良しさん。
まだまだつぼみ。これからこれから。
●ハクサンイチゲ(キンポウゲ科)
大好きな花。硫黄岳山荘付近と、横岳の稜線にたくさん咲いていました。八ヶ岳では他に権現岳でも咲いてるのを見たことがあります。
ハクサンイチゲとイワカガミの群落(硫黄岳山荘のお花畑)
●ミヤマキンバイ(バラ科)
低山で見慣れたミツバツチグリやキジムシロの高山系。やっぱり高嶺に咲くあなたが好き♪
山荘を過ぎていよいよ横岳の稜線に突入。ここから先は花いっぱい!行く先々で小さなお花畑が…(*゚ω゚)
●オヤマノエンドウ(マメ科)
誰よりもたくさん咲いてたのがオヤマノエンドウ。稜線上のいろんな場所でまとまって咲いております。特に硫黄岳山荘から横岳奥ノ院までの道沿いが一番多かったかなー
高山植物のオヤマノエンドウに出会い、山野草に関心をもつようになって、やがて家のすぐ近所の公園に咲くカラスノエンドウを知り…順番が逆のような気もするけど、山のお花のおかげで身近な花も勉強するようになりました。
【関連投稿】
春の花みつけた | 草の花 3月・4月[千葉]
春の花みつけた | 木の花 3月・4月[千葉]
チョウノスケソウ、オヤマノエンドウ、イワウメ、ミヤマキンバイのお花畑
この色好きなんですよ~。わたしのスマホケースと同じ色^^
◆イワヒバリ
あっ、花じゃなかったw
●チョウノスケソウ(バラ科)
はじめてチョウさんに出会ったのがこの山でした。感動した~;;北海道や日本アルプスの稜線で咲く花にこんな身近なところで会えるとは…
●ツガザクラつぼみ(ツツジ科)

葉っぱはいっぱい見かけたので、これからどんどん咲き始めそう。
●ミネズオウ(ツツジ科)
かっこいい名前だ^^
●ウラシマツツジ(ツツジ科)
秋になると高山の稜線を真っ赤な草紅葉で埋め尽くす、あのウラシマツツジです。
●チシマアマナ(ユリ科)
高山帯にしか咲かない可憐な花。はじめまして。
オヤマノエンドウ、チシマアマナ、ハクサンイチゲ、チョウノスケソウの小さなお花畑
背景は遠く北アルプスの稜線です
●クモマナズナ(アブラナ科)
7月の北アルプスに咲いてるのを見たことがあります。
●イワベンケイ(ベンケイソウ科)
弁慶さま…(*´ `*)イワベンケイは八ヶ岳の権現岳でも咲いてました。
●ツクモグサ
それでは最後にツクモちゃん!雪解けが終わる前ころから咲き始める花。
この年は5月下旬から咲き始めていたそうなので、もうくたびれた様子…
毛がへたれてしまっているので、その魅力をお伝えできず残念ですが、開花したての頃はもっとふわふわしてるんですよーっ。和毛をまとった姿はまるで生きものみたいなんです。
ふわふわフェチのプカプカが惚れないはずないではないの。萌え~(*°∀°)=3
猫の耳を思い出す…(;_;)
【撮影失敗談:ツクモグサとおひさま】
冒頭に書いたiso設定ミス(高感度に誤設定されてるのに気付かず撮り続けていた)もありますが、ツクモグサの習性を考えずに歩いてしまったことも大きな要因でした。
ツクモグサは、陽光をあびないと花びらを閉じてつぼんでしまうらしいのです。
■撮影のタイミングは太陽が少し高く昇るころがおすすめ
横岳のツクモグサはほとんどが西側の斜面に自生しています。
この時は日の出時間に合わせて登り始めたため、朝の6時頃に群生地に着いた時は、西側の斜面にはまだ日が当たっておらず、ツクモちゃんは眠っている最中だったのです。
おねんねツクモグサ。。。それはそれでかわいい(*´ω`*)モキュ
そのことに気づいたプカプカは、横岳稜線をピストンして硫黄岳に戻る際の少しだけ太陽の位置が高くなったタイミングに、かろうじて花ひらく姿を撮ることができました。時間が足りなかった~
朝陽をあびたからってすぐ起きない子も、中にはおります…お寝坊さん。
太陽の光をあびて少しずつ花をひらきはじめたツクモグサ
うなだれているのはもう花期が終わる頃だから?
ツクモちゃんは太陽の光が大好きということ、時期は5月下旬から6月初旬ということ、それを覚えて次回の横岳山行に役立てねば…いつになるかしら。とほほ
●硫黄岳・横岳 稜線の花まとめ
3種類以外は全部横岳に咲いていました。種類だけで見ると少ない方かもしれないけど、これだけの高山植物が小規模で狭い稜線上にたくさん咲いていたことが、とてもすごいと思います。
◆横岳の高山植物◆
高山植物は北海道や日本アルプスの高山帯に咲きますが、6月の高山帯はまだ残雪がいっぱいあって、アイゼンを着けて長い雪渓を登ったり渡ったりする場面が多くて、気軽に行くことができません。
また、登山口に至るまでの交通ルートも開通してなかったり、山小屋もまだ営業してなかったりするので、リスクが非常に高くなります。
八ヶ岳の横岳は6月になるともう雪はありません。しかも関東近郊に近くアクセスしやすい上に、日帰りで登れます。
もちろん交通ルートは通常運行で、山小屋も営業しているから、ゆっくり安全に登ることもできてしまいます。
本来なら厳しい環境に咲くはずの高山植物が、比較的手軽に見ることができる、とっても貴重な山なのです。
※ツクモグサは、横岳以外では北海道か北アルプスの白馬岳に自生します。
参考にした図鑑