記憶のスクラップ・アンド・ビルド

当然ながら、その間にタイムラグがあり、
それを無視できなくなることこそ残念です。

トリチウム

2012年07月03日 08時58分14秒 | Weblog
インドの原発で事故が有り、点検作業員2人が放射性物質トリチウムを吸入したとのニュースが有りました。
6月23日、インド西部ラジャスタン州のラバトワタ原発。容態は不明。29日、インド原子力公社は「外部漏出はない」と発表。

そこで、トリチウムについて調べてみました。
かつての水爆実験によって大量に生じたこと、
現在は主に原子力発電で産出されていること、
そして核融合炉の核燃料として注目されていること、などを知りました。
以下、箇条書きに:

トリチウムは水素の放射性同位体(半減期12.33年)。
三重水素 (tritium: T、3H、陽子1+中性子2)、あるいはトリトンとも言う。
核融合炉の核燃料として注目されている。

酸化してトリチウム水 HTOとして存在し、一般の水H2Oと性質はほとんど同じ。
崩壊してベータ線を放射するが、エネルギーが弱くて人間の皮膚を貫通しない。
水蒸気、雨水、海水として存在し、体内に摂取されて体内被曝が問題。
水として体内に入り、リンパ球に染色体異常を起こす、と。

現在、地上に存在するトリチウムは、96京ベクレルと推定されている。
降雨中の濃度は、1~3ベクレル/リットル。
核実験が行われるようになるまでは、0.2~1ベクレル/リットルだった。
1954年のビキニ環礁水爆実験では、2京ベクレル以上が大気中に放出された。
その後、頻繁に大気圏内核実験が行われ、60年代の降雨中濃度は100ベクレル/リットルになった。

電気出力100KWの軽水炉を1年間運転すると、200兆ベクレルが蓄積される。
1990年の東海村再処理排水
1991年の美浜原発事故後の海水で、490ベクレル/リットル。

六ヶ所村では年間800トンの使用済核燃料を再処理する予定。
この場合、排水中に1.8京ベクレル、排気中に1900兆ベクレルが放出される。

1万ベクレルを含む水を経口摂取した場合、その実効線量は、0.18マイクロシーベルト。
1万ベクレルを含む水素ガスを吸入した場合、その実効線量は0.000018マイクロシーベルトになる。
最近の雨水でのトリチウム濃度を平均2ベクレル/リットリとしたとき、この水を1年間摂取すると実効線量は0.04マイクロシーベルトになる。

核融合発電の場合、電気出力100万KWの核融合炉を1年間運転するのに130キログラムのトリチウム(4,700京ベクレル)が必要になる。
その製造と取扱いの難しさも、核融合発電が50年経っていまだに実現していない理由のひとつだ、とか。


原子力資料情報室(CNIC: Citizens’ Nuclear Information Center)の
http://cnic.jp/modules/radioactivity/index.php?cat_id=1
が参考になりました。
YouTubeには「核融合をやればトリチウムが最大の被曝源になるだろう」とした小出裕章氏の解説
http://www.youtube.com/watch?v=gRxdmpmr5LY
などがありました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿