経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

難解! 3月期決算の読み方

2021-05-25 07:59:20 | 利益
◇ ソフトバンクの巨大利益が波紋 = 超金融緩和時代が終わりに近づき、株価は企業の決算をより重視せざるをえなくなった。そんなとき東証1部上場会社の3月期決算がほぼ出そろい、SMBC日興証券が集計している。それによると、1329社の純利益は前期比28.1%の増加。内訳では製造業が35.6%の増益、非製造業も20.8%の増益だった。コロナ不況にもかかわらず、非常に好調な業績であり「結構、結構」と言えるだろう。

だが非製造業に属するある1社を除くと、様相は一変する。非製造業全体の純利益は、前期比36.3%の減益に急降下。要するに製造業は好調だが、コロナの影響で非製造業は絶不調という現状を反映した結果となる。非製造業が大幅な減益となるため、1329社全体の利益も2.6%の減少となってしまう。「結構」どころの話ではない。

その1社とは、ソフトバンク・グループ。なんと4兆9879億円の純利益を計上した。トヨタの利益は2兆2452億円だったから、その2倍以上の利益を上げたことになる。ソフトバンクの巨大利益は、その大半が海外での投資会社の株高による含み益。したがって、これまでのところでは日本経済の成長に全く貢献していない。

これまで株価は、中央銀行による超金融緩和政策を頼りに上昇してきた。だが今後はもっと企業業績を土台にしなければならないだろう。そこでは株価と利益の関係、たとえばPER(株価利益率)などの指標が重視される。ところがソフトバンクを含めると、PERが低く出過ぎてしまう。テレビで専門家は「SB抜きの数字」を使って解説するのだろうか。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +46.78円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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今週のポイント

2021-05-24 07:38:09 | 株価
◇ 下値抵抗線が強い株価 = ビットコインなどの仮想通貨が大暴落し、FRBが緩和政策の終了時期に言及し始めた。これで株価は、上へは昇れない。だが下がっても、すぐに買いが入る。先週は日米ともに、こんな展開になった。ダウ平均は週間174ドルの値下がり。3万4000ドルが下値抵抗線となった。日経平均は233円の値上がり。こちらは2万8000円が抵抗線になっている。

仮想通貨の値崩れは、激烈だった。代表的なビットコインは1日で30%も値下がりし、4月の高値の半分になっている。株式市場は、これを仮想通貨バブルの崩壊と受け取った。市場にとってもっと衝撃的だったのは、FRBの姿勢が変化したこと。4月の政策決定会合では、多くの委員が「緩和政策の終了時期について、いつかは議論すべきだ」と主張したことが明らかになった。市場は「FRBが緩和終了についての封印を解き、地ならしを始めた」と受け取っている。

仮想通貨のバブル崩壊は、中国政府が金融機関に対して取り扱いを禁止したことがきっかけ。インド政府も同様の措置をとると推測されており、影響は尾を引きそうだ。FRBによる緩和政策の終了も、今後はその影を濃くして行く。したがって、株価の上値抵抗線は強くなって行くだろう。上にも下にも動きにくい傾向は、まだ当分続きそうだ。

今週は26日に、4月の企業向けサービス価格。28日に、4月の労働力調査。アメリカでは25日に、3月のFHFA住宅価格、4月の新築住宅販売、5月のカンファレンス・ボード消費者信頼感指数。27日に、1-3月期のGDP改定値、4月の中古住宅販売が発表される。

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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死者が語る コロナ肺炎の危険度 (62)

2021-05-22 08:11:14 | なし
◇ パンデミックは小康状態に = 新型コロナ・ウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、小康状態になった。日本時間21日時点で、世界の感染者数は1億4692万人、死亡者数は341万7982人。この1週間で感染者は445万人、死亡者は8万6159人増えている。ただ、この増加数は過去4週間にわたって確実に縮小した。たとえば4週間前に比べると、感染者は133万人、死亡者は7000人減少している。もちろん安心はまだ出来ないが、好ましい兆候であることは間違いない。

この1週間の死亡者数でみると、インドが2万8149人、ブラジルが1万3715人で、ともに前週をやや上回っている。しかしアメリカ・イギリス・イタリア・ロシアなどの各国は、すべて前週を下回った。特にアメリカは4404人でピーク時の6分の1に。イギリスは55人にまで減少。さらにスペインも360人にまで縮小した。インドとブラジルはまだ高水準だが、その他の国は落ち着きを取り戻したと言えるだろう。

日本の感染者数は70万5935人で、ついに70万人を突破した。この1週間の増加数は3万8377人。死亡者数は累計1万2079人、前週より763人増加した。感染者も死亡者も過去6週間、じりじりと増加している。その数は相対的に少ないが、世界のなかではインドやブラジルと同じ“増加組”になってしまった。

ワクチン接種の遅れが、最大の原因。だが政府の対策に問題があったことも否定は出来ない。北海道・岡山・広島に対する緊急事態宣言の発令も、専門家会議の突き上げによって決まった。東京・大阪などに対する緊急事態宣言も、今月末に解除できる可能性はほとんどない。オリンピックを強行して医療体制の崩壊を招く心配は、ほんとうに皆無なのだろうか。

       ≪21日の日経平均 = 上げ +219.58円≫

       【今週の日経平均予想 = 3勝2敗】     
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“異常”なのは マスコミ : 審議会のあり方

2021-05-21 08:09:05 | なし
◇ 頑張ったコロナ専門家会議 = 菅首相は先週14日夜、「緊急事態宣言に北海道、岡山、広島の3道県を追加する」と発表した。政府の原案は「岡山、広島など5県に、まん延防止等重点措置を適用する」というものだったが、夕方の専門家会議で内容が弱すぎると批判が続出。西村経済再生相がいったん会議を抜け出して菅首相と協議、専門家会議の主張を受け入れた。政府の原案を専門家会議が蹴ったことは、かつてなかった。このため多くの新聞やテレビが「異常な出来事」と論評した。

この専門家会議の正式な名称は、基本的対処方針分科会。主として医療専門家で構成されており、政府が招集した一種の審議会だ。審議会は各省庁がいくつも設置しており、たとえば総務省は14、内閣府は21の審議会を持っている。よく知られているのは財務省の財政制度審議会や経産省の産業構造審議会。各省庁は法律や条例の制定時などに審議会を開催するが、ここでも政府側の原案がひっくり返されることはまずない。

なぜかというと、役所側はまず主要な委員に対して根回しをしておく。なかに異論を唱える委員があっても、多数決や議長の裁定で反対意見を抑えてしまうからだ。これが審議会の実態だと言えるだろう。こうした実態を踏まえれば、今回のコロナ専門家会議の“反抗”は、正しい審議会のあり方を示した正常な行動だった。

審議会が各官庁の原案を覆すことは、ほとんどありえない。こうした異常な実態に、マスコミ側も慣れてしまった。だからコロナ対策という最重要な問題で、専門家会議が政府の原案を否定したことに驚いてしまった。それは“異常な”事態だと認識したマスコミの方が異常だったと言いたい。これを機に、各種の審議会も正常化するといい。

       ≪20日の日経平均 = 上げ +53.80円≫

       ≪21日の日経平均は? 予想 = 上げ≫
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置いてきぼりの 日本経済 : GDP

2021-05-20 07:58:10 | 景気
◇ いちばん遅い景気の回復 = 内閣府は18日、ことし1-3月期のGDP速報を発表した。それによると、年率換算した実質成長率はマイナス5.1%。緊急事態宣言の影響などで経済活動が抑制されたことを反映して、大きく落ち込んだ。民間による事前の予想よりも、悪い結果となっている。また20年度の成長率もマイナス4.6%で、戦後最大の落ち込みを記録した。

1-3月期のGDPは、実額で年率534兆円。コロナ前の19年7-9月期に比べると4%ほど低い。その内容をみると、やはり個人消費の減退が目立っている。年率換算では5.6%の減少だった。企業の設備投資も5.5%の減少で振るわない。一方、輸出は中国などの景気回復で9.7%の増加だった。

国際的にみると、日本の立ち遅れが歴然となる。どこの国でも、1-3月期はまだワクチンの効果はそれほど出ていない。それでもアメリカは6.4%のプラス成長、GDPはコロナ前の99%を取り戻した。また中国は前期比の年率にすると2.4%のプラス成長。ユーロ圏は2.5%のマイナス成長、コロナ前よりはまだ5%低い。イギリスは6%のマイナス成長だった。

したがって、ユーロ圏とイギリスはまだ日本と同じマイナス成長組。ところが4-6月期の見通しとなると、これらのヨーロッパ諸国はみなプラス成長に改善する。これに対して、日本は4-6月期もマイナス成長が続くという観測が強い。原因はワクチン接種なのか、政府のコロナ対策なのか、あるいは潜在成長力の低下なのか。詳細に検討してみる必要があるだろう。

       ≪19日の日経平均 = 下げ -362.39円≫

       ≪20日の日経平均は? 予想 = 下げ≫
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