経済なんでも研究会

激動する経済を斬新な視点で斬るブログ。学生さんの就職準備に最適、若手の営業マンが読めば、周囲の人と差が付きます。

不気味な 日米貿易交渉 (下)

2019-07-25 07:53:41 | 貿易
◇ 安保問題がからむと弱い日本 = これまでの交渉でアメリカ側がちらつかせている伝家の宝刀は、日本製自動車への高関税あるいは数量規制。日本の対米輸出は完成車と部品を合わせて、18年に5兆5000億円にのぼった。本当に規制されたら、日本のメーカーは壊滅状態に陥るだろう。このため日本政府もアメリカ産農畜産物の輸入増加や防衛装備の大量買い付けなどを提案、懸命に防戦している。

そんな折に、ジョン・ボルトン大統領補佐官がひょっこり来日した。国連大使を務めたこともある外交官の出身で、トランプ政権内でも群を抜く対外強硬派だ。河野外相や岩屋防衛相と会談、北朝鮮問題やトランプ大統領が言い出したホルムズ海峡を守る有志連合について話し合ったとみられている。したがってボルトン氏の来日は、表向き貿易交渉とは関係がない。

だが有志連合の問題は、日本にとって非常に厳しい。自衛隊の派遣は国内で議論を巻き起こすし、派遣すればイランとの関係が悪化しかねない。しかし日本が輸入する原油の64%が、ホルムズ海峡を通過していることは事実。それをアメリカに守ってもらうことになれば、何らかの対価を払わざるをえない。

その分が貿易交渉に跳ね返る可能性は、決して小さくはないだろう。ボルトン氏がそこまで言及したとは思えないが、結果的にそこへ落とし込まれることは十分にありうる。経済界はそうなることを憂慮しており、農家も自動車メーカーも息を凝らして見守っている。だから株価も上がりにくい。

       ≪24日の日経平均 = 上げ +88.69円≫

       ≪25日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

不気味な 日米貿易交渉 (上)

2019-07-24 07:04:06 | 貿易
◇ 参院選の結果を喜べない経済界 = 参院選では自民・公明の与党が圧勝。しかし憲法改正の国会発議ができる数には届かなかった。政治の安定性が保たれる一方で、改憲に伴うゴタゴタは回避された。経済界にとっては、最も望ましい結果に終わったと言えるだろう。だが市場には“ご祝儀相場”の雰囲気はなく、月曜日の日経平均は下落した。選挙後に出現するはずの難題に、身構えざるをえなかったからである。

中国経済の成長鈍化によって、世界経済全体にも暗雲が広がってきた。日本でも輸出が減り、生産が落ち込んできている。そこへ消費税の引き上げ。景気の先行きは大丈夫なのか。そんな心配が強まっているところに、選挙が終わると日米貿易交渉が表舞台に登場する。いよいよ、という感じだ。

本格的な日米間の交渉は、参院選が終わるまで棚上げされてきた。トランプ大統領が、参院選で「与党の不利にならない」よう配慮してくれたからだ。裏を返せば、これからは「与党の不利になるような」要求を突きつけるぞ、というようにも受け取れる。これまでの下交渉で、アメリカ側は自動車と農畜産物の輸入増加、それに為替条項の導入を強く要求してきた。

このうち農畜産物の輸入増加について、日本側は「TPP(環太平洋経済連携協定)で決めた水準が限度」と回答。アメリカ側は納得していない。選挙も終わったことだから「もっと譲歩せよ」というのが、トランプ氏の言い分だろう。こんどの選挙で自民党は東北地方の1人区で敗北したが、有権者たちが抱いたこの辺への疑念と関係があるのかもしれない。

                              (続きは明日)

       ≪23日の日経平均 = 上げ +204.09円≫

       ≪24日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

減益が増える 4-6月期決算

2019-07-23 08:22:13 | 利益
◇ 日米ともに株価の重しに = 今週からはニューヨークでも東京でも、企業の4-6月期決算発表が本格化する。調査会社やアナリストの予想を総合すると、減益となる企業の数が想定以上に多くなりそうだ。世界経済の減速を反映したもので、市場関係者は決算発表が進むにつれて減益傾向が強まることを警戒している。アメリカでは来週の利下げが確実視されているが、株価にとってはこの減益傾向の方が大きな重しになってきた。

アメリカの調査会社リフィニティブの予想によると、4-6月期の主要500社の純利益は前年比3%の減益になる見込み。1-3月期の1%減益に次いで、2四半期連続の減益になる。理由は米中貿易戦争、世界経済の鈍化傾向、それにハイテク需要の減少など。だが決算発表は、まだ始まったばかり。これから発表が進むにつれて、減益幅は拡大する可能性があるという。

日本の企業業績も、同じような傾向にある。少し前までは、4-6月期の純利益は前年並みという予想が大勢を占めていた。ところが中国の成長鈍化が長引き、2月決算の内容が予想を下回ったことなどから、4-6月期の予想も悪化してきている。なかには2ケタの減益になるという見方も現れた。

日本の場合は、アメリカよりも中国経済の影響を受けやすい。また円高に対する警戒感も強まっている。さらにイランを巡る緊張の高まり。10月からの消費増税。そして財政・金融面からの景気対策に、手詰まり感が強いこと。こうした独自の要因も重なって、株価の戻りが極端に遅くなっている。今週から始まる決算発表では、個々の企業だけでなく、全体の利益率を注視することが重要だ。

       ≪22日の日経平均 = 下げ -50.20円≫

       ≪23日の日経平均は? 予想 = 上げ≫

今週のポイント

2019-07-22 07:51:33 | 株価
◇ 市場の関心は企業業績に = ニューヨーク市場の株価は、浮揚力を失ったようにみえる。週初には上げて史上最高値を更新したものの、あとは売られた。ダウ平均は週間178ドルの値下がり。FRBによる利下げを材料に最高値は更新したが、始まった4-6月期の決算発表が想定されたよりも悪い。利下げは織り込んでしまったために、こんどは企業業績の動向に心配が集中し始めたようだ。

日経平均も先週は219円の値下がり。木曜日には423円と4か月ぶりの大幅安となったが、金曜日には反発してその下げをほぼ取り戻した。大きく下げると割安感が出て、下値を拾う動きが活発になる。ただ日本株の場合は、アメリカの利下げで円高傾向が強まることへの警戒感から抜け出せない。

イランを巡る情勢が、ますます緊迫化してきた。この問題はニューヨーク市場にはあまり響かないが、東京市場は敏感にならざるをえない。また日本でも4-6月期の企業決算発表が始まるが、こちらの見通しも良好ではない。参院選の結果が株価に影響する可能性は小さいが、市場は今週も様子見を続けるのではないか。

今週は25日に、6月の企業向けサービス価格。26日に、東京都区部の消費者物価。アメリカでは23日に、5月のFHFA住宅価格、6月の中古住宅販売。24日に、6月の新築住宅販売。26日に、4-6月期のGDP速報が発表される。なお23日には、イギリス保守党の党首選挙の結果が公表される予定。

       ≪22日の日経平均は? 予想 = 下げ≫

とうとう出た 手放し運転自動車

2019-07-20 08:16:56 | 自動車
◇ 事故の責任はだれが負うのか = 日産自動車は16日、高級セダン「スカイライン」の新型モデルを9月に発売すると発表した。このうちのハイブリッド車は「運転者が直ちにハンドルを操作できる状態なら」という条件付きだが、高速道路での手放し運転が可能だという。価格は547万ー632万円。他のメーカーも、同様の手放し運転車を次々に発売するとみられている。

手放し運転車の走行には、道路交通法など関連する法律の改正が必要だ。このため政府はいち早く、先の通常国会で改正案を成立させている。ところが、この改正案が何とも判りにくい。ふつうの法律は厳格な言葉が並んでいて難解だが、この改正法は表現が曖昧で判りにくい。高速道路を走行中に、運転者は「直ちにハンドルを操作できる状態にあること」が、条件だとは書いてある。

しかし具体的な事例として「携帯電話の送受信やメールの発信、スマホの操作や読書、テレビの視聴」はしてもいい。だが「睡眠や飲酒」はダメだという。ここで大きな疑問が発生する。スマホをいじっていたり、読書をしていて「直ちにハンドルを操作できる」だろうか。何秒かでもハンドル操作が遅れれば、それだけ事故の確率は高くなる。

車線変更した車が前方に割り込んできて衝突。こちらの車では、運転者がスマホでゲームに熱中していた。でも法律違反はしていない。いったい事故の責任は、割り込んだ車にあるのか。それとも手放し運転をしていたドライバーにあるのか。あるいは事故を避けられなかった車のメーカーにあるのか。首をかしげない人は、いないだろう。

       ≪19日の日経平均 = 上げ +420.75円≫

       【今週の日経平均予想 = 4勝0敗】   

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