ぽよん日和

日々の小さなしあわせ・・・

お帰りなさい・・・

2006-04-21 14:56:36 | Weblog
今日、2年半ぶりに父の遺骨が帰ってきました・・・


父は、あたしたちが入籍して間もなく亡くなってしまいましたが(ぽよん日和:お別れ・・・

生前の本人の希望で北九州の大学病院に献体されていました。



父が亡くなった翌日がお通夜で・・・

翌々日には、献体のために大学病院のお迎えが来たので

遺影だけが実家に残り、お葬式はしていませんが

初七日と四十九日、一周忌、三回忌などの法事をすませています。


そして今日やっと2年半ぶりに献体した大学病院で

遺骨の返還式と文部科学大臣感謝状の伝達式があり

県外に住む年老いた母の代わりに遺族の代表として参加してきました。


もう父が亡くなって2年半も経つので・・・

悲しいと言う気持ちが前面にあふれ出すことはなかったのに

父の変わりに文部科学大臣の感謝状を受け取るため

父の名前が呼ばれて大学の学長さんの前に立ち

感謝状を読み上げていただいて受け取るまでの

ほんの少しの間に涙がたくさんたくさんあふれて・・・

学長さんの「ありがとうございました。」という言葉に

やっと「お父さん、良かったね。」って思うことができました。



まだ父が元気だったころ・・・

突然、両親ともに亡くなった後は

大学病院に献体するつもりだと聞いて・・・

まだ若かったあたしは、とても反対しました。


今から10年以上も前のことだったので

まだ自分の親が亡くなるということに実感もなく

とにかく亡くなってお葬式も出来ずに

見ず知らずの学生にその身体を切り刻まれるということが

理解できず、許せなかったのです。


それからしばらくして両親ともに献体の手続きが終わったと

母から連絡がありましたが・・・

両親自ら決めたこととはいえ、あたしには自分でもよく分からない

寂しさと不安とが入り混じった釈然としない気持ちがありました。



でも父が亡くなったときは、そんなことを考える余裕もなく

生前の父の意志を尊重して大学病院に送り出すことが出来ました。

送り出すその瞬間にあんなに父の意思を尊重したいと

そう強く言っていた母がお迎えの車にしがみついて

父との別れを惜しむ姿が今でも目に焼きついています。


そのときのあたしは、ただ母の手を取って

「お母さん、もういいよ・・・。」と言うことしか出来ませんでした。



けっしてとっても仲が良いという感じの夫婦ではなかったけど

それまでの夫婦としての42年間・・・

あたしたちには分からないところで

強い絆と愛情で結ばれていたんだなと改めて思いました。



その4ヵ月後、年が明けて挙式もすませ・・・

新婚旅行に行く途中の空港でだんな様が鹿児島転勤の辞令を受け

その1年3ヵ月後には、こうしてだんな様の実家もある

北九州に帰って来ることが出来たわけですが

父が献体していた大学病院もこの北九州にあり

しかも社宅からも近かったのです。



実は、最初の父の献体の予定では

もう1年くらい早い時期に遺骨が帰ってくる予定でした・・・

でもなぜか大学の解剖の授業の予定が延びて

今日、こうして帰って来ることになったのです。


父が、あたしが迎えに行きやすいように

力を貸してくれたのかもしれませんね。



父にとっては、まだ実家に戻ったわけではないので

娘の家に遊びに寄ったっていう感じなのかもしれないけど

来週の27日には、実家に連れて帰る予定です。


そしてゴールデンウィークの29日には

やっとみんなで納骨式をしてあげられるのです。




やっとゆっくりできるね・・・ 

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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ステキなご両親☆ (りりこ)
2006-04-21 16:01:24
poyonさんこんにちは

今日はおつかれさまでした

poyonさんのご両親・・・ステキですね

私はそう思います。

きっと臓器移植にも通じる話になると思うのですが、

全身全霊を込めて人間を人類のことを想っていたのでしょうね。

またひとつ教えられたような気がします



来週の帰省はゆっくりされて来て下さいね

きっとお父様は、poyonさんの元へ立ち寄りたかったんですよ
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Unknown (Maami)
2006-04-21 16:17:11
また来てしまいました

本当に素敵なご両親ですね。

献体すると直後にいわれたら

たとえ本人の意思でもやはり同じように

辛いだろうと思います。

でも、こぉやって自分の体で

何か分かればという心が素敵です。

体はなくなってしまっても

研究の1つだとしてもそこに存在してる

わけですもんね



きっとpoyonさんのところで

「やっと帰ってきたぞ~」って

言ってるかもしれませんね。



それと・・poyonさんのブログリンクさせて

頂いてよろしいですか???? 
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この世に残すもの (fatherfather 改め 父父)
2006-04-21 18:18:02
読んでいて切なくなりました。

不謹慎かもしれませんが一昨年、自ら命を絶った友人を思い出しました。彼がそれを選択した理由は未だわかりません。ただ1つはっきりしてることは彼は悲しみだけを残していったことです。彼の父親が涙ながらに最後の挨拶をした時、正直偲ぶ気持ちどころか怒りすら覚えたほどです。ほんとにそこは悲しみだけしかありませんでした。

poyonさんのお父さんは有形の肉体から無形の知識へと形を変えて残っています。しかも将来日本のどこかでその知識によって救われる命があるかもしれません。魂だけでなく知識としてこの世に存在することはとてもすばらしいことだと思います。お父さんも一役終えてほっとしてることでしょう。
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りりこ さま (poyon)
2006-04-21 19:48:18
りりこさん、こんばんわ~

ありがとうございます

あたしも父があたしがうまく迎えに行けるように

準備してくれてたんだと思ってます

自分の親ながらあたしには真似出来ないスゴイ人だったんだなと思いました
返信する
Maamiさま (poyon)
2006-04-21 20:03:12
Maamiさん、ありがとうございます

そうですね・・・もうこの世に身体はないけど

この先の医学の道の一筋になったのだと思えば

父の生きていた証がどこかに存在しているんですものね

そう思うとちょっと嬉しい気がします



それからリンクしていただけるということでありがとうございます

あたしの方でもMaamiさんのブログをブックマークさせて頂きたいのですがよろしいですか

よろしくお願いします

返信する
父父さま (poyon)
2006-04-21 20:35:19
父父さん、ありがとうございます

お友達の不幸は、想像の域を越えませんが・・・

お友達を亡くして悲しむご家族や父父さんやたくさんの人たちに気付けなかったことが

いちばんの不幸だったのかなと思ってしまいました。

ご家族のどうしようもない悲しみが時間の流れの中で少しでも少しずつでも和らいで欲しいですよね。



父父さんにもこんな風に言っていただけると父の生きた証がホントにどこかに

残ってるんだなって思えて嬉しい気がします
返信する
素敵なお話 (vagabond67)
2006-04-21 23:10:53
poyonさんの文章を読んで,お父様の慎ましやかでありながら潔い意思を強く感じました。

お父様の決意は,まさに「陰徳」だと思います。

派手なこと,格好のよいことは誰でもできますが,献体という人に表立っては知られない行為は,なかなかできないことだと思います。

しかも,その行為は,確実に他の人の役にたちます。

poyonさんはじめご親族の方々の心情には複雑だったと思いますが,私はお父様に純粋に尊敬心を抱きました。



私は,子供のころ,医師になりたいと思っていた時期がありました。

能力的な問題等色んな事情があり,別の職業に就きましたが,本当に人のために役立つ仕事をしているのだろうか,と考え込んでしまいました。

私も私なりに頑張ります。
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帰ってきたんだね (ooneko-yome)
2006-04-21 23:23:22
『お帰りなさい』って言えたね。本当によかった。

ご両親はとても立派な事をされてるんだと思います。

その一方で釈然としないpoyonさんの気持ちもとても分かるよ。

でも、こうやって娘の手に帰り来週は実家へ戻り何もかもが

治まるような気がします。

あたしは偶然の一致を信じる方なのでやっぱりお父さんの力が

どこかで働いてると思ってます。

今はとにかく良かったな~という気持ちで一杯です。
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vagabond67さま (poyon)
2006-04-22 08:27:35
vagabond67さん、ありがとうございます

そう言っていただけるとホントにこれで良かったんだと今さらながら父の意思を理解し

あたしには、到底真似の出来ないその潔さに

父の生前には、気付くことの出来なかった父という人の在り方を知ったような気がします。

ホントにありがとうございます。



人の役に立つということは、簡単なようでとても難しいことにも思えますが・・・

世の中は、いろんな人がいることで成り立っていて、みんな何処かで誰かの何かの役に立っています。

そして自分の出来ることを一生懸命するということがそこに通じることなんじゃないかと思います。

ただこの一生懸命っていうのが実は、いちばん難しいと実感しているpoyonです
返信する
ooneko-yomeさま (poyon)
2006-04-22 08:41:53
yomeちゃん、ありがとうございます

ホントにきっとこのタイミングで帰って来れるようにしてもらったんだなって思うよ。

実は、昨日だんな様の夏の異動の本人確認があって

やっぱり7月に何処かに動きそうなの

あたしは、きっとお父さんを迎えに行くためにここに1年居させてもらったんだろうなって思うよ。

だんな様の実家も近くていつも転勤で遠くにいるから

今まで出来なかった親孝行もちょっとは、出来たし・・・

これもお父さんの親心かなって思ったりしてます



いつまでも親ってありがたいね
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