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おおかみこどもの雨と雪 父親の死因に関しての勝手な考察

2016-02-21 01:00:21 | 日記
これはずっと疑問だったのだ。雨と雪の父であり、花の事実上の夫である人物「おおかみおとこ」の死因である。

この事が実は、堅実に生きてきた花が、突如、彼を受け留めた上に、貧乏な暮らしに関わらず、まるで急ぐかのように雨や雪を自宅出産してまで産む事になったのか、その全ての起因だと思う。この父の死因に全ての原因があると思うのだ。

つまり、私が思うに、あの「おおかみおとこ」は死期が迫った個体だったのではないか?という事だ。

見た目は若そうだったが、狼の寿命は30~50年程度と言われる。出会った頃には、花は大学生。「おおかみおとこ」はそこに潜って授業を受けていたワケだが、高校とかを出て、すぐに潜ったとは思えない。

悩みに悩んでの決断だったろうと思う。

彼自身も、花に自分の事の多くは語らなかったとあるのだが

彼は「語らなかった」のではなく「実は自分もよく分かっていなかった」のではないだろうか?

人間に変異する事は知って居ても、具体的なところは曖昧に教わったのだろうと思う。そして、彼の両親の存在がない事から。

本当は、人間としては物凄く短命なのが「おおかみおとこ」の血族、その宿命ではなかったかと推測するのだ。

早くに両親を亡くし、その死因を知りたい一心で、大学に潜ったのではないか?

少しでも寿命を延ばす方法を知りたかった、そんな強い気持ちがあったのだろう。ただ知りたいだけなら、図書館に行けば済む話なのだ。わざわざ大学に行ったのは、最先端の科学の助けを、彼が求めたからではないのか?

しかし「おおかみおとこ」という存在すらない、学問の世界に何の救いもないと諦めていた頃に、花と会ったのだろう。

残り時間のないと悟っていた彼は、花と付き合いながらも、葛藤していたはずだ。

このまま、死を受け入れるか、それとも、生きた証を残し、花に託すのか。その決断に大いに迷ったと思う。そして彼は、どちらも選べなかった。

だから、花の前で変化して見せて、彼女に運命を託したのだ。

もし、恐れて逃げたのならこのまま死のう。

でも、受け入れてくれるのなら。彼女に残った時間の全てを捧げようと思ったのだろう。

そして雨と雪は生まれた。残り時間がどれだけかも分からないから、彼は急いだし、それを花は知らされなくても、その強い覚悟の宿った決意を感じ、受け入れたのだと思う。

そして、その時は来たのだ。

だから免許証や財布を残し、急ぎ去った。死ぬのを見られる事を、本能的に嫌ったのだろう。私も最初「彼」の死を見た時に、鳥の羽根もあった事から「狩りに失敗して、射殺された」と思っていたのだが。

もし、そうならあの死体を片付ける時に、武装した警官たちが大勢、居てもいいはずだ。もっと大騒ぎになっていただろう。あの「羽根」は、実は巧妙に仕組まれた「監督の視線誘導」ではなかったかと思うのだ。

「おおかみおとこ」が、実は凄く短命だと観客に簡単に知られてしまえば、残された「おおかみこども」も短命だと悟られてしまい、この物語は悲劇になってしまう。

悲劇ではなく、生き抜く尊さを語りたいが故に、監督はあの羽根を添えたのだろう。

もし、私の想像が正しいのであれば、何故、花が彼が亡くなった後もあれだけ頑張れたか、説明が出来るのだ。娘が語り口になっている事から、彼女自身は娘に口に出して言ってないのだろうが、きっと花も、短命なのだろうという事を悟っていたのだ。

短い人生の可能性のある子らに、精一杯の祝福を送りたいと、死にもの狂いで頑張るのは、誰でもとまでは言わないが、親なら割と起こりうる気持ちだ。

だから、最後、彼女は山へとゆく息子へと、精一杯の声で叫ぶのだ

「生きて!」と。

人生は長いようで短い。精一杯に、生きる事。そう考えると、この映画がより深みを増して、私には感じられる。勿論、これは私の個人論だ。

私はそうして、酔いしれていたいだけなのである。

1 コメント

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Unknown (omi)
2021-07-03 22:32:08
すごく納得できました
ありがとう

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