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劇場版シティーハンター 天使の涙 感想

2023-09-10 08:51:14 | 日記
酷かった。あれが無料公開される、TVのスペシャルドラマとしての作品であれば、違った印象は持ったかも知れない。
レイトショーで妻と見て。安い金額で済んだから、まだ正気は保っているものの。

あれは何を評価すべきか、全くわからない。伝わってこない。私、30年以上の映画ファン生活の中で。

たぶん。歴代トップ10に食い込む酷い映画だった。

話の内容も眠い。刺激に乏しい。何の共感性もなく、おっと驚かせる達者な演出もない。ただダラダラと話がずっと流れる。

演技が酷い。オリジナルキャストが既に高齢なせいかと思われるが。すまないが、我々は高齢者支援の目的で視聴にきたわけではない。
ちゃんと商品としての映画を視聴に来たのだ。玄田さん以外の演技が、とんでもなく落ちていて酷い。呂律が回っていないのを誤魔化せてもいない。

誤魔化す気すら失せたような、開き直り感すら感じた。これで音響や監督はOKを出した事自体。人間としての良心を疑う。
確かにこのアニメの制作に関わった人たちは、レジェンド達に敬意を払えているかも知れん。仲良くなれただろう。

しかし、仕事は仕事なのだ。お金を視聴者から取る映画なのだ。とにかく酷い。キャラはキリっとしているのに、口調はまるで酔っ払い午前二時。
ヘベレケだ。そのくらい呂律が回っていない。

一番の憤慨点はデッサンの狂いがとにかく酷い。

ここを昭和初期に戻してどうする?途中から帰ろうかと言いかけた程だ。視聴に値しない。
よく見てもらえばわかるが、物語後半のアンジーの顔のアップ。キメのシーンでデッサンの狂いが酷い。顔の左右でパースが微妙に違う。口元の位置もおかしい。
鼻のラインも毎回違う。指の描写もとにかくおかしい。筋肉の付き方、骨格、衣類のたるみ、着こなし。全てデッサンとして素人レベル。

最も酷いと目で見てわかるのが、キメのシーンでアンジーが冴羽にコルトパイソンを構えるシーンがあるのだが。

もうコルトパイソンってシティーハンター放映されて以来の、銃のメインキャラじゃない?ここが昭和初期アニメレベルまで描写が酷い。
デッサンが狂ってるってレベルじゃない。全然別の、見たこともないピストルになっていて。既に呆れかえっていた。

弾の大きさも。冴羽の装填する弾の大きさがシリンダーに対して357マグナムの大きさじゃない。あの小ささは22口径並みだ。

何でわざわざ現代でさ。ここまでアニメが進化し続けて。
まだ歩みを止めるような時代でもないのに。
退化させてみせたのか。監督の意図、真意が汲めない。

これは1980年代公開作品をリバイバル上映していますって作品なら、容赦できる。

令和の時代で作る作品ではないし。
少なくとも映画として公開すべきレベルではない。

この映画の声優さんが、既に高齢だとかそんなん知ってる。レジェンドだ。しかし。既に演技が視聴に耐えられるレベルではなくなっている。
まるでレジェンドの為に同窓会映画を記念に作りました、お客さんの支払ったお金は打ち上げの飲み会と、レジェンドたちが今後、大病を患った時の義援金にしますって触れ込みで作られた映画なら憤慨しない。

しかし。だ。そういう作品ではない。
ちゃんとした商業公開映画だ。
映画館で今年も色んな作品、大作も流れた。その同じ土俵で公開すべき作品ではない。

例えばだ。
映画ドラえもんが初めて劇場版が企画された時に、億の予算が組まれた。その当時はその額だけで話題になった程の金額だ。
別にお金が余っていたって話じゃない。
映画館では、色んな大作も公開されていて、そこで子供向け作品を流すにせよ。

ドラマや動画、子供向けという条件を除いた全てのレベルで見に来るお客さん全てを満足させなければ、やる意味がないって粋な配慮からだ。

そこまでやれ、とは言わん。

多少のデッサンの狂いは大目に見るが。
音。絵面。ストーリー。一貫して「映画としてやる気を持って作った作品である」とは到底思えない仕上がりだった。

これでシティーハンターファンって奴が褒めたたえるなら、それも良かろう。
苦言など言わない。このレベルで拍手喝采ならむしろ喜ばしい事だ。それなら今後、どんな酷い映画を見ても何でも褒める事が出来る。

私がメガホンを取った作品で、きっと称えてくれるだろう。

そういった意味では喜ばしい映画だ。
今後、同じ勢いで全ての映像作品がレベルダウンしてゆく一方ならば。

世界はずっと優しくなれる。上を目指さないのなら、せめぎあう必要などない。プロだとか要らなくなる。

しかし私は。
ずっと息もつかせんハイレベルで攻防を繰り広げる作品たちを映画館で見たいし。
事実、色んな優れた作品がこの何十年かでも出て。

たくさんのお金を、映画の為に注ぎ込んできた。

その事の結果が、今回の映画のような事ならば。
私の行為は、ただの愚行であったのだし。
これまで作られた優良な作品は、全て意味がなくなるだろう。

私は優れた作品というから、観に行ったのだ。
シティーハンターを見に行ったのではない。
シティーハンターという題材で、優れた映画を撮ったから見てくれって事だから、行ったのだ。

見れば全ての面で、酷い退化をした化け物のような作品だった。まるで妖怪だ。
これがシティーハンター愛の結果なら。
こんなもんに染まらなくて良かったと安堵した作品だった。

個人的な意見だがね。

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