巻頭写真 : ポー・ルイの岬の先端に突き出す城塞『Citadelle de Port-Louis』
荒海と信仰とケルト文化と古代巨石文明と
フランスにあってフランスではない異世界を訪れる
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「ロリアン」の対岸に突き出す小さな岬の町
『Port-Louis ポー・ルイ』
をご紹介します
Photo by @GoogleMap
「ポー・ルイ」の一番先端に
「ヴォーバン型の城塞」がある
ちなみにそこから真北の小さな島に向き合う緑色に塗られている場所が「ロリアン」
何か書いてあるところが「潜水・潜水艦博物館」
Photo by @Bretagne.com
町は海水浴客で賑わう
町の雰囲気も開放的でとても良い
『Eglise Notre-Dame de l'Assomption 被昇天の聖母教会』
泉
しかし
この町は何と言っても「海と城塞」で成り立っているのです
二番目の跨堀橋
大手門
大火薬庫
小火薬庫
実は
現在この城塞の中は『インド会社博物館』になっている
16世紀は大航海と発見の時代
17世紀になるとアフリカ航路で東廻りで東洋貿易を拡大し
ポルトガルとイングランドと
新たに海外貿易経営に参画してきたオランダなどと競って
利益を確保するために
各国は挙ってインドに出先機関としての代表部を開設していった
いわゆる『インド会社』
フランスは1653年ルイ14世の宰相コルベールによって創設され
東北インドの「シャンデルナゴール」に進出
18世紀に入ると『東インド会社』と組織改編する
そのフランス本部が
ここ「ポー・ルイ」に置かれたのです
従って
この場所が『(東)インド会社博物館』となった
博物館としての展示内容は
設立者や運営責任者などと船団を率いた提督や出先の管理責任者など
人物紹介と来歴の資料と説明
輸送手段であった艦船の種類や特徴と建造方法及び経歴と模型の展示
アフリカ・アラビア半島・インド・中国ごとの
交易内容と取り扱った製品などの資料と説明と展示
などが中心
甲板と船倉の構造と荷積の様子
船舶建設の様子
以下は中国の工芸品と物産
中国製のシルクで作られたドレス
オランダ東インド会社のロゴ入りで発注された磁器の壺
アラビアの工芸品も
そして日本も少し
アフリカも
アフリカの金細工『奴隷を斬首する権力者』
そして
時代を超えて貴重な商品は香辛料だった
香料
大西洋横断以前は
シルクロード経由で運ばれる「胡椒の1ポンドは金1ポンド」と言われた
大西洋横断に成功したスペインが中南米の胡椒を独占
それに対抗するために各国は
アフリカ回りインド洋経由の新ルートを開発
一気に香辛料が手に入りやすくなったとはいえ
依然として高価で利ざやの大きい商品だった
17世紀後半からアラビア経由で西欧も
「コーヒー」「茶」「ココア」
を飲むようになり
お茶の輸入合戦も激しくなってゆく
そのような背景で
船団を組織できる大船主は
戦時にあっては王室海軍に組み込まれて提督として働き
平時では
航路で出会った他国の輸送船を襲って富を稼ぐことを
国王から「特許状」」を得て常態化していた
イングランドの『ジョン・ドレイク』や
フランスの『ロベール・シュークゥ』などは有名
イングランドもポルトガルもスペインもオランダも同じことを行って
それらの武装輸送船を『私掠船』とよぶ
北ブルターニュの「サン・マロー」や「ロスコフ」を拠点に
私掠船が活躍したことはすでにご紹介した通り
『Boulongne Fuite ブゥロンニュ・フュイット号』
『Beaumon ボーモン号』
『Le Soleil d'Orient 東洋の太陽号』
上の三隻は名高い私掠船(高速フリーゲート艦)の模型
これらの戦斧は
他国船に乗り移って襲撃する際に用いられたもの
西アフリカでは
他部族を征服したがっていた『ダホメー族』に銃などを与えて
その代わりに
捉えた捕虜を銃の代金として受け取っていた
西アフリカの黒人を奴隷として新大陸に売るために運ぶ油槽船
一番下の船底と一つ上の甲板に
奴隷たちを「積む」やり方の図解
フランスには奴隷制度はなかったし奴隷もいなかったが
奴隷貿易で財をなした商人たちは存在した
南インド『ポンディシェリィ』の岸壁のフランス東インド会社の建物
嵐と戦う輸送船
伝聞と想像で描かれた「インドの風景」の壁紙
これも同じインド文様の壁紙
非常に興味深く
フランス人の異民族文化の工芸品への目利きの水準の高さがよくわかり
かつ資本主義の醜さと残酷さを教えてくれる博物館だと言える
建物を出ると城塞の城壁の周りを歩こう
ほぼ300度くらいは回れる
眺めが変わってゆくのを楽しむのも良い
城壁の「通用門」からビーチに出られる
よくぞ作ったり
と思えるほど広大な構築物なのです
そして
対岸から見るのも美しい
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