ネコと王様と私。

3匹のネコ(♀)と王様(夫)と暮らす私の、たわいない日常の話。

王様が泣いた日。

2010年11月13日 | 日記

王様が、泣いた。

家に帰ってきて、「ただいま」と言った後、私の顔をみるなり、まるで子供のように泣き出した。

 

実は、来週の月曜日から金曜日まで、王様は年に一度の長期休暇をとることにしていた。

久しぶりに、温泉にでも行きたいね、とか、映画もいいね、と、色々と話はしていたのだが、

体調が不安定な私としては、あれこれと計画をたてても、実際に予定通りに動けるのか、

楽しみにしている反面、ものすごく不安でもあった。

それでも、旅館の空室状況を調べたりしていると、だんだんと行きたいという気持ちが

大きくなってきて、今夜、王様が帰宅したら、旅館の予約をしようと思っていた。

 

それが、お昼に突然、「休暇は中止になった」と、王様から電話がかかってきた。

休暇が中止、しかも前々から申請してあったものが、今頃になって突然中止になるとは、

普通ありえない。ただ事ではない、何か事件が起こったということは簡単に想像できた。

何があったのか、聞きたかったが、仕事中の職場からの電話だったので、詳しい理由は

聞くことができなかった。驚いて、何だか急に全身の力が抜けて、暫くは動けなかった。

 

休暇が無くなって、残念だと思わないと言えば嘘になるが、実は少しホッとした気持ちも

あった。休暇が決まってから、毎日のように、休暇中に行きたい所や、したいこと、色々な

話をした。家事やら何やら、いつもいつも助けてもらっている私としては、できれば王様が

望んでいることを、実現させてあげたいと思っていた。体調が不安定な私としては、多少

無理することもあるかもしれないが、それでもできるだけのことはしたいとは思っていた。

だが、心の中には「本当に行けるのか?大丈夫なのか?」という不安感が常にあった。

だから、いまだに旅館の予約もできずにいたのだが、休暇が中止になった今となっては、

逆にそれが幸いしたという、なんとも皮肉な結果になった。旅行には、また行けば良い。

来週も、またいつもと同じ引きこもり生活(苦笑)。不安感も無くなって、なんだかホッとした。

 

急に驚いたり、ホッとしたりで、疲れがドッと出て眠くなったので、何もせずに寝てしまった。

王様からの「帰るコール」で起きたのは、9時前だった。あわてて夕飯の支度をしていると、

王様が帰ってきた。「おかえり~」と声をかけると、私の顔を見るなり「うっ・・・」と泣き出した。

その泣き方があまりにも尋常では無いので、私もいったい何があったのかと驚いてしまった。

すぐに話を聞こうかと思ったが、食事の支度をしている最中だったので、とりあえずスーツを

部屋着に着替えてもらい、あたふたしながら「今、話を聞こうか?先に食事する?」と聞くと

「食事・・・」と言うので、テーブルに運んだら、気が動転していたのか、汁はこぼすし、それを

拭こうとして中身もこぼすで、なんかもう、しっちゃかめっちゃかで、テーブルの上がエラいこと

になってしまって、一人でアワアワワーっと、てんてこ舞いしていたその間も、ずっとうつむいて、

しゅんとなっている王様・・・。あきらかに変だ。いかんいかん!こっちが落ち着かんでどうする!

気にはなるものの、なるべく普通に普通にと思いながら、気もそぞろでなんとか食べ終わり・・・。

 

「大丈夫?少しは落ち着いた?もう話せる?今、話したく無かったら、話さなくてもいいよ?」

顔が見えると、話しづらいかと思い、王様を抱くように肩に手を回し、背中をさすりながらそう言うと、

少しずつ、今日あった「休暇が中止になるほどの出来事」を話し始めた。

 

さすがに、内容は詳しくは書けないが、要するに、部下のパートさんがかなり大きなミスをした

らしく、それはもしかすると裁判にまでなるくらいの事なのだが、その上司である王様が全責任を

とらされ、叱責、休暇中止はもちろん、懲罰会議、賞与カットその他モロモロのペナルティー・・・。

そんな中、事の重大さを知ってか知らずか、当のパートさんは自分は無関係とばかりに、何も

無かったかのように食事に行き(王様は昼食抜き)、必死に事後処理する王様は、指示された

事をしたにもかかわらず、行き違いがあったりで、さらに叱責、お前が悪いとボロクソに・・・。

部下のミスは上司の責任、それは仕方ないとして、パートにしても、王様のさらに上司にしても、

仕事の内容をろくに把握していないヤツらばかりで、それ故にほとんどの仕事が王様のところへ

やってくるのが今の職場の現状。連日の残業、家に帰れば帰ったで、引きこもりの妻の世話・・・。

誰だって、ミスくらいすることもある。ミスはミス、王様にも責任はあるが、そこまで言わなくても・・・

ということまで、言われたり、されたりで、かなり悔しい思いをしたようなのだ。職場でも、帰りの

バスの中でも、涙が出そうなのを我慢して我慢して、家に着いたとたん、号泣してしまったらしい。

 

私は、話を聞くくらいで、何もしてあげられないのが悔しいが、幸い、私も昔、同じ会社にいたと

いうことで、普通の人よりは、というか、今の職場にいる人よりも、よっぽど私の方が詳しい知識が

あるらしいので(それもどうかと思われるが・・・。実際、そんな会社なのだ。だから私も病気になって

しまったくらいだし。私が一緒の職場に行って、王様の仕事を手伝えないのが歯がゆい(怒))、家に

帰ってグチった時も、事情をわかってあげられることが、せめてもの救いだ。

私に話したら、少しは気持ちが楽になったと言ってくれた。私も話を聞いて、ちょっと、安心できた。

いくらくらい、賞与がカットされるのか、わからないが、旅行に行ってお金を使ったと思えば良いさ。

裁判になっても、たぶん負けることも無さそうだし、裁判費用だって、自腹を切るわけじゃないし。

とにかく早く「いつもの元気でワガママな王様」に戻ってほしいな。(あ、ワガママは嫌かも(苦笑)

 

目が覚めると、全部夢だった、なんてことが、あったら良いのにね。


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