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ピエタリ・インキネン指揮 日本フィルハーモニー交響楽団

2023年05月02日 | pocknのコンサート感想録2023
4月28日(金)ピエタリ・インキネン指揮 日本フィルハーモニー交響楽団
第749回東京定期演奏会
サントリーホール


【曲目】
◎ シベリウス/クレルヴォ交響曲 Op.7
S:ヨハンナ・ルサネン/Bar:ヴィッレ・ルサネン/男声合唱:ヘルシンキ大学男声合唱団、東京音楽大学


インキネンの日本フィル首席指揮者として最後となる定期公演で、シベリウスの大作「クレルヴォ交響曲」を聴いた。これまでとりわけシベリウスで数々の名演を聴かせてくれたインキネン/日フィルの集大成とも云える素晴らしい演奏会となった。この交響曲は僕にとっては未知の作品だったが、終始熱を帯び、緊迫感に貫かれた演奏によって、近親相姦という危ういテーマを扱ったフィンランドの神話に基づく長大な音楽が、壮大なスケールで生々しく胸に迫ってきた。

日フィルの演奏からは常に能動的で熱いハートが感じられる。弦の瑞々しい艶は、官能的な美しい魅力を湛えて柔軟で伸びやかに歌い、木管の表現力や金管の重量感と安定感も申し分なく、全体が高い精度でパワフルに迫って来た。第3楽章のオケだけで表現される、兄妹の情事の場面はここに違いない!とわかる絶望的な恍惚感の輝かしいサウンドには目が眩むほどだった。

ヘルシンキ大学男声合唱団と東京音大の合唱も迫力満点。ホール全体に響き渡る歌声は野太く荒々しく、運命の無常さを情け容赦なく語り聴かせた。ヘルシンキの合唱団のなかにはいかにもツワモノ風の風貌の団員(ホントに大学生?)が散見され、視覚的にも訴えてきた。フィンランド出身の2人のソリストは実のきょうだいとのこと。ルサネン姉弟は、ワーグナー歌手を思わせる太さとパワーを具え、凄みすら感じる迫真の歌唱で聴き手を圧倒した。

こうした優れたオケ、合唱、ソリストを束ねたインキネンの手腕をあらためて思わずにはいられない。インキネンの指揮によって生み出される演奏は四肢が滑らかに連動して、しなやかでダイナミックで雄弁。壮大で尋常ならざる物語の核心を超リアルに表現した迫真の演奏を実現した。クレルヴォの自決を伝える合唱とオケによる最終盤の異様な盛り上がりと、演奏が終わったあとのしばしの静寂、そして万雷の拍手。最後は一般参賀となり、インキネンに沢山のブラボーがかかっていた。

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