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青木尚佳ヴァイオリン・リサイタル

2020年02月13日 | pocknのコンサート感想録2020
2月8日(土)Vn:青木尚佳/Pf:津田裕也
~フレッシュ・コンサート Vol.8~
越谷市中央市民会館 劇場


【曲目】
1.ドヴォルザーク/4つのロマンティックな小品 Op.75
2.クライスラー/前奏曲とアレグロ、愛の喜び、愛の悲しみ、美しきロスマリン
3.サン=サーンス/序奏とロンド・カプリチオーソ
♪ ♪ ♪
4.ショーソン/詩曲 Op.25
5.フランク/ヴァイオリン・ソナタ イ長調
【アンコール】
♪ クライスラー/美しきロスマリン

ヴァイオリンでは最優先で聴きたいと思っている青木尚佳さんのリサイタルだが、もう1年以上ご無沙汰していたところ、小品からソナタまでワクワクする名曲が並ぶリサイタルが越谷で行われた。

ドヴォルザークは、第一声から花咲く春の野をそよ吹く風が運んで来る暖かな香りを感じ、たちまち尚佳ワールドへ引き込まれた。青木さんはこの組曲の愛すべき名品たちを思いやりと愛情を込めて丁寧に紡いで行った。4曲目のメランコリックな歌から漂う孤独な吐息は、哀しみを訴えかけてくるというより、それを心の奥にそっと仕舞い込むよう。最後に用意されたクレッシェンドで歌われるモノローグが切々と胸に沁みてきた。

次はクライスラー。青木さんの奏でるクライスラーは自然で格調高く、ちょっとした目くばせが優しく心をくすぐる。津田さんのピアノのしゃれたリズム感や、さりげない合いの手の語り口にもときめきを感じる。喜びや哀愁の香りを漂わせる「愛の喜び」や「愛の悲しみ」、軽やかなダンスへ誘ってくれる「美しきロスマリン」、風格を持ち華麗で朗々とした「前奏曲とアレグロ」も忘れがたい。一昨年にリリースされたCDの収録曲の数々を実演で聴けたのも嬉しい。

ヴァイオリンが魅力を存分に発揮するサン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」とショーソンの「詩曲」では美音と鮮やかな筆さばきに魅了された。柔らかい筆に極彩色の絵の具をたっぷりと含ませて、極細から極太まで変化に富んだ筆致で自由自在に描画していく様子を見ているよう。どんなに細くなっても音の輝きと色彩を失わない弱音の美しさにはとりわけ心を奪われた。

最後はフランク。定番とも云えるおなじみの名曲だが、青木さんがリサイタルで取り上げるのは初めてとのこと。ピアノの序奏が気だるさを感じるほど緩やかに始まり、そこにヴァイオリンが柔らかく絡み付く。「牧神の午後の前奏曲」で有名な、「夏の昼下がりに牧神がまどろみつつ夢想する」というマラルメの詩が浮かんでくるような第1楽章と、力強く伸びやかに突き進んだ第4楽章が特に印象に残った。

最終盤の盛り上がりは上々だったが、今日の津田さんのピアノはデリケートなニュアンスは絶品だった一方で、ヴァイオリンと火花を散らすバトルのシーンでは控え目な印象を受けた。これはピアノがフルコンサートグランドより小ぶりの楽器だったことや、300名程度収容の小ぶりなホールにしてはデッドだった会場の響きなども影響していたかも知れない。

青木尚佳&ウェン=シン・ヤン デュオリサイタル 2018.12.4 武蔵野市民文化会館小ホール
♪ブログ管理人の作曲♪
「星去りぬ」~フルートとギターのための~
Fl:佐々木真/G:岩永善信

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