facciamo la musica! & Studium in Deutschland

足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

N響 2023年6月B定期(ジャナンドレア・ノセダ 指揮)

2023年06月26日 | pocknのコンサート感想録2023
6月22日(木)ジャナンドレア・ノセダ 指揮 NHK交響楽団
《2023年6月Bプロ》 サントリーホール


【曲目】
1.バッハ/レスピーギ編/3つのコラール
 「来たれ、異教徒の救い主よ」BWV659、「私の魂は主をあがめ」BWV648、「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」BWV645
2.レスピーギ/グレゴリオ風協奏曲
【アンコール】
 ♪ バルトーク/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ BB124/Sz.117~第3楽章 メロディア
 Vn:庄司紗矢香
3.ラフマニノフ/交響曲 第1番ニ短調 Op.13



N響の今シーズン最後の定期演奏会はジャナンドレア・ノセダの指揮。ノセダは、熱を帯びた豊饒な響きをオケから引き出し、全体を大きく包み込む柔軟で雄弁な演奏を聴かせた。

最初はレスピーギのアレンジによるバッハのコラールが3曲(またしても補聴器のハウリング音が)。「来たれ、異教徒の救い主よ」は、悠然とした歩みで奥行きと包容力のある歌がしっとりと奏でられ、深い祈りが伝わってきた。「目覚めよと呼ぶ声が聴こえ」では、金管の艶やかで雅な響きが神々しい光を放った。オーケストレーションを見せつけるのではないレスピーギの格調高いアレンジは、バッハが音楽に込めた祈りが生かされていると感じた。

続いてレスピーギのヴァイオリン協奏曲。初めて聴いた曲は、穏やかで静謐な空気に包まれ、奥底に熱を湛えた作品。ソロの庄司紗矢香は研ぎ澄まされたヴァイオリンで、次元を超越した揺るぎない世界を表現した。ヴィルトゥオーゾを華美に披露する場面は少ないが、庄司は全てを知り尽くしたように自信と確信に溢れ、常に落ち着いた態度で透徹とした美しさとみなぎる力強さで惹きつけた。小柄で、遠目にはカジュアルな服装の見た目からは想像できない大きな存在感を放つ庄司は、他を寄せ付けない孤高の境地に達していると云ってもいい。ノセダ/N響は、庄司と共に深くて長い呼吸をして、デリケートで熱っぽい演奏で庄司のヴァイオリンをエスコートした。

最後はラフマニノフの第1シンフォニー。これも初めて聴く曲だ。ノセダ/N響は、熱と技と歌心全開で気迫のこもった演奏を聴かせた。大失敗だったという初演、そしてその後の人気も2番には遠く及ばないが、若きラフマニノフが書いたこの曲は、緻密で調和が取れ、聴きどころも多い秀作だと感じたのは演奏が良かったからだろうか。ノセダ/N響は、滑らかで無駄のない機動性に優れ、音楽の全体像を力強く明瞭に描いていった。コンマスの郷古さんのソロや、木管(松本さんのクラ、吉村さんのオーボエ、神田さんのフルート)、ホルンなど、ソロパートの妙技も繊細で歌心溢れる表情を与え、この音楽を理想的な姿で聴かせたのではないだろうか。

優れた音楽だとは思うが、それにしても音が多い。終楽章では、盛り上がった頂点で銅鑼が打ち鳴らされ、余韻が静まったところで終演と思いきや、まだまだ終わらないしつこさは、ラフマニノフの面目如実といったところかな。銅鑼の一撃で終わった方がよかったのでは、なんて思ってしまった。

庄司紗矢香&ヴィキングル・オラフソン  2020.12.23 サントリーホール

ノセダ指揮 N響(ラフマニノフ/交響的舞曲ほか) 2018.11.15 サントリーホール

N響公演の感想タイトルリスト(2017~)
♪ブログ管理人の作曲のYouTubeチャンネル♪
最新アップロード:「かなりや」(詩:西條八十)

拡散希望記事!
コロナ禍とは何だったのか? ~徹底的な検証と総括を求める~
やめよう!エスカレーターの片側空け

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 中野りな ヴァイオリンリサ... | トップ | クァルテット・エクセルシオ ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

pocknのコンサート感想録2023」カテゴリの最新記事