6月8日(水)葵トリオ ピアノ三重奏の世界 ~7年プロジェクト第5回
~Pf:秋元孝介/Vn:小川響子/Vc:伊東裕~
~サントリーホール チェンバーミュージック・ガーデン 2025~
サントリーホール(小)ブルーローズ
【曲目】
1.ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第5番ニ長調 Op.70-1「幽霊」

2.マルティヌー/ピアノ三重奏曲第2番ニ短調 H. 327

3.ショスタコーヴィチ/ピアノ三重奏曲第2番ホ短調 Op.67


【アンコール】
♪ ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第6番変ホ長調 Op.70-2~第3楽章

またしても葵トリオが凄い演奏をやった。ベートーヴェン、マルティヌー、ショスタコーヴィチという時代も毛色も異なる3つの音楽どれをも、類まれなるパフォーマンスで聴き手を圧倒した。
ベートーヴェンの冒頭から、このスーパートリオは聴衆の心を鷲掴みにして離さない。この集中力、エネルギーは何なんだろう。3人はどんな場面でも一丸となって全身全霊で演奏に臨む。どこを切っても新鮮な果汁が吹き出すような飛び切りの瑞々しさとみなぎるエネルギーで音楽をリアルに届ける。全てが脈々と息づき、全ての音が輝き、パッションを放出する。かと思えば、「幽霊」の名の由来となった第2楽章などでは、弱音を奏でる3人の響きが、静止画を見るように息を潜め、別次元の静寂の色に塗り替わる。 こうした大きな振り幅、明暗のダイナミズムも葵トリオの持ち味だ。ベートーヴェンが天から降りて乗り移ったような演奏に終始引き込まれた。
次のマルティヌーでも葵トリオは同様のテンションで果敢に立ち向かった。全身全霊を投入しながら、それで演奏が荒削りになったり、乱暴になったりすることは決してない。どんなに激しくなってもアンサンブルは緻密で、ガッチリと組み合い、想像を絶する高次元での一体感を作り出す。乱高下するジェットコースターとか、荒れ狂う海に漕ぎ出す船とか、極限のスリルを味わっても、ジェットコースターや船から振り落とされることは決してない安定感を保っているところがまたスゴイ。
そんな葵トリオの凄さは最後のショスタコで極限状態まで達した。3人のなかで出来上がっている明確なショスタコーヴィチ像を最大限に表現するリアリティ。悲しみや絶望、怒り、皮肉さえも大真面目の本気度でストレートにぶつけてくる。
第1楽章の冒頭で伊東のチェロが奏でる高音の長いハーモニクスは、蜘蛛の糸のように細くて光沢があって正確無比。第2楽章で繰り広げる急激なクレッシェンドの連続にはめまいを覚えるほど。第3楽章は鎮魂曲。秋元が打ち鳴らすずっしりと重い和音の連続がもたらす悲痛と、小川と伊東が奏でる深い哀悼の調べ。そして第4楽章は不穏な空気の中で繰り広げられる天井知らずの壮絶なバトル。一瞬たりとも聴き逃すことのできないオーラを放ち続けたショスタコにもう言葉はない。この後のアンコールが、なんと幸福で喜び溢れていたことか。超体験とも云える演奏会をやってくれた葵トリオ、これからも聴き逃せない。
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【アンコール】
♪ ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第6番変ホ長調 Op.70-2~第3楽章


またしても葵トリオが凄い演奏をやった。ベートーヴェン、マルティヌー、ショスタコーヴィチという時代も毛色も異なる3つの音楽どれをも、類まれなるパフォーマンスで聴き手を圧倒した。
ベートーヴェンの冒頭から、このスーパートリオは聴衆の心を鷲掴みにして離さない。この集中力、エネルギーは何なんだろう。3人はどんな場面でも一丸となって全身全霊で演奏に臨む。どこを切っても新鮮な果汁が吹き出すような飛び切りの瑞々しさとみなぎるエネルギーで音楽をリアルに届ける。全てが脈々と息づき、全ての音が輝き、パッションを放出する。かと思えば、「幽霊」の名の由来となった第2楽章などでは、弱音を奏でる3人の響きが、静止画を見るように息を潜め、別次元の静寂の色に塗り替わる。 こうした大きな振り幅、明暗のダイナミズムも葵トリオの持ち味だ。ベートーヴェンが天から降りて乗り移ったような演奏に終始引き込まれた。
次のマルティヌーでも葵トリオは同様のテンションで果敢に立ち向かった。全身全霊を投入しながら、それで演奏が荒削りになったり、乱暴になったりすることは決してない。どんなに激しくなってもアンサンブルは緻密で、ガッチリと組み合い、想像を絶する高次元での一体感を作り出す。乱高下するジェットコースターとか、荒れ狂う海に漕ぎ出す船とか、極限のスリルを味わっても、ジェットコースターや船から振り落とされることは決してない安定感を保っているところがまたスゴイ。
そんな葵トリオの凄さは最後のショスタコで極限状態まで達した。3人のなかで出来上がっている明確なショスタコーヴィチ像を最大限に表現するリアリティ。悲しみや絶望、怒り、皮肉さえも大真面目の本気度でストレートにぶつけてくる。
第1楽章の冒頭で伊東のチェロが奏でる高音の長いハーモニクスは、蜘蛛の糸のように細くて光沢があって正確無比。第2楽章で繰り広げる急激なクレッシェンドの連続にはめまいを覚えるほど。第3楽章は鎮魂曲。秋元が打ち鳴らすずっしりと重い和音の連続がもたらす悲痛と、小川と伊東が奏でる深い哀悼の調べ。そして第4楽章は不穏な空気の中で繰り広げられる天井知らずの壮絶なバトル。一瞬たりとも聴き逃すことのできないオーラを放ち続けたショスタコにもう言葉はない。この後のアンコールが、なんと幸福で喜び溢れていたことか。超体験とも云える演奏会をやってくれた葵トリオ、これからも聴き逃せない。
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