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足繁く通う演奏会の感想等でクラシック音楽を追求/面白すぎる台湾/イタリアやドイツの旅日記/「ドイツ留学相談室」併設

タリス・スコラーズ

2007年06月07日 | pocknのコンサート感想録2007
6月7日(木)ピーター・フィリップス指揮タリス・スコラーズ 
紀尾井ホール
【曲目】
1. バード/天が喜び
2. タヴァーナ/慕いこがるるごとく
3. シェッパード/この聖なる儀式にあたり
4. パーソンズ/アヴェ・マリア
5. パーソンズ/おお、慈悲深きイエス
6. ビクトリア/レクイエム
【アンコール】
ロッティー/クルチフィクス


アカペラ声楽アンサンブルの大御所、タリス・スコラーズの歌でビクトリアの大曲「レクイエム」を聴けるという魅力的なプログラム。

演奏会の前半は比較的短い曲が集められた。ハーモニーの精巧さと柔軟な表現に感心して聴き入っているうちに、穏やかで静謐なアカペラの響きに気持ちよくなってそのうち時々半眠状態に… こんなことを想定して演奏会前にコーヒーを2杯飲んでおいた効果はどの程度あったのだろう。

しかし、後半のビクトリアでは、やっぱりこの曲自体の持つ魅力もあるし、コーヒーの効力もあってか、タリス・スコラーズの驚嘆すべきアンサンブルの世界を心行くまで堪能した。それはホモフォニーとしてのハーモニーの魅力と、声楽的ポリフォニーの魅力。

10人の声で作り出すハーモニーは、ピアノの和音などではあり得ない、本当にピュアーな響き。柔らかく自然な発声で穏やかに歌っていながら、ホール中にビンビンと共鳴するピュアーなハーモニー。ホール中に響くというよりも、ホールの壁も、聴く者の体まで一緒に共鳴しているようなすごい感覚。管楽アンサンブルのような濃い密度。自然倍音を聞き合い、そこにぴったりと声を乗せることで新たな倍音が生まれるといった相乗効果が、これほど別世界を思わせるような響きを作るのだろうか。本当にすごい。

そして、それぞれのパートがそれぞれに呼吸し合い、穏やかな大海原のあちらやこちらで海面がせりあがっては引いていくような、ポリフォニーの魅力。各パートがそれぞれに呼吸しつつ、それらは有機的につながってってひとつのダンスをしているようだ。そんなハーモニーと対位法が掛け合わされた魅力に満ち溢れた穏やかな大海に身を委ねて、得も言われぬ恍惚感を味わう。タリス・スコラーズにしかできないような音世界を堪能した。

アンコールのクルチフィクスも悲壮感漂うハーモニーが素晴らしかった。最後の和音を支えていたバスはcかcisあたりの超低音をビンビンに響かせていた。アンサンブルの一人一人の歌手の力量とそれらをここまでのアンサンブルに仕上げるピーター・フィリップスの実力にただただ驚嘆。次はラッソのレクイエムでも聴いてみたい。

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